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目のサプリは何を選ぶ?ブルーベリー・ルテイン・アスタキサンチンの違い
公開. 更新. 投稿者: 27 ビュー. カテゴリ:眼/目薬/メガネ.この記事は約11分30秒で読めます.
目のサプリメント

「最近、目が悪くなってきた」
そんなときに、ドラッグストアのサプリメント売り場を見ると、
- ブルーベリー
- ルテイン
- ゼアキサンチン
- アスタキサンチン
- DHA・EPA
など、「目によさそう」な成分がたくさん並んでいます。
しかし、これらはすべて同じように「目が悪くなるのを防ぐ」ものなのでしょうか。
結論からいうと、目のサプリメントは誰が飲んでも同じような効果が期待できるものではありません。
特に重要なのが加齢黄斑変性です。
加齢黄斑変性については、単に「ルテインが目にいい」というレベルではなく、特定の病期の患者に、特定の成分を特定量配合したサプリメントを使用することで、病気の進行を抑えられることが大規模臨床試験で確認されています。
これが「AREDS2」と呼ばれる考え方です。
目のサプリメントといえば何?
一般的な「目のサプリメント」でよく見かける成分としては、次のようなものがあります。
| 成分 | よくうたわれる目的 |
|---|---|
| ブルーベリー・ビルベリー | 眼精疲労、ピント調節 |
| アントシアニン | 眼精疲労、視機能 |
| ルテイン | 黄斑・網膜の健康維持 |
| ゼアキサンチン | 黄斑の健康維持 |
| アスタキサンチン | 眼精疲労、ピント調節 |
| DHA・EPA | 網膜の健康維持 |
| ビタミンC・E | 抗酸化作用 |
| 亜鉛 | 網膜機能の維持 |
どれも「目」という共通点はありますが、目的はかなり違います。
たとえば、パソコン作業後の「目が疲れる」「ピントが合いにくい」という症状と、加齢黄斑変性によって網膜が障害されて視力が低下していくことは、まったく同じ問題ではありません。
したがって、
「目が悪くなってきたから、とりあえずブルーベリーを飲もう」
という考え方には注意が必要です。
「目が悪くなった」は病名ではない
そもそも「目が悪くなった」という言葉には、いろいろな状態が含まれます。
老眼で近くが見えにくくなったのかもしれません。
近視が進んだのかもしれません。
白内障によってかすんでいるのかもしれません。
ドライアイで見え方が不安定なのかもしれません。
緑内障によって視野が欠け始めている可能性もあります。
あるいは加齢黄斑変性によって、中心部がゆがんで見えている可能性もあります。
このうち、サプリメントを飲むより先に眼科を受診すべき病気も少なくありません。
特に、
「物がゆがんで見える」
「片目だけ見えにくい」
「中心が暗く見える」
「視野の一部が欠ける」
といった症状がある場合には、サプリメントで様子を見るのではなく、眼科受診が優先されます。
ルテインとは?
「目のサプリ」と聞いて、現在もっとも代表的な成分の一つがルテインでしょう。
ルテインはカロテノイドの一種で、ゼアキサンチンとともに眼の黄斑部に存在しています。
黄斑は網膜の中心付近にあり、細かい文字を読む、顔を識別するといった「中心視力」に重要な部分です。
ルテインやゼアキサンチンを摂取すると、黄斑色素密度が増加することは複数の研究で示されています。健康な成人を対象にした系統的レビューでも、一定量以上のルテイン・ゼアキサンチン摂取によって黄斑色素光学密度が増加することが報告されています。
ただし、
黄斑色素が増えることと、視力低下や眼疾患を確実に予防できることは同じではありません。
ここを区別する必要があります。
加齢黄斑変性とは?
加齢黄斑変性(AMD:age-related macular degeneration)は、その名のとおり加齢に伴って黄斑部が障害される病気です。
初期から中期では、網膜の下に「ドルーゼン」と呼ばれる沈着物がみられることがあります。
進行すると、
- 新生血管から出血や滲出が起こる「滲出型(wet AMD)」
- 網膜の細胞が徐々に失われていく「萎縮型(dry AMD)」
などに進み、中心視力が大きく低下することがあります。
そして、この加齢黄斑変性こそが、眼科領域でサプリメントのエビデンスを考えるうえで最も重要な疾患です。
AREDSとは?
米国国立眼研究所(NEI)は、加齢黄斑変性や白内障に対する栄養補助食品の効果を調べるため、大規模臨床試験「AREDS(Age-Related Eye Disease Study)」を実施しました。
その結果、
中期AMD、または片眼に進行したAMDがある患者では、抗酸化ビタミンと亜鉛などを組み合わせたサプリメントによって、進行AMDに至るリスクが約25%低下する
ことが示されました。
中心視力低下についても約19%のリスク低下が認められています。
ここが重要です。
「目に良さそうだから飲む」
のではなく、
「すでに一定段階まで進行したAMD患者の、さらなる進行を抑える」
という明確な目的で効果が確認されたのです。
AREDS2では何を飲む?
