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リーマスはうつ病にも効く?
公開. 更新. 投稿者:うつ病.この記事は約5分24秒で読めます.
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治療抵抗性うつ病とリーマス
リーマスって躁うつ病の薬でしょ?
リーマス(炭酸リチウム)は抗躁薬と呼ばれる躁病の薬です。
適応症も「躁病、躁うつ病の躁状態」となっていますが、抗うつ薬の効きにくいうつ病の患者さんに使われることもあります。
なんで炭酸リチウムが気分を安定させるのかはよくわかっていません。
リチウムが躁病に効くのを発見した経緯も偶然の産物です。
躁うつ病の治療には躁に対しても、うつに対しても気分安定薬を処方するのが基本です。
しかし、躁には劇的に効くのに対して、うつにはそれほどの効果はない。
うつに対してはっきりとしたエビデンスがあるのが気分安定薬のリチウムです。
しかし、副作用が強く、ほかの薬などを一緒に飲んだりすると血中濃度が急に上がって、重症な中毒になる危険もある。
このため、血中濃度を測って、ちょうどいい濃度で安定するようにしなければならないのです。
また、適当な量でも手の震えが出てしまうので、患者さんはなかなか続けにくいのです。
このため、リチウムと同程度の効果があって、副作用の少ない薬が求められている。
リーマスがうつ病に効く?
うつ病の薬物治療では、1種類の抗うつ薬を十分量かつ十分な期間使用することが基本とされるが、抗うつ薬に反応しない場合や、副作用が強いなどの理由により抗うつ薬の変更・増量が困難な場合は、別の薬剤の併用による抗うつ効果増強療法(オーグメンテーション療法)が試みられる。
抗うつ効果の増強には、炭酸リチウム(リーマス)やラモトリギン(ラミクタール)、バルプロ酸ナトリウム(セレニカ、デパケン)カルバマゼピン(テグレトール)などの抗躁薬、アリピプラゾール(エビリファイ)やクエチアピンフマル酸(セロクエル)、オランザピン(ジプレキサ)などの非定型抗精神病薬が適応外で使用される。
リチウムの抗うつ効果増強作用のメカニズムは明らかになっていないが、セロトニン系やγアミノ酪酸(GABA)系への作用、神経細胞新生作用などが関与している可能性が考えられている。
リチウムは、有効血中濃度域と中毒濃度域が近接していることで有名である。
腎障害の既往歴のある患者や食事・水分摂取量不足の患者、高齢者に投与すると、リチウムが体内に貯留し中毒を来す恐れがある。
また、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や利尿薬、ACE阻害薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)などと併用すると、血清リチウム濃度が上昇することがある。
従って、リチウムの交付時には、食事・水分摂取不足や脱水、上記薬剤の併用などに十分に注意しなければならない。
リチウム中毒の初期症状としては、食欲低下、悪心・嘔吐、下痢などの消化器症状、振戦、傾眠、錯乱などの中枢神経症状、運動障害、発熱、発汗などが知られている。
また、リチウムをSSRIやSNRIと併用すると、セロトニン症候群(錯乱、激越、腱反射亢進、ミオクローヌス、振戦、下痢、発汗、悪寒、発熱など)を起こしやすいとの指摘もある。
リチウムの使用時には、血中リチウム濃度のほか、甲状腺機能検査(FT4,TSH)、糸球体ろ過量(GFR)、血中カルシウム濃度などのモニタリングを行うことが望ましいとされる。
リーマスはてんかんに禁忌?
