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喘息に使う吸入剤、粒子径は小さいほどいい?
公開. 更新. 投稿者: 8,108 ビュー. カテゴリ:喘息/COPD/喫煙.この記事は約4分15秒で読めます.
肺に届く薬の大きさは?

吸入剤の粒子は細かいほうが奥まで届くよね?
喘息やCOPDに使用する吸入剤の粒子の大きさについて。
粒子が小さいほど奥まで到達するため、より細かいミストになったほうが良いのではないかと思われがちだが、細かすぎると吸ったミストがそのまま呼気で吐き出されてしまうという。
肺への薬物の送達度は粒子の大きさによって決まる。
1~5μmの粒子が細い気道に到達し、薬物が最も効果的に作用する。
10μm以上の粒子は主に口腔内、咽頭部に付着し、また0.8μm以下の粒子は肺胞に到達するが、その後、肺に付着することなくそのまま呼気時に排出されてしまう。
10~20μm:咽頭に沈着
8~10μm:気管に沈着
5~8μm:気管支に沈着
3~5μm:細気管支に沈着
0.5~3μm:肺胞に沈着
吸入後の息止め
吸い込んだ薬の粒は、空気の通り道(気道)の中でいくつかの理由によってくっつきます。
まずひとつ目は、勢いよく飛んできた粒が壁にぶつかって止まるという仕組みです。
カーブを曲がりきれずに壁にぶつかる車のようなイメージです。
次に、粒が重さによってゆっくり下に落ちるという仕組みもあります。
これは、空気の流れが弱くなった場所で起こりやすくなります。
薬の粒が「どこまで届いて、どれくらい残るか」は、
・粒の大きさ
・空気の通り道の太さ
・息を吸う速さ
によって決まります。
さらに、気道のいちばん奥、肺の奥深く(細い気管支や肺胞)では、空気の流れがほとんどなくなります。
この場所では、とても小さな粒がフワフワとランダムに動きながら壁にくっつくという現象が起こります。
これは、目に見えないほど小さな粒(およそ1μmより小さい粒)が、水の中でチリが揺れるように動く性質によるものです。
また、薬の粒が気道の中にとどまる時間が長いほど、壁にくっつく量は増えます。
そのため、吸入薬では
・ゆっくり吸い込む
・吸ったあとに少し息を止める
ことが大切だと言われています。
また、吸入補助器の使用は有効な粒子を吸入するために有効である。
各吸入薬の粒子径と特徴
DPI
フルタイドロタディスク 平均粒子径5.2μm 必要吸入速度60L/分 肺内沈着率約11~16%
フルタイドディスカス 平均粒子径5.2μm 必要吸入速度30L/分 肺内沈着率約15~17%
アドエアディスカス 平均粒子径4.4μm 必要吸入速度30L/分 肺内沈着率約15~17%
パルミコートタービュヘイラー 平均粒子径2.6μm 必要吸入速度35L/分 肺内沈着率約32%
アズマネックスツイストヘラー 平均粒子径2.0μm 必要吸入速度35L/分 肺内沈着率約40%
pMDI
キュバールエアゾール 平均粒子径1.1μm 肺内沈着率約50%
オルベスコインヘラー 平均粒子径0.9μm 肺内沈着率約50%
フルタイドエアー 平均粒子径2.8μm 肺内沈着率約30%
アドエアエアゾール 平均粒子径3.1μm 肺内沈着率約30%
吸入ステロイドの粒子径
ステロイドの吸入剤には、フルタイド、キュバール、パルミコートなどありますが、霧状のものや粉状のものがあり、肺の中への届き方が違います。
粒子が小さいほうが肺の奥の方まで届くので、効果が高いです。
粒子径は、
キュバール:1.1μm
オルベスコ:1.1μm
パルミコートタービュヘイラー:2.6μm
シムビコートタービュヘイラー:2.2~2.4μm
パルミコート吸入用懸濁液:5.0μm以下
フルタイドロタディスク:3.3μm
フルタイドディスカス:5.3~5.4μm
フルタイドエアー:2.8μm
アドエアエアー:3.1μm
アドエアディスカス:3.5~4.4μm
アズマネックス:2.0μm
タウナス粉末吸入剤:2.2μm
フルタイドディスカスやアドエアディスカスを使ってなかなか効果が出ない時は、キュバールとかオルベスコにすると良くなることがしばしばある。
粒子が大きいフルタイドは主に太い中枢気道に作用し、粒子が非常に小さい超微粒子のオルベスコやキュバールといったエアゾール製剤は、末梢まで薬が到達するために末梢気道によく作用するといわれています。
したがって、超微粒子のエアゾール製剤は末梢気道病変が強い患者に効果があります。
吸入ステロイドの肺内到達率
肺内到達率は、
キュバール:40~55%
オルベスコ:52%
パルミコートタービュヘイラー:32%
パルミコート吸入用懸濁液:6.1%(小児)13%(成人)
フルタイドディスカス:15~17%
フルタイドロタディスク:11~16%
フルタイドエアー:26~28%
アドエアエアー:29%
アドエアディスカス:15~17%
アズマネックス:40%
タウナス粉末吸入剤:40%
気道には内径2mm以上の中枢気道と、内径2mm未満の末梢気道があります。喘息で亡くなった方の気道の状態を見ると、完全閉塞は軟骨の無い末梢気道で多く認められます。
末梢気道に薬を到達させるためには2~3μmの粒子径の薬剤が適していると考えられています(アストラゼネカの主張)。
0.8μm未満の粒子は吸っても呼気として排出されてしまいます。
0.8~3.0μmの粒子が末梢気道~肺実質への到達に適切な粒子径です。
2.0~5.0μmの粒子が気道への到達に適切な粒子径です。
肺胞まで薬が到達すると血流にのって全身に回ってしまうので全身性の副作用が多く出るという意見もあります。
フルタイドディスカスとフルタイドエアゾールの違いは?
フルタイドにはディスカス(ドライパウダー)とエアゾールの2種類の剤形があるが、両者は粒子型が異なる。
ドライパウダーは中枢気道(太い気道)の炎症を抑えるのに有効であるが、粒子が大きいため末梢気道(細い気道)まで十分に届かない。
一方、エアゾールは粒子が小さいので末梢気道まで届く。
COPDは高齢者が主であり、末梢気道の好酸球性炎症が喘息症状の出現に関与している可能性が高いため、エアゾールを最初に試みる方がよいと考えられる。





2 件のコメント
デバイス内と吸入時ー体内到達時で粒子形が変わることは考慮されていますか?
合剤はデバイス内では二つがくっついた粒子形で存在することがあります。
コメントありがとうございます。
粒子径の変化については全く考えたことがありませんでした。
合剤にすると粒子径が大きくなると。
アドエア、シムビコート、ウルティブロ、フルティフォーム、レルベアなど吸入剤の合剤もありますが、肺内到達率を考えると個々の吸入剤を使った方が効果的ということもありうるわけですね。
レルベアなんかはデバイス内で別々に封入されているので影響は少ないのでしょうか。