2018年10月23日更新.3,351記事.5,706,842文字.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。
睡眠薬

不眠症の薬物治療は、睡眠薬の使用が一般的である。
睡眠薬は化学構造式、作用機序からバルビツール酸系(BB)系、ベンゾジアゼピン(BZ)受容体作動薬、メラトニン受容体作動薬、オレキシン受容体拮抗薬、その他に分類される。
また、催眠鎮静作用のある抗うつ薬や抗精神病薬などが、睡眠の改善を目的として用いられることがある。

BB系薬は依存や耐性が生じやすく、大量服薬により致死的となる危険性があるため、その使用は不穏、興奮状態にある患者の救急的な鎮静や、急性でかつ短期間で改善が期待できる不眠などに限られている。また、これらの欠点を克服すべく開発された「その他」に分類されるブロムワレリル尿素、抱水クロラール、トリクロホスナトリウムは、いずれも耐性や依存性が強く、現在ではほとんど使用されていない。
BZ受容体作動薬は耐性や依存性が少なく、自殺目的における大量服薬時にも生命を失う危険性が小さいため安全性に優れている。
メラトニン受容体作動薬は、睡眠‐覚醒リズムを改善し、自然に近い生理的な睡眠を誘導する。BZ受容体作動薬に比べて催眠作用は弱いが、反跳現象や依存、奇異反応などを生じないため安全性が高い。
オレキシン受容体拮抗薬は、覚醒を促進するオレキシンの受容体への結合を阻害することにより、睡眠を誘導する。

通常用いられる睡眠薬は、ベンゾジアゼピン系薬で催眠作用の強いものである。
ベンゾジアゼピン系薬はそれ以前に用いられていたバルビツール酸系より薬物依存形成作用や呼吸抑制が弱いため、現在まで広く用いられている。

血中半減期により超短時間型(2~4時間)、短時間型(6~10時間)、中間型(12~24時間)、長時間型(24時間以上)の4群に分けられるため、その特徴を利用して薬剤を選択する。

ベンゾジアゼピン受容体への結合が飽和状態になれば、それ以上脳に作用しないため、過量服用の際も死亡の危険性が少ない。
しかし、呼吸抑制が全くないわけではないため注意し、必要ならベンゾジアゼピン受容体拮抗薬フルマゼニル(アネキセート)の静注を用いる。