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コレステロールの薬で筋肉が溶ける?
公開. 更新. 投稿者:脂質異常症.この記事は約5分25秒で読めます.
3,626 ビュー. カテゴリ:スタチンを飲むと筋肉が溶けるの?
横紋筋融解症とは?
コレステロールを下げる薬の中にスタチン系と呼ばれる薬があります。〇〇スタチンという名前の薬です。
その副作用に横紋筋融解症という副作用があります。
その名前から想像するように、筋肉が溶ける病気です。
筋肉が痛くなり、手足に力が入らない、尿が赤褐色になるなどの症状が出ます。
怖いですね。
スタチン系薬の副作用として有名な、横紋筋融解症ですが、最近は色んな薬の副作用で、横紋筋融解症と書かれているのを見かける。
ロキソニンにも横紋筋融解症はある。
説明を求められたときに、「筋肉が溶ける副作用です」とか言ったら、飲まなくなるだろう。医師からクレームがきます。
確かに怖い副作用であり、注意は必要だけど伝え方にも工夫は必要。
初期症状として、「手足のだるさ、しびれ、痛み、赤褐色の尿」などがある。
患者に伝えるときは、「横紋筋融解症」という副作用ではなく、初期症状を副作用として伝えるほうがわかりやすいし、余計な不安を抱かせずに済む。初期症状を伝えて、その症状が出たときは受診するように促しましょう。
横紋筋融解症の発症機序は?
HMG-CoA還元酵素阻害剤による横紋筋融解症の発症機序については、すべてが解明されているわけではないが、以下のように考えられている。
HMG-CoA 還元酵素阻害剤による横紋筋融解症の発現機序は明らかになっていないが、種々の仮説がある。筋細胞内のユビキノンの減少が原因であるとする説やアポトーシスが関連するという説等がある。ユビキノンは、アセチル CoA から合成され、コレステロールと共通の合成経路であるため、HMG-CoA 還元酵素阻害剤によってメバロン酸合成が阻害されるとユビキノンの合成も低下する。ユビキノンが減少するとミトコンドリアの機能異常が生じて、筋細胞の変性や壊死が起こるとされている。
クレストール インタビューフォーム1)
骨格筋の壊死により、ヘム蛋白質の一つで筋肉の成分であるミオグロビンが細胞外(血中)に流出する。これにより横紋筋融解症が発症する。
そして、血中のミオグロビンが増加すると、尿細管閉塞の原因となり、急性腎不全などの重篤な腎障害へ発展する可能性がある。
筋肉痛=横紋筋融解症?
スタチン系の副作用で気をつけなければいけない副作用に横紋筋融解症があります。
服薬指導時に筋肉痛について確認しますが、筋肉痛の症状を訴える患者さんは多いです。
米国の調査では、スタチン系薬剤服用者における筋肉痛は2~7%で生じますが、重篤な筋障害は0.08%程度とされます。
筋肉痛の発生頻度は高いですが、重篤例はその1/25~1/100程度ということで、必ずしも筋肉痛=横紋筋融解症とはなりません。
【ミオパチーと横紋筋融解症について】
クレストール インタビューフォーム1)
薬剤性の筋障害には、軽い筋肉痛や脱力感を自覚する程度のものから、筋肉組織の崩壊により急性腎不全を引き起こし生命に危険を及ぼす重篤なものまで含む。筋肉の障害の程度を知る一つの目安として血液中の CK の値がある。この値は筋肉運動や発熱など様々な要因で変動することが知られているが、薬剤投与中に他の要因なく著明な CK の上昇がみられた場合は薬剤性の筋障害を疑う。明確な定義はないが、筋肉痛や脱力といった筋症状に加え、著明な血液中 CK の上昇を示すものを「ミオパチー」、さらに、筋肉組織の崩壊によってミオグロビンが大量に出現し、腎機能障害を呈するものを「横紋筋融解症」と呼ぶ。
しかし、軽症といえども筋症状が出た段階で、スタチン系薬剤を中止あるいは減量することがまず必要となります。
血中CK値を測定するのが一番かと思いますが、薬剤師から医師に対してはなかなか言い出せません。
