記事
ウルソは食後に飲んだ方が良い?
公開. 更新. 投稿者:肝炎/膵炎/胆道疾患.この記事は約3分48秒で読めます.
14,026 ビュー. カテゴリ:ウルソと食事
ウルソはウルソデオキシコール酸という胆汁酸の一種。
胆汁酸といえば、食後に分泌されて脂肪の吸収を助ける消化液です。
ウルソの服用時点が薬効に影響しそうな気もしますが、どうなんだろう?
ウルソの有効成分であるウルソデオキシコール酸(UDCA)は胆汁酸の一種であり、消化管から吸収された後、腸肝循環を繰り返しながら、反復投与により胆汁中総胆汁酸分画に占めるUDCAの比率を増やし、肝臓に対して薬理作用を示します。
「絶食」および「食後」投与で直接比較した報告はありませんが、健康成人12名にUDCA450mgを経口投与した場合の食後投与時のAUCは、投与量及び投与条件が異なるものの、健康成人の絶食時400mg(100mg含有錠×4)単回投与時の値と近似しており、食事の影響によってUDCAの薬効が減弱するような吸収量の低下を生じる可能性は低いと推察されました1)。
添付文書では服薬タイミングは設定されておりませんので、患者さんのコンプライアンスを考慮して服薬時期をご指示ください。
田辺三菱製薬HP
腸肝循環に乗っかれば良いので、いつ飲んでも腸から吸収されればOKというわけだ。
細胞障害性の強い胆汁酸(デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸等)と置き換わるためには、胆汁酸が分泌されている食後のタイミングで飲んだ方が良いと思ってた。
ウルソは肝臓の薬?
ウルソは肝臓の薬。と、ざっくり覚えている私。
なぜ肝機能を改善するのか。
ウルソはそもそもウルソデオキシコール酸という胆汁の成分。
胆石を溶かします。
肝臓で作られた胆汁は胆嚢に送られて濃縮されます。
その主な成分は胆汁酸と胆汁色素(ビリルビン)ですが、コレステロール等の脂質も溶け込んでいます。
コレステロールの量が多すぎると溶けきれなくなり、結晶化してきます。これがコレステロール結石です。
初めは小さな粒だったものが、放っておくとだんだん大きく硬くなっていきます。
小さな粒のうちは胆汁の中を浮遊していますが、大きくなると胆嚢や胆管にくっついて、ひどい炎症を起こすことになります。
ウルソデオキシコール酸の本質は胆汁酸そのものです。ウルソデオキシコール酸を服用すると、腸で吸収され、血液循環に乗って肝臓に行きます。次に、肝臓で作られた胆汁とともに胆嚢に行き、胆嚢から十二指腸に出て行きます。そして、再び腸で吸収されて肝臓へ、というように腸と肝臓の間を行ったり来たりします。これを腸肝循環と言います。腸肝循環を何度も繰り返すうちに、循環する胆汁酸がウルソデオキシコール酸に置き換わって行き、コレステロールの濃度が薄められ、結果的に胆石が溶けるという仕組みです。
添付文書の作用機序をみると、
また,投与されたウルソデオキシコール酸は肝臓において,細胞障害性の強い疎水性胆汁酸と置き換わり,その相対比率を上昇させ,疎水性胆汁酸の肝細胞障害作用を軽減する(置換効果).
肝臓の細胞を障害してしまう疎水性の胆汁酸と、親水性のウルソデオキシコール酸が置き換わることで、細胞障害を防ぐということらしい。
胆汁酸は体内コレステロール代謝の最終産物で肝臓の肝細胞で、コレステロールから作られます。
ヒトの胆汁酸には、一次胆汁酸(肝臓で合成される胆汁酸)のコール酸(80%)やケノデオキシコール酸(数%)、ケノデオキシコール酸の7β異性体であるウルソデオキシコール酸(微量)と、二次胆汁酸(小腸の腸内細菌により一次胆汁酸から7α-脱水酸化され生成される)のデオキシコール酸(約15%)やリトコール酸(極微量)とがあります。
リトコール酸、デオシキコール酸、ケノデオキシコール酸、コール酸、ウルソデオキシコール酸の順で左のものほど水に溶けにくく(疎水性が高い)右のものほど水に溶けやすく(親水性が高い)なっています。疎水性が高いものほど細胞傷害性が強く、最も親水性が高いウルソデオキシコール酸が細胞傷害性が低くなっています。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。
1 件のコメント
ウルソは簡単に肝臓の薬とだけ思っていましたが、
わかりやすい作用機序の説明、素晴らしいです。
いつも服薬指導でウルソが初めて処方された方には、胆汁酸そのものなので副作用もほとんどありませんとだけ説明していますが、具体的にどう良いのか話できるいいチャンスになりそうです。