スピリーバレスピマットは60回以上使える？

スピリーバレスピマットが1か月以上もつ？

スピリーバレスピマットを1か月以上使える、と言っていた患者さんがいた。

吸入剤でよくあるのが、使用可能回数を超えても噴霧はできるが、十分量が出てきていないというケース。
しかし、スピリーバレスピマットの場合、60噴霧した時点でロックがかかるので、それ以上の吸入はできないようになっている。
ではなぜ、この患者は60吸入以上使えていたのか。

多くの吸入剤がそうであるように、スピリーバレスピマットも空噴霧が必要である。
添付文書には使い方の説明が書かれており、

ミスト（霧）が見えるまで5）～7）を繰り返す。ミスト（霧）が見えてから5）～7）の操作をさらに３回繰り返し、噴霧が確実に行われることを確認する。
これらの準備段階における噴霧は、「スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入」の利用可能な回数には含まれない。使用前の準備完了後、30回分の吸入投与（計60噴霧）が可能である。

とある。

んーと、患者さんにセットしてお渡しするとき、3回空噴霧してお渡ししてますが。（←計4回の空噴霧が必要と指摘により気づきました。汁）
準備段階における噴霧の回数というのが、もう少し多めに設定されているのかも知れない。
あるいはこの患者が空噴霧を行っていない可能性もある。

とりあえず、空噴霧を確実に行うように指導が必要。

スピリーバレスピマットはセットして渡す？

スピリーバレスピマットは、カートリッジにセットする際に少々力がいるため、高齢の患者さんにはセットして渡している。

1回に3本処方されている場合は、3本全てをセットして渡す。

セットしても使用期限的に問題は無いのだろうか？

メーカーのＱ＆Ａには以下のように書かれている。

Q.使用期限はいつまでですか？
A.カートリッジ装填後の品質保証期間は90日間です．使用開始から３カ月以上経過した場合は，薬剤が 残っていたとしても使用しないでください

3本までは事前にセットしても問題はない。4本以上だと3か月以上になってしまうので、問題あり。残薬を確認する必要がある。

スピリーバレスピマットは使えるようにしてから渡す？

吸入剤を使う前には、空噴霧などの事前準備を行う必要がある。

空噴霧程度であれば、患者本人に説明すれば自分でできるので、わざわざ薬剤師が行うべきというものでもない。

しかし、スピリーバレスピマットを使えるようにする事前の準備は少々面倒なので、薬局で行ってあげたほうが親切、というか高齢者には難しいので、事前準備は薬剤師がすべき。

以前は、スピリーバレスピマットが３本処方されていたりすると、1本だけ準備して残りは装填せずにお渡しする、という対応をとっていましたが、３カ月なら問題ないというメーカーの話を聞いてからは全て使える準備をしてからお渡しするようにしている。
空噴霧については、21日以上使わなかった場合、再度必要となるので、空噴霧せずにお渡しする。

高齢者にとって、スピリーバレスピマットの事前準備で一番ネックなのが、カートリッジを装填する所。
かなり固い。
奥まで差し込めないケースがよくある。

喘息やＣＯＰＤでの吸入指導は、治療効果を左右するので、しっかりと行いたい。

スピリーバを2回回せば2回分吸える？

スピリーバの用法は、

「通常、成人には１回２吸入（チオトロピウムとして５μg）を１日１回吸入投与する。」

2回回せば、2回分一気に吸入できんじゃねーのか、という患者様がいらっしゃる。

スピリーバ2.5μgレスピマットの使用は、キットを1回転させて噴霧ボタンを押すようになっているが、
1日1回、1回2吸入が通常用量となっているので、キットを2回転させれば、1回の吸入で済むのでは？という考え。

しかしながら、キットを1回転以上まわした時点で、1回分の薬剤が噴霧されてしまうので、
2回転させても薬剤は1回分ずつしか噴霧されない。
スピリーバ2.5μgレスピマットは1回2吸入だが、これは開発の時点で、
5μg1回の吸入より2.5μg2回吸入のほうが、噴霧量にバラツキが少なかったためとのこと。

薬剤師ノート – スピリーバ2.5μgレスピマットを2回転させて吸入したら2回分吸入できるのか？ [スピリーバ2.5μgレスピマット　臭化チオトロピウム水和物　使用方法] – xpwiki

もったいないだけなのでやめましょう。