リーマスの禁忌に、「てんかん等の脳波異常のある患者[脳波異常を増悪させることがある。]」とある。
デパケンなんかは躁うつ病にもてんかんにも使われたりするので、リーマスもてんかんに使われたりするんじゃないかとか考えたりしましたが、逆に禁忌なので要注意。
様々な精神病を合併している患者は多いので注意。
双極性障害と治療抵抗性うつ病
いわゆる「治療抵抗性うつ病」と診断されている患者の中にも、双極性うつ病の患者が一定数存在する。
うつ病と診断されている患者の50%が、双極性となる可能性のある偽単極性であるという指摘もある。
双極性障害患者に抗うつ薬を投与すると、躁転やラピッドサイクラー化を来すリスクが高まる恐れがあるため、うつ状態を主訴とする患者においては、まうバイポラリティ(躁病性の要素)の有無を確認することが重要となる。
また、十分な抗うつ薬治療に反応を示さない場合にも、安易に治療抵抗性うつ病と結論付けず、家族などからの情報聴取も含め、改めてバイポラリティの確認を行う必要がある。
治療抵抗性うつ病
作用機序の異なる2種類以上の抗うつ薬を、十分な量、十分な期間投与しても、寛解が得られないうつ病。
双極性障害の過剰診断に注意
双極性障害の過剰診断を懸念する声が出てきている。
特に難治性うつ病に対して、ささいな病的ともとれない軽躁状態を拾い上げて双極性障害へと診断変更し、気分安定薬や第2世代抗精神薬を安易に投与するきらいがある。
一般に治療抵抗性うつ病と認識される患者群の中には、従来通りの難治例や、うつ病と誤診された双極性障害だけが含まれるわけではない。
治療が難渋して幾種類もの抗うつ薬をはじめとする向精神薬が投与され、薬原性に躁状態が引き起こされた患者が、数多く混在しているのである。
治療に難渋し、病像が複雑に変化してきている場合は、安易にその状態像のみで診断名や治療方針を変更すべきではない。
一度現在の処方を見直して、減量や整理を行った上で、病像や状態像の再確認を行うことが大切である。
抗躁薬と気分安定薬
「抗躁薬」というカテゴリーがあるのは日本だけであり、世界的には「気分安定薬」というカテゴリーしかないらしい。
精神疾患の分類が未発達だった時代に、日本では「抗躁薬」と「抗精神病薬」という分類しかなかったため、日本独特の「抗躁薬」というカテゴリーが残ったのだろうと思われます。
躁がこのように大きく扱われたのは、おそらく発病初期から周囲の人が「治療が必要だ」と感じるのは、日本では特に、「うつ」ではなく「躁」のほうであったためではないかと思われます。
文献によっては、炭酸リチウム、バルプロ酸ナトリウム、カルバマゼピンをすべて「抗躁薬」として分類しているものもあります。
気分安定薬
気分安定薬と言葉だけで解釈すると、リラックスさせる作用をもつ薬、というイメージを抱く方も少なくないようです。
しかしここでいう気分とは、躁とうつの気分そのものを指します。
そしてそれを安定化させる薬剤を気分安定薬(ムードスタビライザー)と呼びます。
といっても、気分安定薬は躁やうつを単独で治療できるほどのパワーをもっているわけではありません。
気分の変調を是正するために投与した抗うつ薬を「増強する薬剤」、または「維持期の再燃を予防するための薬剤」というふうにとらえられます。
気分安定薬とされる薬剤のなかで、日本で処方される薬剤は3種類です。
まずはカルバマゼピンとバルプロ酸ナトリウム。
この2つは、主に「抗てんかん薬」として使われている薬です。
もう1つは炭酸リチウムです。
臨床経過報告などから、気分の変調は一度起こるとそのこと自体が次の変調の呼び水になるということがわかっています。
カルバマゼピンやバルプロ酸ナトリウムなどの抗てんかん薬は、脳の細胞膜の電位を安定化させることで、脳内の信号伝達のイレギュラーな活動を抑え、再燃を防止している可能性があります。
炭酸リチウムの作用機序には不明な点が多いのですが、リチウム塩の分子は小さく、脳への移行が容易であると考えられ、また急速充電と放電が可能な高性能蓄電池に使われるほど電気的な安定を得やすいので、脳の電位を安定化させるのではないかと考えられています。
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