2024年11月20日更新.2,474記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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経腸栄養剤の医薬品と食品の違いは?

経腸栄養剤

エンシュアの代わりになるようなものは無いか。
ドラッグストアで相談されることがある。

医薬品として処方されるエンシュアやラコール。
食品として購入できるメイバランスやアイソカル。

細かい栄養成分についてはよくわからない。

経腸栄養剤の種類と特徴

薬品扱いの経腸栄養剤は、簡単に言うと薬として登録されている成分でつくられた製品で、その製品も治験という臨床試験を受けて認可されたものです。保険適応があるので、患者さんの負担は軽減されます。特に成分栄養剤などを在宅で使用すると、各種の管理料が算定可能となり、必要器具などの購入も保険適応の範囲内でまかなうことも可能です。これに対して食品扱いの経腸栄養剤は、天然成分を配合してつくられることが多く、ある特定の成分のみを強化したり補給したりすることは難しいのですが、例えばセレン(最近は含まれている薬品もあります)やモリブデンなどの微量元素、食物繊維、EPA、DHAなどの薬品にない成分の配合は食品扱いの経腸栄養剤のみで可能です。ただし、保険適応がないので、入院中は食費、外来では自費扱いとなるので注意が必要です。

在宅では患者の経済的負担を考慮して、エンシュアやラコールなどの医薬品である栄養剤が処方されるようで。

一方、病院内では病院経営上の負担が考慮され、食品であるメイバランスやアイソカルなどが使われるそうな。
入院患者はマルメられてしまうから。

メイバランスとエンシュアの違い

なんか医薬品だと栄養が十分で、食品だと栄養が不十分なのではないか、という勝手なイメージ。

エンシュアリキッド(250mL)の栄養成分
エネルギー 250kcal
たん白質 8.8g
脂肪 8.8g
炭水化物 34.3g
ビタミンA 625 IU
ビタミンD 50 IU
ビタミンE 7.5mg
ビタミンK 17.5μg
ビタミンC 38mg
ビタミンB1 0.38mg
ビタミンB2 0.43mg
ビタミンB6 0.50mg
ビタミンB12 1.5μg
コリン 0.13g
葉酸 50μg
ナイアシン 5.0mg
パントテン酸 1.25mg
ビオチン 38μg
ナトリウム 0.20g
カリウム 0.37g
塩素 0.34g
カルシウム 0.13g
リン 0.13g
マグネシウム 50mg
マンガン 0.50mg
銅 0.25mg
亜鉛 3.75mg
鉄 2.25mg

メイバランスコーヒー味(125mL)の栄養成分
エネルギー 200kcal
たんぱく質 7.5g
脂質 7.5g
糖質 25.0g
食物繊維 2.5g
灰分 1.0g
水分 94.5g
ビタミンA 120μgRE
ビタミンD 1.0μg
ビタミンE 6.0mg
ビタミンK 6.2μg
ビタミンB1 0.30mg
ビタミンB2 0.40mg
ナイアシン 4.9mgNE(3.2mg)
ビタミンB6 0.60mg
ビタミンB12 1.2μg
葉酸 100μg
ビオチン 0.40μg
パントテン酸 1.2mg
ビタミンC 32mg
コリン 12.3mg
ナトリウム(食塩換算量) 110mg(0.28g)
カリウム 120mg
カルシウム 120mg
マグネシウム 20mg
リン 140mg
鉄 1.5mg
亜鉛 1.6mg
銅 0.080mg
マンガン 0.011mg
クロム 1.34μg
モリブデン 3.5μg
セレン 5.0μg
ヨウ素 1.6μg
塩素 110mg 

メイバランス1本あたりの量がエンシュアリキッドの半分なので、栄養成分を倍にするとして。。。
まずカロリーからみても、メイバランス400kcal、エンシュアリキッド250kcalなのでメイバランスのほうが栄養価が高い。
エンシュアHに近いくらい。
メイバランスにはセレンやモリブデンも含まれている。

セレンは抗酸化作用があり、活性酸素の消去に必要。
モリブデンは、酸化還元反応を助ける酵素の構成成分で、糖質や脂質の代謝を助けたり、鉄分の利用を高めて貧血を予防するといった働きがあるそう。

食品の栄養剤も侮れませんね。

医薬品(経腸栄養剤)食品(濃厚流動食)
法律薬事法食品衛生法
成分の保証規格自主規格
窒素源による組成分類成分栄養剤
消化態栄養剤の一部
半消化態栄養剤の一部
消化態栄養剤の一部
半消化態栄養剤の一部
天然濃厚流動食
配合できるもの日本薬局方収載医薬品
日本薬局方外医薬品
食品添加物収載化合物
天然物
食品添加物収載化合物
直接配合できないものビタミンK、マンガン、銅、亜鉛
診療報酬上の取り扱い医薬品入院時食事療養費(病態により特別管理加算も算定可能な場合がある)
保険適用ありなし
患者負担(入院時)薬剤費に対する法定負担率食事療法費の一部自己負担
患者負担(外来・在宅)薬剤費に対する法定負担率全額負担
費用請求薬価請求給食費請求
医師の処方必要不要
個人購入不可
薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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