2018年11月20日更新.3,346記事.5,749,708文字.

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スタチンとフィブラートの原則禁忌が無くなった?

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薬剤師

フィブラート系薬とスタチン系薬をいっしょに飲んじゃダメなんですか?

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スタチンとフィブラートの併用

スタチンとフィブラートの併用は日本では原則禁忌とされていました。
が、2018年10月に原則禁忌が解除となりました。

そもそも併用が原則禁忌であった理由は、併用によって横紋筋融解症を発症しやすくなり、腎機能を悪化させることがあるため、という理由でした。
2001年にアメリカで「セリバスタチン」というスタチン系の薬と「ゲムフィプロジル」というフィブラート系の薬の併用によって死亡事故が相次いだ経緯もあります。
しかし、事故発生以降10年が経ち、併用による有効性や安全性を示すデータが集積し、国内外の大規模臨床試験で、両剤の併用によって「心血管リスク」を低減し、安全性も担保した前向きなデータが相次いで報告されてきました。

HMG-CoA 還元酵素阻害薬とフィブラート系薬剤の原則併用禁忌について

欧米では一部の薬剤を除いて腎機能が低下している患者にも併用は可能とされており、国内外のガイドラインでも併用禁忌の記載はない。
というわけで、原則禁忌の記載は無くなり、重要な基本的注意に記載が移されました。
ベザトールSRの添付文書の重要な基本的注意には以下のように記載されている。

腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者に,本剤とHMG-CoA還元酵素阻害薬を併用する場合には,治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用すること。急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。やむを得ず併用する場合には,本剤を少量から投与開始するとともに,定期的に腎機能検査等を実施し,自覚症状(筋肉痛,脱力感)の発現,CK(CPK)上昇,血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること。

これで、スタチンとフィブラートの併用処方が増えてくるのかどうか、今後の動向を見守りたい。

スタチンとフィブラートの違い

スタチンは、LDL-Cの低下作用が強いので、一般的に高LDL-C血症に用います。

フィブラートは、TGの低下作用、HDL-Cの上昇作用があるので、一般的に高TG血症に用います。

スタチン系薬(HMG-CoA還元酵素阻害薬)

スタチンはメバロン酸経路の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素の働きを阻害することで、肝臓でのコレステロール生合成を低下させる。
その結果、コレステロール恒常性維持のため肝臓でのLDL受容体発現が上昇し、血液から肝臓へのLDLコレステロールの取り込みが促進される。

コレステロール合成の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素を拮抗的に阻害する。
その結果、肝細胞内コレステロールプールは減少し、細胞質に存在する転写因子(SREBP-2)の核内への移行が促される。
次いでSREBP-2はLDL受容体の合成亢進をもたらす。
その結果、血中からのLDLの取り込みの促進が起こるので、強力なコレステロール低下作用を示す。

最近は血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、血小板などに対する作用を介する抗動脈硬化作用も注目されている。

現在わが国ではプラバスタチン(メバロチン)、シンバスタチン(リポバス)、フルバスタチン(ローコール)、アトルバスタチン(リピトール)、ピタバスタチン(リバロ)とロスバスタチン(クレストール)がある。
リバロ、リピトール、クレストールのコレステロール低下作用はより強力である。

スタチンには冠動脈疾患(CAD)に対する一次予防効果と二次予防効果があることが多くの大規模臨床(予防)試験で明らかになっている。
また最近は脳卒中の一次予防・二次予防効果も示されつつある。

・催奇形性を疑う報告があるため、妊婦または妊娠の可能性がある女性、妊娠を希望する女性、授乳婦への投与は禁忌である
【副作用】
・肝障害、CK上昇や筋脱力などのミオパチー様症状、さらに血中および尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症が稀ながら報告されている
・横紋筋融解症などのリスクは、スタチン代謝(CYP3A4、CYP2C9など)に影響を有する薬剤やフィブラート系薬、ニコチン酸誘導体などの併用で増加する


フィブラート系薬

核内受容体であるperoxisome proliferator-activated receptor (PPAR)αのリガンドとして作用し、同受容体を活性化する。
この作用機序でフィブラート系薬の多様な薬理作用をほぼ説明できる。
リポ蛋白リパーゼ、肝性TGリパーゼ活性を高め、カイロミクロン、VLDL、IDLの異化を促進し、肝において脂肪酸の合成を抑制し、脂肪酸酸化亢進によりTGの合成を抑制する。
またアポ蛋白A-ⅠとA-Ⅱの合成を亢進させHDL-Cを上昇させる。
フィブラート系薬についてはCADに対する一次並びに二次予防試験が行われ、その有用性が部分的に証明されている。
なお、フェノフィブラートには尿酸排泄作用があり、高尿酸血症を伴う高TG血症に適している。
スタチンとの併用でも横紋筋融解症の増加はみられなかった。

・核内受容体であるPPARαに結合してPPARαを活性化することで、脂質代謝に関わる種々の蛋白質の発現を調節し、TG低下やHDL-C増加などの作用を示す
・高TG血症に対して最も効果的な薬剤である
【副作用】
・重大な副作用の一つに横紋筋融解症がある。横紋筋融解症は、腎障害患者への使用やスタチンとの併用で起こりやすいため注意が必要である

VLDLの異化促進、合成阻害により、主にトリグリセリド(TG)が低下する。
新しい薬剤では総コレステロールも低下する。
type Ⅲの脂質異常症がよい適応。Ⅱbにも用いられる。
ニコチン酸との併用もよい。

主としてトリグリセリド低下薬である。
Ⅲ型ないしⅣ型脂質異常症や糖尿病に伴うⅡb型脂質異常症に有用である。
HDLコレステロール上昇作用もある。
消化器症状を生ずることがある。
胆石の発症を助長する可能性がある。
横紋筋融解を生ずることがあり注意を要する(特にスタチン類との併用で)。
腎機能低下症例(血清Cr≧2.0mg/dL)では使用を控える。

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