その後行われたAREDS2試験を踏まえ、現在代表的な組成は次のようになっています。
| 成分 | 1日量 |
|---|---|
| ビタミンC | 500mg |
| ビタミンE | 400IU |
| ルテイン | 10mg |
| ゼアキサンチン | 2mg |
| 亜鉛 | 80mg |
| 銅 | 2mg |
つまり、
「加齢黄斑変性にはルテイン」
という説明だけでは不十分です。
エビデンスがあるのは、ルテイン単独ではなく、ルテイン・ゼアキサンチン・抗酸化ビタミン・亜鉛・銅などを組み合わせた「AREDS2処方」です。
一般的なルテインサプリメントとは、かなり違うものです。
なぜ銅まで入っている?
AREDS2処方には亜鉛が80mgという高用量で含まれています。
亜鉛を多量に摂取すると銅の吸収が妨げられ、銅欠乏性貧血などにつながる可能性があります。
そのため、AREDS/AREDS2では亜鉛による銅欠乏を防ぐ目的で銅2mgが配合されています。
このあたりからも、AREDS2は単なる「ルテイン入り健康食品」とは少し性格が違うことがわかります。
誰でもAREDS2を飲めばいい?
ここが最も重要です。
AREDS2は、誰でも飲めば加齢黄斑変性を予防できるサプリメントではありません。
NEIでは、
- 中期AMDが片眼または両眼にある人
- 片眼が進行AMDで、もう片眼にもAMDがある人
などが主な対象とされています。
一方、
AMDのない人や早期AMDの人では、AREDS/AREDS2による明確な利益は確認されていません。
つまり、
「60歳になったから将来の黄斑変性予防にAREDS2を飲もう」
という使い方まで証明されているわけではありません。
眼底検査などによって、AMDがどの程度進行しているのかを確認してから考えるものです。
AREDS2は「予防薬」ではなく「進行抑制」に近い
AREDS2を理解するときには、
「AMDにならないために飲むもの」
ではなく、
「一定段階までAMDが進んでいる人で、さらに悪化するリスクを下げるもの」
と考えた方がわかりやすいでしょう。
NEIも、AREDS/AREDS2サプリメントはAMDそのものの発症を予防するものではないとしています。
薬で例えるなら、
「健康な人が病気にならないために飲む」
というより、
「すでにリスクの高い状態にある患者の病気の進行を抑える」
というイメージに近いでしょう。
なぜβカロテンではなくルテインになった?
最初のAREDS処方にはルテインではなくβカロテンが使用されていました。
しかしβカロテンについては、喫煙者・元喫煙者で肺癌リスクが問題となりました。
そこでAREDS2では、
βカロテンをルテイン+ゼアキサンチンへ置き換える
という検討が行われました。
その後の長期追跡でも、ルテイン+ゼアキサンチンを使用したAREDS2処方は、βカロテンを使用する処方より安全性の面で優れており、AMD進行抑制効果も維持されることが示されています。
現在、AREDS2処方にβカロテンが含まれていないのには、このような背景があります。
ルテインだけ飲んでもダメ?
ルテイン自体についても、多くの研究があります。
AMD患者を対象にした研究では、ルテイン・ゼアキサンチンの摂取によって黄斑色素密度や視機能が改善したとの報告があります。
一方で、AMDの進行抑制について最も確立したエビデンスは、やはりAREDS/AREDS2です。
したがって、
「ルテイン10mgを飲めばAREDS2と同じ」
とは考えない方がよいでしょう。
AREDS2はルテインだけでなく、
ゼアキサンチン+ビタミンC+ビタミンE+亜鉛+銅
を組み合わせた処方として評価されています。
ブルーベリーは目にいい?
一方、昔から「目にいい食品」として有名なのがブルーベリーです。
ブルーベリーやビルベリーには、アントシアニンと呼ばれる色素成分が含まれています。
アントシアニンについては、VDT作業などによる眼精疲労やピント調節機能を対象とした研究があります。
たとえばビルベリー抽出物を用いたランダム化比較試験も行われています。
しかし、ここで対象になっているのは主に、
「パソコン作業で目が疲れる」
「ピントが合いにくい」
といった症状です。
加齢黄斑変性の進行抑制について、ブルーベリーがAREDS2と同じレベルで確立されているわけではありません。
したがって、
ブルーベリー=加齢黄斑変性予防
と説明するのは適切ではありません。
アスタキサンチンは?
