2024年11月4日更新.2,470記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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ASTとALTの違いは?

ASTとALTの違いは?

ASTはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの略称です。

ALTはアラニンアミノトランスフェラーゼの略称です。

これらの酵素の血中濃度(活性)は肝細胞障害の代表的な指標となります。

以前はASTのことをGOT、ALTのことをGPTとも言っていました。
GOTはグルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ。
GPTはグルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ。
命名法についての詳細は他で調べてもらうとして、同じ化合物のことを言っています。

ASTの半減期が約12時間、ALTの半減期が約40時間であることを利用して、AST/ALT比は以下のように疾患の鑑別に使われています。

AST>ALT:急性肝炎の初期、アルコール性肝障害、肝硬変、肝細胞がん

AST<ALT:急性肝炎の回復期、慢性肝炎

ASTが異常値であるときは、何らかの異常で肝細胞が破壊されることにより血液中に漏れ出れいるということ。
その数値が高いということは、それだけ肝臓が障害を受けている状態であるということを反映している。

ALTが異常値であるときも同様であるが、ASTは肝臓以外の臓器(心臓、骨格筋、血球)にも存在するため、値の高低が必ずしも肝臓に関係しているとは限らず、AST値のみが高値を示す場合は、肝臓以外の疾患である可能性もある。
肝臓に関する情報を得るには、ALTも一緒にチェックする必要がある。

AST>ALTの場合で、肝臓以外の疾患の可能性としては、溶結性貧血、急性心筋梗塞、骨格筋障害などが挙げられる。

AST、ALTがどのくらいになったら危険?

肝機能検査でAST、ALTが高かったという患者さんがいる。
どのくらいの数字になったら危険なのか。

GOTの値と注意信号
● 11~40 正常値。正常値より低くても問題ありません。
● 100以下(軽度の増加) ウイルス性慢性肝炎、肝硬変、肝細胞がん、脂肪肝で多くみられる数値です。自己免疫性肝炎、薬物性肝炎、閉塞性黄疸の可能性もあります。
● 100~500(中等度の増加) ウイルス性慢性肝炎で多くみられる数値です。自己免疫性肝炎、急性アルコール性肝炎、薬物性肝炎、脂肪肝、肝炎ウイルス以外のウイルスによる急性肝炎、閉塞性黄疸、原発性胆汁性肝硬変、心筋梗塞、筋肉疾患、溶血性疾患の可能性もあります。
● 500以上(高度の増加) ウイルス性急性肝炎(極期)、ウイルス性慢性肝炎の急性増悪で多くみられる数値です。急性アルコール性肝炎、薬物性肝炎、肝炎ウイルス以外のウイルスによる急性肝炎、総胆管結石、心筋梗塞の可能性もあります。
● 1,000以上(高度の増加) ウイルス性急性肝炎(極期)、ウイルス性慢性肝炎の急性増悪で多くみられる数値です。劇症肝炎、薬物性肝炎、虚血性肝炎(ピーク時)の可能性もあります。

多剤服用している患者さんで、肝機能検査に異常が見られた場合に、要因として薬物性肝障害も疑うべきかと思いますが、中止すべきか継続すべきかという判断は医師に委ねられている。

150くらいの数値で、薬の変更もなく様子をみられている患者もいる。
医師が原因は薬ではないと判断しているのだろうけど、その根拠はよくわからない。
薬の変更や中止を行わなければ、その薬が原因ではないという確信はもてない。

ウイルス性肝炎や脂肪肝などの要因を考慮すると、消化器科の受診を勧めるべきだろう。

ALP

ALP(アルカリホスファターゼ)は、アルカリ性環境下(pH10付近)でリン酸モノエステルを加水分解する酵素であり、無機リンの供給、骨代謝などに深く関連しています。
したがって、ALPは生体内に広く存在しますが、特に胆道系細胞、骨芽細胞に多く含まれており、臨床検査で測定される血清ALPは、肝・胆道系疾患、骨疾患およびそれらの悪性腫瘍などをターゲットに測定されています。

【疑われる主な疾患】
ALP値低値:家族性低ホスファターゼ血症、亜鉛欠乏、甲状腺機能低下症
ALP値軽度上昇(基準値の2倍程度):慢性肝疾患、骨折、慢性腎不全、糖尿病
ALP値高度上昇(基準値の2倍以上):閉塞性黄疸、限局性肝障害(肝がん、肝腫瘍)、骨軟化症、くる病、副甲状腺機能亢進症、悪性腫瘍(肺がん、卵巣がんなど)

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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