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水溶性ビタミンは安全?摂りすぎても尿から出るから大丈夫?
公開. 更新. 投稿者: 39 ビュー. カテゴリ:栄養/口腔ケア.この記事は約9分39秒で読めます.
水溶性ビタミンならいくら摂っても大丈夫?

「ビタミンはたくさん摂っても、余った分は尿から出るから大丈夫」
そんな話を聞いたことはないでしょうか。
確かに、ビタミンCやビタミンB群は「水溶性ビタミン」と呼ばれ、脂溶性ビタミンに比べて体内に蓄積しにくい性質があります。
しかし、
水溶性ビタミン=いくら摂っても安全
というわけではありません。
例えば、ビタミンB6は長期間の過剰摂取によって末梢神経障害を起こすことがあります。
ビタミンCも大量に摂取すると下痢などの原因となるほか、尿中シュウ酸を増加させ、尿路結石との関係が問題になることがあります。
「水溶性なら尿から出る」という説明は間違いではありませんが、それだけで安全性を判断することはできません。
水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンの違い
ビタミンは大きく、
脂溶性ビタミン
- ビタミンA
- ビタミンD
- ビタミンE
- ビタミンK
水溶性ビタミン
- ビタミンB1
- ビタミンB2
- ナイアシン(B3)
- パントテン酸(B5)
- ビタミンB6
- ビオチン(B7)
- 葉酸(B9)
- ビタミンB12
- ビタミンC
に分けられます。
脂溶性ビタミンは脂肪組織や肝臓などに蓄積されやすいため、大量摂取を続けると過剰症を起こすことがあります。
代表的なのがビタミンAによる肝障害や催奇形性、ビタミンDによる高カルシウム血症などです。
一方、水溶性ビタミンは水に溶けやすく、余剰分が尿中に排泄されやすいため、一般的には脂溶性ビタミンより過剰症を起こしにくいとされています。
ここから、
「水溶性ビタミンならたくさん飲んでも大丈夫」
というイメージが生まれたのでしょう。
しかし、「蓄積しにくい」と「毒性がない」は別の話です。
水溶性なら、なぜ過剰症が起こる?
水溶性ビタミンをコップの水に入れたと考えてみます。
必要な分は体内で利用され、余った分の多くは腎臓から尿へ排泄されます。
しかし、排泄されるまでには、
摂取 → 消化管から吸収 → 血液中を移動 → 代謝 → 腎臓から排泄
という過程があります。
その途中で生理作用や代謝産物による影響が生じることがあります。
また、サプリメントを使えば、通常の食事では摂取しにくい量を毎日継続して摂ることもできます。
したがって、
「最後には尿から出る」=「体内で何も起こさない」
ではありません。
ビタミンCの摂りすぎで尿路結石?
ビタミンCは、水溶性ビタミンの代表です。
そのため「たくさん摂っても尿から出る」と考えられがちですが、大量摂取では下痢、腹痛、悪心などの消化器症状が起こることがあります。
さらに興味深いのが、シュウ酸との関係です。
ビタミンC(アスコルビン酸)の一部は体内で代謝され、最終的にシュウ酸になります。
そのため、
ビタミンC大量摂取
↓
シュウ酸生成増加
↓
尿中シュウ酸増加
↓
シュウ酸カルシウム結石形成への懸念
という関係があります。
尿路結石の中でも、シュウ酸カルシウム結石は非常に一般的なタイプです。
ただし、「ビタミンCを含む野菜や果物を食べると尿路結石になる」という意味ではありません。
問題になるのは、主としてサプリメントなどによって通常の食生活を大きく超える量を継続的に摂取するケースです。
特に尿路結石の既往がある人や腎機能が低下している人では、高用量のビタミンCサプリメントを漫然と使用することには注意が必要でしょう。
ビタミンB6の摂りすぎで「しびれ」?