アスタキサンチンも抗酸化作用を持つカロテノイドで、「目のサプリメント」によく配合されています。
眼精疲労やVDT作業によるピント調節機能などについて、小規模なランダム化比較試験が行われています。
アントシアニン、アスタキサンチン、ルテインを組み合わせた試験では、VDT作業後の調節機能や自覚症状の改善が報告されています。
ただし、これも、
眼精疲労に関する研究
と、
AMDの進行を防ぐ研究
を分けて考えなくてはいけません。
現時点で、アスタキサンチンがAREDS2の代わりになるという根拠はありません。
DHA・EPAは?
DHAは網膜にも多く存在する脂肪酸なので、
「DHAを飲めば黄斑変性にもよいのでは?」
と思われるかもしれません。
実際、AREDS2でもDHA 350mg+EPA 650mgが検討されています。
しかし、AREDS処方にDHA・EPAを追加しても、進行AMDを減らす追加効果は確認されませんでした。
「網膜に存在する成分だからサプリメントとして摂れば病気を防げる」
とは限らない好例でしょう。
白内障にもAREDS2は効く?
AREDSでは白内障についても検討されました。
しかし、
AREDS処方によって白内障手術の必要性が減るという明確な効果は確認されませんでした。
AREDS2でも、ルテイン・ゼアキサンチンやω3脂肪酸の追加による明確な白内障予防効果は確認されていません。
したがって、
「目にいいサプリだから白内障にも効くだろう」
とは言えません。
緑内障には?
緑内障についても抗酸化ビタミンなどが研究されていますが、AREDS2のように標準的に推奨できるサプリメントは確立していません。
米国NCCIHも、ビタミンA・C・Eなどのサプリメントを緑内障治療目的で使用することを支持する十分な根拠はないとしています。
緑内障で重要なのは、眼圧を含めた眼科での評価と、必要に応じた点眼薬・レーザー・手術などによる治療です。
サプリメントを緑内障治療の代わりにすることはできません。
「目のサプリ」は目的で分けて考える
整理すると、次のようになります。
| 目的・疾患 | サプリメントの位置づけ |
|---|---|
| 中期AMDなど | AREDS2に比較的強い進行抑制エビデンス |
| AMDのない人の予防 | AREDS2による発症予防効果は確認されていない |
| 眼精疲労 | アントシアニン、アスタキサンチン等の研究あり |
| 黄斑色素の維持 | ルテイン、ゼアキサンチンの研究あり |
| 白内障 | 標準的に推奨できるサプリは確立していない |
| 緑内障 | 標準的に推奨できるサプリは確立していない |
つまり、「目のサプリメント」という一括りでは考えにくいのです。
「誰が飲んでもいい?」にも注意
市販の目のサプリメントは医薬品ではありませんが、
「サプリだから誰でも飲んで問題ない」
とも限りません。
特にAREDS2処方は、一般的なマルチビタミンと比べてもかなり多い量のビタミンやミネラルを含んでいます。
NEIも、AREDS2に含まれる高用量のビタミン・ミネラルについて、消化器症状や薬物との相互作用などを考慮し、医師などの医療従事者と相談するよう勧めています。
薬局で相談を受ける場合には、
「何のために飲みたいのか」
を最初に確認することが重要でしょう。
「最近見えにくいからルテインを買いたい」と言われたら
薬局で、
「最近目が悪くなってきたから、ルテインでも飲もうかな」
と言われた場合には、
すぐ商品を選ぶより、
「どう見えにくいのか」
を確認した方がよいでしょう。
老眼なのか。
かすむのか。
中心がゆがむのか。
片眼だけなのか。
視野が欠けるのか。
眼科で加齢黄斑変性を指摘されているのか。
これによって話はまったく違います。
特にAREDS2については、
「加齢黄斑変性になるのが怖い人が自己判断で飲むサプリ」ではなく、「眼科でAMDの病期を評価されたうえで検討するサプリ」
という理解が重要です。
まとめ
ブルーベリー、ルテイン、アスタキサンチンなど、「目にいい」とされるサプリメントはたくさんあります。
しかし、そのエビデンスは同じではありません。
ブルーベリーやアスタキサンチンには眼精疲労などを対象とした研究があります。
ルテイン・ゼアキサンチンには黄斑色素との関連を示した研究があります。
一方、特定の眼疾患について、病気の進行を抑えることが大規模臨床試験で確認されている代表例が、加齢黄斑変性に対するAREDS2処方です。
ただしAREDS2も、
「目にいいから誰でも飲む」
ものではありません。
AMDのない人や早期AMDの人に、明確な利益が確認されているわけではなく、主に中期AMDなど進行リスクの高い患者が対象となります。
したがって、「目が悪くなったからサプリを飲む」というより、
「なぜ見えにくくなったのかを確認し、その原因にサプリメントのエビデンスがあるのか考える」
という順番が大切です。
目のサプリメントは「目なら何でも効く健康食品」ではなく、目的によって根拠が大きく異なるものとして考えた方がよいでしょう。



