2025年9月27日更新.2,634記事.

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老化を防ぐ食べ物とは?抗酸化作用とアンチエイジング

老化を防ぐ食べ物とは?抗酸化作用とアンチエイジング

年齢を重ねるにつれて、肌のしわやシミ、体の不調が増えていきます。これらの現象は「老化」と呼ばれますが、なぜ老化は起こるのでしょうか。その大きな原因の一つとされているのが、体内で発生する「活性酸素」による酸化ダメージです。

酸素は人間にとって生きるために不可欠ですが、その一方で、体内では非常に反応性の高い活性酸素が生まれます。活性酸素は、ウイルスや細菌を攻撃するなど免疫防御に役立つ反面、必要以上に増えると正常な細胞まで傷つけ、体をサビさせる(酸化させる)原因になります。この酸化ストレスが、老化や生活習慣病を引き起こす重要な要因と考えられているのです。

この酸化から体を守るために注目されているのが、「抗酸化作用を持つ栄養素や食品」です。近年では、アンチエイジングのキーワードとして、「抗酸化ビタミン」「ポリフェノール」「カロテノイド」といった成分が知られるようになり、さまざまなサプリメントや機能性食品が販売されています。

ただし、サプリメントに頼らず、普段の食事の中で自然に抗酸化物質を摂取することも十分可能です。むしろ、食事から摂る方が過剰摂取のリスクが少なく、栄養のバランスも整いやすいでしょう。

ここからは、老化の原因となる活性酸素について改めて整理し、代表的な抗酸化物質とその働き、具体的にどのような食べ物を選ぶと良いのかを詳しく解説していきます。

活性酸素とは何か?酸素は毒にもなる

私たちが食べたものを体内でエネルギーに変換する際、酸素を使って燃焼を行っています。このとき、代謝の副産物として活性酸素が発生します。

活性酸素は以下のような性質を持ちます。

・細菌やウイルスを攻撃する防御作用
・過剰に発生するとDNAや細胞膜、たんぱく質を酸化し、機能を損なわせる
・酸化LDL(悪玉コレステロール)を増やし、動脈硬化を引き起こす

つまり、適量であれば免疫に役立つ一方、過剰になれば体を攻撃する「両刃の剣」です。

人間は進化の過程で、活性酸素から身を守る仕組みを備えています。その一つが抗酸化酵素(スーパーオキシドディスムターゼなど)、そしてもう一つが抗酸化物質(ビタミンやポリフェノールなど)です。

抗酸化物質の種類と働き

抗酸化物質は大きく分けて次の3つに分類されます。

●抗酸化ビタミン
・ビタミンE:脂質の酸化を防ぐ
・ビタミンC:水溶性でビタミンEの再生を助ける
・βカロテン(ビタミンAの前駆体):活性酸素を除去

●ポリフェノール
・植物に含まれる苦味や色素の成分
・代表例:カテキン、アントシアニン、レスベラトロール

●カロテノイド
・色素成分
・リコピン(トマト)、ルテイン(緑黄色野菜)

これらが協力して体内の酸化ストレスを抑制しています。

ビタミンE:細胞膜を守る強力な抗酸化ビタミン

ビタミンEは脂溶性で、特に細胞膜に多く含まれています。不飽和脂肪酸が過酸化脂質になるのを抑制し、細胞の老化や動脈硬化を防ぐ役割があります。

さらに、血液中のLDLコレステロールが酸化されるのを防ぐことも大切な働きです。酸化されたLDLは血管壁に沈着して動脈硬化を進行させるため、ビタミンEの適量摂取が心血管疾患予防にも寄与すると言われています。

ビタミンEを多く含む食品は以下の通りです。

・アーモンドなどのナッツ類
・ひまわり油、オリーブオイル
・かぼちゃ
・ほうれん草

ビタミンC:ビタミンEを再生するサポーター

ビタミンCは水溶性の抗酸化ビタミンで、血液や細胞内の水溶性部分で活性酸素を消去します。また、酸化されたビタミンEを再活性化する役割もあり、この相互作用によって抗酸化ネットワークが維持されます。

さらにコラーゲン生成や免疫機能維持にも不可欠なビタミンです。

ビタミンCを多く含む食品
・赤ピーマン、黄ピーマン
・キウイ、イチゴ
・柑橘類(オレンジ、レモン)

βカロテン:ビタミンAとしても活躍

βカロテンは緑黄色野菜に豊富に含まれる色素成分で、体内で必要に応じてビタミンAに変わります。強い抗酸化力を持ち、細胞膜やDNAを酸化ダメージから保護します。

βカロテンを含む食品
・にんじん
・かぼちゃ
・ほうれん草

ポリフェノール:植物の力を活かす

ポリフェノールは植物が紫外線や害虫から身を守るために作り出す成分で、数千種類以上あります。代表的なポリフェノールと含有食品は以下の通りです。

・カテキン:緑茶
・アントシアニン:ブルーベリー
・クルクミン:ウコン
・フラボノイド:玉ねぎ、りんご
・イソフラボン:大豆

緑茶を毎日飲む、日本の食文化は、自然にポリフェノールを取り入れています。

リコピン:トマトの赤に秘められた力

リコピンはトマトに含まれる赤い色素です。βカロテンよりも高い抗酸化力を持つとされ、特に紫外線やストレスによる酸化ダメージを抑える働きが注目されています。

リコピンは油と一緒に摂ると吸収率が上がるため、オリーブオイルを使ったトマト料理がおすすめです。

コエンザイムQ10:エネルギーと抗酸化を支える成分

コエンザイムQ10は体内で合成される補酵素で、エネルギー産生に欠かせません。強力な抗酸化作用を持ち、細胞の酸化ストレスを軽減します。年齢とともに合成量が減るため、食事からの補給が推奨されることもあります。

主な食品
・青魚(いわし、さば)
・牛肉
・落花生

食事と生活習慣のバランスが重要

「抗酸化物質をたくさん摂れば老化しない」という極端な考え方は正しくありません。抗酸化サプリメントも、摂り過ぎると逆効果や副作用が報告される場合があります。

大事なのは、普段の食生活で野菜・果物・良質な油・魚をバランスよく摂り、運動・禁煙・睡眠なども含めて酸化ストレスを減らす生活を心がけることです。

老化を防ぐ食べ物リスト(まとめ)

最後に、毎日の食事で取り入れやすい「老化を防ぐ食品」をまとめます。

食品と含まれる抗酸化物質
・トマト:リコピン
・にんじん・かぼちゃ:βカロテン
・ほうれん草・ブロッコリー:ビタミンC、βカロテン
・アーモンド・くるみ:ビタミンE
・緑茶:カテキン
・ブルーベリー:アントシアニン
・赤ピーマン:ビタミンC
・サバ・イワシ:コエンザイムQ10
・大豆製品:イソフラボン

おわりに

老化は避けられない生理現象ですが、食べ物と生活習慣を見直すことで進行を緩やかにすることができます。特別なサプリメントだけに頼らず、旬の野菜や魚を中心にした日本型の食生活は、自然に多様な抗酸化物質を摂取できます。

今日からできる小さな工夫が、将来の健康を支える大きな一歩です。まずは身近な食材から「体をサビから守る食生活」を始めてみてはいかがでしょうか。

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