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睡眠薬と抗うつ薬で禁忌の組み合わせ
公開. 更新. 投稿者:睡眠障害.この記事は約5分18秒で読めます.
4,105 ビュー. カテゴリ:ロゼレムとルボックス
ロゼレムとルボックスは併用禁忌です。
ロゼレムはCYP3A4で代謝されますが、ルボックスはCYP3A4を強く阻害するため、ロゼレムの血中濃度が上がり、作用が強く現れる可能性があります。
ロゼレムの相互作用
ラメルテオンは肝薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP)1A2で主に代謝されるため、CYP1A2を強く阻害するマレイン酸フルボキサミンは併用禁忌、キノロン系抗菌剤は併用注意となっている。
不眠症の患者の場合、フルボキサミンに代表される抗うつ剤を服用している可能性があるため、併用薬がないか確認する。
また、ラメルテオンはCYP2C9やCYP3A4でも代謝されるため、これらの酵素を阻害するフルコナゾール、マクロライド系抗菌剤、ケトコナゾールなども併用注意とされている。
他科を受診する際は必ず、ラメルテオンを服用していることを医師に伝える。
睡眠薬代わりの抗うつ薬
睡眠薬代わりに使えるような抗うつ薬というのもある。
デジレルは睡眠薬?
デジレルやレスリン(トラゾドン塩酸塩)を睡眠薬として処方されることがある。効能効果は「うつ病・うつ状態」のみであるので、適応外になります。
デジレル(トラゾドン)は、抗コリン性副作用が少なく、鎮静作用が強いことが知られています。
用量として1日50~100mgの範囲で投与すると、単剤で睡眠障害を改善することが知られています。
なお、抗うつ剤としては、1日75~100mgを初期用量で、最大200mgで使用します。
トラゾドンの特徴として、徐波睡眠(深い眠り)の比率を増加させます。
トラゾドンの徐波睡眠増加は、5HT取り込み阻害作用によるものと考えられています。
デジレルは欧米では睡眠薬に分類されている。
脳のセロトニン受容体に作用し、具体的な機序は明らかではないが、睡眠と覚醒のリズムが整えられる結果、せん妄の症状が改善すると考えられている。
抗うつ薬は一般にREM睡眠抑制作用がある。
5-HT2受容体拮抗薬でセロトニン取り込み阻害作用を有するトラゾドン(デジレル錠,レスリン錠)は徐波睡眠を増加させ,睡眠持続性を高める。
とくに抑うつ傾向を伴い,中途覚醒や早朝覚醒を主とする睡眠障害の改善に有効である。
認知症疾患診療ガイドライン2017では、ベンゾジアゼピン系薬は過鎮静や転倒、健忘などの有害事象が起こりやすいことから「投与は慎重にすべき」とされており、使用を検討してもよい薬剤としてトラゾドン塩酸塩(デジレル、レスリン)、リスペリドン(リスパダール)を挙げている。
トラゾドンは、5-HT2受容体拮抗作用と選択的5-HT受容体再取り込み阻害作用により抗うつ効果を示すが、前者の作用により徐波睡眠を増加させると報告されている。
1日50㎎を2週間投与したところ、総睡眠時間が延長し睡眠効果が上昇したとの報告がある。
ガイドラインではそのほか、科学的根拠は高くないとしながらも、ミルタザピン(リフレックス、レメロン)と抑肝散も使用を検討しても良いとされている。
デジレル/レスリン
セロトニン5HT2A受容体を遮断し、またセロトニン再取り込みを抑制。
抗コリン作用弱く、鎮静が強い。
トリアゾロピリジン系。
SARI(セロトニン再取り込み阻害+5-HT2阻害薬) セロトニンの再取り込み阻害作用が強く、総睡眠時間を延長させ、第4ステージの睡眠を減少させないことから、睡眠薬の代わりとしての効果も期待できます。
α1、α2受容体の遮断作用があり、抗ヒスタミン作用もありますが、抗コリン作用はあまり強くありません。
抗コリン作用がなく、不安、焦燥、睡眠障害の強いうつ病、ときにせん妄にも有効とされている。
単環化合物、トリアゾロピリジン系抗うつ薬で、ノルアドレナリンに比べ、セロトニンに選択的に作用し、抗うつ作用を示す。
抗コリン作用はほとんどみられず、心臓でのノルアドレナリンの取り込みをほとんど阻害しない。
SARI
デジレル/レスリン(トラゾドン)のことをSARIと呼ぶことがある。
レスリンのインタビューフォームより、
トラゾドン塩酸塩の抗うつ作用の作用機序は次のように考えられる。
1) セロトニン再取り込み阻害作用に基づき、うつ病患者で低下したセロトニン神経機能を亢進させる。 2) シナプス後膜 5-HT2(セロトニン 2)受容体遮断作用が比較的強く、うつ病・うつ状態に伴う睡眠障害 を改善させる。
セロトニン2 受容体拮抗・再取り込み阻害薬(serotonin 2 antagonist and reuptake inhibitor)からSARI。
テトラミドは睡眠薬?
