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利胆薬と催胆薬と排胆薬の違いは?
公開. 更新. 投稿者:肝炎/膵炎/胆道疾患.この記事は約3分10秒で読めます.
7,374 ビュー. カテゴリ:利胆薬とは?
利胆薬とは、胆汁の流れをよくして、肝臓を守る薬です。
胆道系疾患のため胆汁の排出が阻害された場合に、胆汁分泌または胆汁排出を増加させる薬物を利胆薬といいます。
利胆薬は、作用機序から、肝臓に作用して胆汁生成分泌を促進する催胆薬と、胆囊中より胆汁排出を促進する排胆薬とに分けられます。
また催胆薬は、胆汁量を増加する水分催胆薬と、胆汁成分を増加させる胆汁催胆薬とに分けられます。水分催胆薬としては胆汁酸製剤のウルソデスオキシコール酸やデヒドロコール酸などがあり、胆汁催胆薬には鬱金(ウコン)やその主成分のショウノウ酸エステルであるトカンフィルやいくつかの合成品があります。
肝臓に働いて、胆汁生成を促進するのが催胆薬です。
胆のうに働いて、胆汁分泌を促進するのが排胆薬です。
胆汁酸利胆薬と水利胆薬
利胆薬は胆汁酸、胆汁色素などの胆汁成分を増加させる胆汁酸利胆薬と、胆汁成分を増加させない水利胆薬の2種類がある。
胆汁酸利胆薬には、胆石溶解薬として用いられているウルソデオキシコール酸(UDCA、ウルソ)、ケノデオキシコール酸(CDCA、チノ)などがあり、水利胆薬にはデヒドロコール酸などがある。
利胆薬は胆道内圧を上昇させるため、閉塞性黄疸、急性炎症時、高度肝障害例では禁忌である。
胆汁酸利胆薬としてウルソデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸があり、水利胆薬としてデヒドロコール酸がある。
催胆薬には、肝細胞の胆汁分泌を促進させることにより胆汁量を増加させる働きがある。
胆汁酸利胆薬には、利胆作用のほかに胆石溶解作用があり、胆汁うっ滞を伴う肝疾患における利胆だけでなく、胆石症にも投与される。
一方、水利胆薬は利胆作用は主である。
・催胆薬は、うっ滞胆汁を増加させ、胆道内圧を上昇させるため、閉塞性黄疸の患者には投与禁忌である。
・ウルソデオキシコール酸は、胆道疾患、胆汁うっ滞を伴う肝疾患の利胆に対しては成人1回50mgを1日3回経口投与する。
また、外殻石灰化を認めないコレステロール系胆石の溶解に対しては、成人1日600mgを3回分割経口投与する。
錠剤をC型慢性肝疾患における肝機能改善に用いる場合、1日最大投与量は900mgである(顆粒では承認されていない)。
・催胆薬は、重篤な肝障害患者には投与禁忌である。
特にウルソデオキシコール酸は劇症肝炎患者に投与禁忌である。
・催胆薬、排胆薬は、妊婦または妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。
・ウルソデオキシコール酸の重大な副作用として間質性肺炎があり、投与中に、発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常を認めた場合には、速やかに投与中止とし、適切な処置が必要となる。
・ウルソデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸の相互作用として、スルフォニル尿素系経口糖尿病薬の血糖降下作用を増強するおそれがあるため注意を要する。
・ウルソデオキシコール酸は、慢性肝炎、原発性胆汁性肝硬変症の肝機能改善薬として用いられるが、自己免疫性肝炎や薬剤性肝障害の治療にも用いられることがある。
・ウルソデオキシコール酸は、ドイツでは胆汁逆流性胃炎に対して適応がある。
・非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の治療は、減量や薬物治療によるインスリン抵抗性の改善が有効であるが、ウルソデオキシコール酸などの肝庇護薬の有用性も報告されている。
排胆薬とは?
オッジ(オッディ、Oddi)括約筋を弛緩させ、胆汁、膵液の十二指腸への排出を促進して膵胆道内圧を低下させる。
特に、フロプロピオンはCOMT阻害による鎮痙作用と、抗セロトニン作用により、胆道ジスキネジーなどオッジ筋の機能異常に投与される。
胆道疾患治療薬
胆道疾患治療薬として、胆汁分泌を促す催胆薬、胆汁排泄を促す排胆薬がある。
催胆薬
胆汁酸利胆薬には、胆石溶解薬として用いられているウルソデオキシコール酸(UDCA、ウルソ)、ケノデオキシコール酸(CDCA、チノ)などがあり、水利胆薬にはデヒドロコール酸などがある。
催胆薬は胆道内圧を上昇させるため、閉塞性黄疸、急性炎症時、高度肝障害例では禁忌である。
排胆薬
Oddi括約筋を弛緩し、胆汁排泄を促進する。
フロプロピオン(コスパノン)は、鎮痙作用と抗セロトニン作用でOddi筋の機能異常に有用である。
医薬品名 | 成分名 | 特徴 |
---|---|---|
ウルソ | ウルソデオキシコール酸 | 障害性の強い胆汁酸と置換することで肝細胞を保護するほか、抗炎症作用、免疫調節作用、抗酸化作用、抗アポトーシス作用などを示す。 下痢、便秘、腹部膨満感などの消化器症状があらわれることがある。 |
グリチロン | グリチルリチン | 抗炎症作用や免疫調節作用などを示す。 副作用として、偽アルドステロン症による血清カリウム値の低下、高血圧、浮腫などがあらわれることがある。 DL-メチオニン含有経口製剤(グリチロン、ネオファーゲン)は、末期の肝硬変患者には禁忌となる。 |
強力ネオミノファーゲンシー | ||
ネオファーゲン | ||
小柴胡湯 | サイコ、ハンゲ、ショウキョウ、オウゴン、タイソウ、ニンジン、カンゾウ | サイコサポニン、グリチルリチン、バイカリンが主な有効成分であり、抗炎症作用や抗線維化作用などを示す。 肝硬変や肝細胞癌に進展した例では、重大な副作用として間質性肺炎があらわれることがあるため禁忌となる。 INF製剤を投与中の患者には、間質性肺炎を招く恐れがあるため禁忌となる。 |
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