スタチンを飲むと筋肉が溶ける、という印象を患者に与えると、医者から文句言われるし。
でも、横紋筋融解症なんて滅多に無いだろうと、タカをくくっていると取り返しのつかないことになるかも。
腎障害とフィブラート
フィブラート系の薬は主に腎臓から尿中に排池されるので、腎臓排池率が高く、腎機能の悪化をともなう横紋筋融解症のリスクが高まることがあります。
そのため、投与にあたっては患者の腎機能を検査したうえで投与の可否を決定し、血清クレアチニン値に応じて減量または投与間隔の延長等を行うことが重要な基本的注意です。
また、腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者に、HMGCoA還元酵素阻害薬との併用は原則禁忌です。
なお、横紋筋融解症の発現症例の多くは、全身倦怠感、筋肉痛とともにCPK(クレアチンフォスフォキナーゼ)、血中や尿中ミオグロビンの上昇等が認められていますので、投与に際しては筋肉痛の発現やCPKの変動に注意する必要があります。
スタチンの副作用は脱水時におきやすい?
野外での作業で汗をかいて脱水気味になったときなどに副作用が出やすい。
コーラ色の尿は横紋筋融解症?
横紋筋融解症の症状には筋肉痛のほかに、コーラ色の尿があります。
筋肉成分(ミオグロビン)が尿中に溶け出す症状です。
筋肉痛+ミオグロビン尿があれば、間違いないでしょう。
すぐに病院へ。
何年も飲んでいるので副作用は出ない?
一般的に、フィブラート系の脂質異常症治療薬の副作用で横紋筋融解症が発症するリスクが高い期間は、使用開始から数ヶ月~2年程度とされている。
市販後に報告されている重篤な横紋筋融解症の発現時期は、約半数が投与1ヶ月以内である。
しかし1年以上たってからの発現も多く見られるので、「服薬から何年も過ぎているから」といった先入観は禁物である。
患者が横紋筋融解症のリスクがある薬剤を服用中であれば、服用が長期にわたっていても、初期症状のチェックを怠ってはならない。
患者が整形外科を受診し始めたり、針灸マッサージなどを受け始めた場合には、横紋筋融解症の初期症状の「筋肉痛」と関連づけて考えてみる慎重さも大切である。
リバロは安全?
うちの薬局で最も処方頻度の高いスタチンがリバロ。
リバロ(ピタバスタチン)は、ほかの薬剤との相互作用が、スタチンの中では比較的少ないことが知られています。
これは、薬物代謝酵素のチトクロームP450(CYP)による代謝をほとんど受けないためです。
CYPは「脂溶性の薬物を代謝する」と理解していると思いますが、ピタバスタチン(リバロ)はその概念を変えるような薬物です。つまり、DMリバロは脂溶性であるにもかかわらずCYPによる代謝をほとんど受けず、未変化体のまま胆汁中に排泄されます。CYPの代謝をほとんど受けないという点で、安全性が高いといわれる水溶性のプラバスタチン(メバロチン)によく似ていると思います。他の脂溶性のスタチンとは異なるという点で、薬物動態の面では全く新しいタイプのスタチンだと考えるのがよいと思います。
スタチン製剤の使い分け
逆に、最も使いにくいスタチンはリポバスだと思う。
リポバスとイトリゾール
イトラコナゾールはCYP3A4を強力に阻害し、同分子種で代謝されるリポバスの血中濃度を最大で19倍上昇させるリスクがあるので、併用は禁忌である。
リポバスとイトリゾールの併用処方を受け付けた場合は、疑義照会を行い、代替案として、①抗真菌剤をラミシールに変更する②リポバスをCYP3A4で代謝されにくい水溶性スタチン系薬(メバロチン、リバロ、クレストール)に変更する、といった提案を行う。
参考文献
1)クレストール インタビューフォーム
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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