テトラミド(ミアンセリン)は四環系抗うつ薬で、うつ病の薬ですが、眠気の副作用が強いです。
そのため、副作用を逆手にとって、不眠症の治療に使うことがあります。
抗うつ剤として処方する際にも、夜あるいは就寝前の服用が指示されることが多い。
テトラミドは服用によって睡眠が深くなり、睡眠持続性が増すという論文があり、短時間~中時間作用型の睡眠導入剤の代わりとして使えることが示唆されています。
ベンゾジアゼピン系薬のように、離脱症状などの依存が常用量で起こることがなく、筋弛緩作用もないため、高齢者に比較的使いやすい薬であるという。
ただし、テトラミドには抗ヒスタミン作用があり、半減期も約18時間と長いため、常用量を投与すると、翌日に眠気が残ることも。
そのため、抗うつ剤として使うよりも少ない1日10mgとか20mgで使うケースもある。
デパスで眠くなる?
デパスの適応症は、
神経症における不安・緊張・抑うつ・神経衰弱症状・睡眠障害
うつ病における不安・緊張・睡眠障害
心身症(高血圧症,胃・十二指腸潰瘍)における身体症候ならびに不安・緊張・抑うつ・睡眠障害
統合失調症における睡眠障害
下記疾患における不安・緊張・抑うつおよび筋緊張
頸椎症,腰痛症,筋収縮性頭痛
睡眠障害への適応もあり、睡眠薬として使われているケースも多いです。
でも薬効分類的には、睡眠薬というより抗不安薬。
睡眠薬としての処方が多い理由は、向精神薬に分類されていないから。
向精神薬だと、処方日数の上限があります。
以前は14日まででした。
そのため、睡眠薬代わりに、という考えでデパスの処方が行われていた背景も。
デパスはチエノジアゼピン系
エチゾラムはベンゾジアゼピン系薬剤に分類される薬剤ですが、ベンゾジアゼピンとは、窒素原子2個を有する7員環にベンゼン環が縮合した構造をさしています。
エチゾラムは窒素原子2個を有する7員環にベンゼン環ではなくチオフェン環が縮合した構造を持っているので、正確にはチエノジアゼピン誘導体と呼ばれますが、催眠作用などの作用はベンゾジアゼピン系薬剤と同様とされ、一般的にはベンゾジアゼピン系薬剤と呼ばれることが多いようです。
睡眠薬が効く理由は抗不安作用?
従来の睡眠薬は抗不安作用を有しているため、不眠が改善しても、それが睡眠に対する直接的な効果なのか、不安が抑制されて寝つきがよくなったのかが不明でした。
もちろん、交感神経が優位になっている方に抗不安作用を持つ睡眠薬を用いるのも有効ですが、睡眠の導入そのものがうまくいかない方には、睡眠そのものに働きかけるというのがラメルテオンの特徴です。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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