「水溶性ビタミンでも過剰症がある」ことを最もわかりやすく示すのがビタミンB6です。
ビタミンB6を高用量で長期間摂取すると、感覚性末梢神経障害を起こすことがあります。
症状として、
- 手足のしびれ
- 感覚異常
- 感覚低下
- 歩行障害
などが現れることがあります。
ここが面白いところです。
ビタミンB6は神経機能を維持するために必要なビタミンです。
しかし、
不足しても神経症状
そして、
摂りすぎても神経症状
を起こす可能性があります。
「体に必要な栄養素だから、多ければ多いほどよい」という考え方が成り立たない典型例です。
ナイアシンは大量に摂ると「薬」のような作用をする
ナイアシン(ビタミンB3)も水溶性ビタミンです。
しかし高用量になると、
- 皮膚の紅潮(フラッシング)
- かゆみ
- 消化器症状
- 肝機能障害
- 血糖への影響
- 尿酸値上昇
などが問題になることがあります。
特にニコチン酸には血管拡張作用があり、大量摂取すると顔が赤くなったり、熱感を感じたりする「ナイアシンフラッシュ」が起こります。
ここまでくると、「単なる栄養素」というより、摂取量によって薬理作用が表面化してきたと考えたほうがわかりやすいでしょう。
葉酸は摂りすぎるとビタミンB12欠乏を隠す?
葉酸も少し変わった注意点があります。
ビタミンB12欠乏では、巨赤芽球性貧血だけでなく神経障害が起こることがあります。
ところが葉酸を大量に摂取すると、ビタミンB12欠乏による貧血が改善してしまうことがあります。
すると、
B12欠乏
↓
本来なら貧血が手掛かりになる
↓
大量の葉酸によって血液学的異常が改善
↓
B12欠乏に気付きにくくなる
↓
神経障害が進行する可能性
という問題が生じます。
つまり葉酸そのものが直接神経を傷害するというより、別のビタミン欠乏症を見えにくくしてしまうことが問題になります。
妊娠を希望する女性などでは葉酸摂取が重要ですが、「必要だから無制限に摂ってよい」ということではありません。
ビタミンB12はたくさん摂っても大丈夫?
では、水溶性ビタミンはすべて過剰摂取が危険なのでしょうか。
そういうわけでもありません。
例えばビタミンB12は、一般的には経口で大量に摂取しても過剰症を起こしにくいビタミンです。
そもそもビタミンB12の消化管からの吸収には内因子を介する仕組みがあり、通常の生理的吸収には限界があります。
一部は受動拡散によって吸収されるため、高用量の経口ビタミンB12製剤が使われることもありますが、余剰分による明確な毒性は比較的問題になりにくいとされています。
そのため、
「水溶性ビタミンは安全」
とも、
「水溶性ビタミンも危険」
とも一括りにはできません。
ビタミンごとに安全性が違うのです。
水溶性ビタミンの過剰摂取による主な問題
大まかに整理すると次のようになります。
| 水溶性ビタミン | 過剰摂取で問題になり得ること |
|---|---|
| ビタミンB1 | 通常の経口摂取では過剰症は起こりにくい |
| ビタミンB2 | 通常の経口摂取では過剰症は起こりにくい |
| ナイアシン(B3) | フラッシング、消化器症状、肝障害など |
| パントテン酸(B5) | 大量摂取で消化器症状など |
| ビタミンB6 | 長期大量摂取で末梢神経障害 |
| ビオチン(B7) | 毒性より臨床検査への干渉が重要 |
| 葉酸(B9) | B12欠乏による神経障害を見逃す可能性 |
| ビタミンB12 | 一般に過剰症は起こりにくい |
| ビタミンC | 下痢などの消化器症状、尿中シュウ酸増加など |
「水溶性」という共通点があっても、問題になる内容はかなり違います。
ビオチンは「体に悪い」より検査値に注意
ビオチンは少し特殊です。
ビオチン自体の毒性よりも、サプリメントによる大量摂取で問題になるのが臨床検査への影響です。
一部の免疫測定法では、ビオチンとストレプトアビジンの結合を利用しています。
血液中に大量のビオチンが存在すると、この測定系に干渉して、実際とは異なる検査結果が出ることがあります。
影響を受ける可能性がある検査には、甲状腺関連検査やホルモン検査などがあります。
つまり、
サプリメントを飲む
↓
本人には副作用がない
↓
しかし血液検査の値がおかしくなる
ということがあり得ます。
サプリメントの安全性は「副作用が起こるか」だけでは判断できないわけです。
食品から摂るのとサプリメントで摂るのは同じ?
