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吸入ステロイドで声が嗄れるのはなぜ?
公開. 更新. 投稿者:喘息/COPD/喫煙.この記事は約3分2秒で読めます.
10,121 ビュー. カテゴリ:吸入ステロイドで嗄声?
吸入ステロイド薬により声が枯れるのはなぜか?
吸入ステロイド薬による声枯れ(嗄声)は最も頻度が高い副作用で、用量依存性である。エアロゾル製剤よりドライパウダー製剤での発現率が高い。
うがいによる予防効果はほとんどなく、発現時には減量やエアロゾル製剤への変更を検討する。
原因としては、
①ステロイド筋症(喉頭筋の筋力低下):ステロイドは蛋白の異化(分解)促進作用および同化(合成)抑制作用を有しており、ステロイドの長期使用により筋構成蛋白(アクチン、ミオシン等)が合成されなくなって筋肉蛋白量が減少し、筋力が低下する。したがって吸入により喉頭筋にステロイド粒子が付着すると喉頭筋の障害が起こり、筋原性の声帯麻痺(発声時に声帯を閉じる方向にうまく動かせない)により、嗄声が発現する。
②口腔内のカンジダ症により声帯が障害を受ける。
③製剤の添加物や溶剤の刺激。
などがあり、主原因は①と考えられている。
強く吸入しすぎると嗄声になる?
吸入指導では、末梢気道にまで薬剤を送り込むために、強く、深く吸入することを強調します。
が、あまり強く吸いすぎると嗄声のリスクが高くなることが指摘されています。
嗄声が出ているような患者さんの場合には、もう少し弱く吸入することを勧めることも必要かも。
吸入ステロイドによる嗄声にうがいは無意味?
吸入ステロイド剤の局所的副作用の多くは、服用直後のうがいで防止することは可能ですが、嗄声の防止にうがいは、ほとんど効果がないことが知られています。
このため、嗄声が治療上の障害になるような場合には、ステロイドの減量や、キュバールなどのエアロゾル製剤への変更が検討されます。
吸入ステロイド薬による嗄声は、高齢者、高用量、ドライパウダー製剤の使用で発現頻度が高くなると言われています。
また、上気道沈着率を低下させ肺内到達率を向上させるために、スペーサーの使用が指導されることもあります。
フルタイド(ドライパウダー)肺内沈着率11%上気道沈着率64%
パルミコート(ドライパウダー)肺内沈着率27%上気道沈着率53%
キュバール(エアロゾル)肺内沈着率58%上気道沈着率25%
キュバール(エアロゾル)+スペーサー肺内沈着率60%上気道沈着率3%
ある調査では、嗄声の発現頻度はフルタイドディスカス・ロタディスク>パルミコート>キュバールまたはフルタイドエアーの順であったとされています。
・50歳以上は声嗄れが出やすい。
・一番声が嗄れるのはフルタイド。
・エアゾール製剤はあまり声が嗄れることは無い。
・フルタイドは少ない量でも10%くらいで出る。
・パルミコートは3%くらい。
・エアゾール製剤のキュバールやオルベスコは1%前後と非常に少ない。
うがいで嗄声は予防できない
吸入ステロイド薬で多い副作用は嗄声、口腔内違和感、口腔カンジダ症であり、なかでも嗄声は必ず起こるともいわれているくらい高頻度で発現する。
うがいなどで口内を清潔に保っている患者においても発現することはまれではない。
うがいやスペーサーの使用によって嗄声を軽減することはできるが完全に防止できるわけではない。
この嗄声は、喉頭筋に付着した薬剤が原因で引き起こされるステロイド筋症が原因であるといわれており、声帯や咽頭の一時的な障害で、吸入ステロイド薬を中止すると嗄声も消失する。
薬を変えてみる
副作用の嗄声は、高齢者、高用量使用者、吸入手技が不良な患者に多くみられる。
また、吸入薬の種類でその発現の度合いに差があり、一般的にpMDI製剤よりもDPI製剤に多く見られる。
さらにその平均粒子径により発現率が変わるといわれている。
平均粒子径が1~5μmの粒子は肺内に到達し効果を発現するが、大きすぎる粒子は口腔内や咽頭に付着しやすく嗄声の原因となり、小さすぎる粒子は再び呼気とともに外気へ排出される場合や、肺胞に達し全身循環に移行する場合がある。
嗄声を訴える患者に対し、予防の指導だけでなく、吸入手技の確認を行い、また、使用している吸入ステロイドの粒子径、沈着率などの特徴を踏まえ、患者に合わないと思われる場合は処方医に相談、薬剤変更を提案する必要がある。
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