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ミノマイシンはニキビに使えない?
公開. 更新. 投稿者:皮膚感染症/水虫/ヘルペス.この記事は約2分38秒で読めます.
2,360 ビュー. カテゴリ:ミノマイシンの適応とニキビ
ニキビに使う抗生物質といえばミノマイシン。
そのミノマイシンの適応症をみると、
表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎、骨髄炎、咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎を含む)、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、精巣上体炎(副睾丸炎)、尿道炎、淋菌感染症、梅毒、腹膜炎、感染性腸炎、外陰炎、細菌性腟炎、子宮内感染、涙嚢炎、麦粒腫、外耳炎、中耳炎、副鼻腔炎、化膿性唾液腺炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、上顎洞炎、顎炎、炭疽、つつが虫病、オウム病
ニキビ(ざ瘡)が無い。
実は「ざ瘡」という病名では、ミノマイシンを処方できないことになっています。
苫小牧★お肌の健康手帳 ニキビの治療④ミノマイシン
「表在性皮膚感染症」という病名をつければ問題ないのですが、お役所の方針で「ざ瘡」には適応がないことになっています。
ガイドラインで一定の評価をされていながら、厳密には処方できない。
このあたりの事情は一般の方には理解不能かもしれません。
ざ瘡ではんなく、表在性皮膚感染症で処方してるのね。
マクロライドは、プロピオニバクテリウム・アクネスに対する抗菌作用によって保険適応が認められているのですが、実際には、痤瘡の炎症を抑制する効果によっても、その有効性が発揮されると考えてよいと思います。ミノサイクリンはマクロライド系ではなく、テトラサイクリン系の抗生物質ですが、以前から、痤瘡に対する有効性が臨床的に明らかで、痤瘡治療薬として頻繁に使用されていました。ところが、プロピオニバクテリウム・アクネスに対する抗菌剤としての感受性の面から審査されたために、痤瘡に対する保険適応がなくなってしまいました。しかし、痤瘡に対する有効性にはこれまでどおり変わりはなく、これはやはりミノサイクリンの抗炎症作用によるものと考えてよいと思います。アボット感染症アワー 〜感染症と化学療法〜 20080815
アボット感染症アワー 〜感染症と化学療法〜 20080815
適応菌種にアクネ菌が無いのでニキビの適応も無い。
ちなみにルリッドやファロムの適応にはざ瘡があります。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。
1 件のコメント
「コクラン・レビュー」は、痤瘡治療のミノサイクリンについて、「有効性はあるが、有害性が強く推奨できない。」としています。
日本皮膚科学会はガイドラインで上記コクラン・レビューを引用して「システマティック・レビューで推奨されている。」と誤訳・曲解してしまいました。
BMJは、「他のテトラサイクリン系や他の抗生物質よりも明確な優位性の証拠がなく、明らかに有害性は強い傾向で、痤瘡治療でミノサイクリンの使用を正当化することは困難。」としています。
イソトレチノイン使用中に原因不明の自殺が異常な頻度で発生していることは医療従事者であれば知らないことはあり得ないですね。