ここも重要です。
例えばビタミンCを1日100mg程度摂取するのと、サプリメントで1,000mg、2,000mgと摂取するのでは意味が違います。
食品の場合、一緒に食べる量そのものに限界があります。
しかしサプリメントでは、本来なら大量の食品を食べなければ摂れない量を、錠剤やカプセル数個で摂取できます。
そのため、
「食品に含まれている成分だから安全」
という考え方を、そのまま高濃度のサプリメントに当てはめることはできません。
これはビタミンだけでなく、鉄、亜鉛、セレン、ヨウ素などのミネラルにも共通する考え方です。
「耐容上限量がない」=いくら飲んでもいい?
栄養素について調べると、「耐容上限量」という言葉が出てきます。
耐容上限量とは、健康障害を起こすリスクがないとみなされる習慣的な摂取量の上限を示すものです。
しかし、すべてのビタミンに耐容上限量が設定されているわけではありません。
ここで注意したいのが、
「耐容上限量が設定されていない」=「無制限に安全」
ではないことです。
十分なデータがなく、科学的根拠に基づいて上限値を設定できない場合もあります。
特にサプリメントでは、「上限量が書いていないから多めに飲んでおこう」という考え方は避けたほうがよいでしょう。
「尿が黄色くなるから、余分なビタミンが出ている」?
ビタミン剤を飲んだあと、尿が鮮やかな黄色になることがあります。
「余ったビタミンが全部尿から出ている証拠」と思われることがありますが、主に関係しているのは**ビタミンB2(リボフラビン)**です。
リボフラビンは黄~橙黄色を呈するため、尿中に排泄されると尿が黄色くなります。
尿が黄色くなったからといって、
「必要量以上のビタミンが全部排泄された」
「大量に摂っても体内には残らない」
ことを意味するわけではありません。
単に特定のビタミンが尿中に排泄されていることを目で確認しやすいだけです。
「水溶性だから安全」ではなく「比較的蓄積しにくい」
水溶性ビタミンについては、
水溶性
→ 尿中に排泄される
→ 体内に蓄積しない
→ 過剰症を起こさない
と一本の線で考えてしまいがちです。
しかし実際には、
水溶性
→ 余剰分が尿中に排泄されやすい
→ 脂溶性ビタミンに比べて蓄積による過剰症を起こしにくい
くらいに理解するのがよいでしょう。
排泄されるまでに体内で作用しますし、代謝されれば別の物質になることもあります。
ビタミンCからシュウ酸が生じることは、そのわかりやすい例です。
また、ビタミンB6のように大量・長期摂取によって神経障害を起こすものもあれば、ビオチンのように本人への毒性ではなく臨床検査に影響するものもあります。
まとめ
水溶性ビタミンは脂溶性ビタミンより体内に蓄積しにくく、一般的には過剰症を起こしにくいといえます。
しかし、
「水溶性だから、いくら摂っても安全」ではありません。
代表的なものとして、
ビタミンC
→ 大量摂取で消化器症状、尿中シュウ酸増加
ビタミンB6
→ 長期大量摂取で末梢神経障害
ナイアシン
→ 高用量でフラッシングや肝障害など
葉酸
→ B12欠乏による神経障害を見逃す可能性
ビオチン
→ 一部の臨床検査に干渉
といった問題があります。
水溶性ビタミンについて正確に表現するなら、
「余った分が尿から排泄されやすいため比較的過剰症を起こしにくい。しかし、過剰摂取しても安全という意味ではない」
となります。
特に注意したいのは、通常の食事ではなくサプリメントによる高用量摂取です。
「体に必要な栄養素」と「たくさん摂るほど健康になる栄養素」は同じではありません。
サプリメントでは、不足を補うという本来の目的を超えて大量摂取しないことが大切です。



