記事
原発性胆汁性肝硬変は肝硬変じゃない?
公開. 更新. 投稿者:肝炎/膵炎/胆道疾患.この記事は約2分49秒で読めます.
3,471 ビュー. カテゴリ:原発性胆汁性肝硬変から原発性胆汁性胆管炎に名称変更
ウルソの添付文書にいまだに記載されている「原発性胆汁性肝硬変」という病名は現在使われていない。
日本では、2016年に、この「原発性胆汁性肝硬変」という病名から「原発性胆汁性胆管炎」という病名に変更となりました。
ウルソの効能効果に以下の記載がある。
原発性胆汁性肝硬変における肝機能の改善
原発性胆汁性肝硬変における肝機能の改善には、ウルソデオキシコール酸として、通常、成人1日600mgを3回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。増量する場合の1日最大投与量は900mgとする。
けっこう多めの使用量です。
難病情報センターのページもすでに「原発性胆汁性胆管炎」に切り替わっていました。
難病情報センター | 原発性胆汁性胆管炎(指定難病93)
原発性胆汁性肝硬変(PBC:Primary Biliary Cirrhosis)という病気は、肝臓の中のとても細い胆管が壊れるという病気です。
肝臓の中のとても細い胆管が壊れるため、胆汁の流れが通常よりも少し滞ってしまい、血液検査をするとアルカリフォスファターゼ(ALP)やガンマ・グルタミル・トランスペプチダーゼ(γGTP)などの酵素が通常よりもかなり高い数値になります。さらに、血液の中に抗ミトコンドリア抗体(AMA)という物質が検出されるのがPBCの特徴です。
なぜ病名に肝硬変という病名が付いていたかと言うと、PBCという病気が発見されたころは初期の段階での診断ができず、肝硬変の状態まで進行し、様々な症状が出始めて初めてPBCとの診断がついたからです。
つまり、以前はPBCと診断された患者さんのほとんどは肝硬変まで進行していた方だったのですが、現在はもっと手前、無症候性の段階で診断がつき、実際には肝硬変まで進展していない場合がほとんどです。
つまり、ウルソを1日900㎎原発性胆汁性肝硬変で使っている患者は今は「肝硬変」じゃないかもしれない。肝硬変に禁忌の「小柴胡湯」とかも使えるかも知れない。使わないほうがいいだろうけど。
アメリカやヨーロッパでは、2015年に、Primary Biliary Cirrhosis(硬変)という病名からPrimary Biliary Cholangitis(胆管炎)に変更されました。
肝硬変よりも胆管炎のほうが軽いイメージを持ちますが、指定難病であることには変わりないので、難病は難病です。
そのうちウルソの添付文書も改訂されるでしょう。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。