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薬の副作用で乾癬になる?
公開. 更新. 投稿者:乾癬.この記事は約2分25秒で読めます.
3,116 ビュー. カテゴリ:乾癬型薬疹
薬が原因で引き起こされる乾癬というのもあるようです。
乾癬はその特有の皮膚症状として、鱗屑を伴う紅斑が主体とされ、痒みを伴うことが多い。
特定の薬剤を服用することによって、乾癬と似た皮疹が誘発されたり、乾癬が増悪する場合があり、それらを「乾癬型薬疹」と呼ぶ。
乾癬型薬疹の原因となる薬剤は幾つか考えられるが、中でも降圧薬による発症例が最も多いとされ、特にカルシウム拮抗薬とβ遮断薬が原因としてよく知られる。
降圧薬では他に、ACE阻害薬やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)でも発症例が報告されている。
降圧薬以外には、レミケードやインターフェロンなどの生物学的製剤、炭酸リチウム(リーマス)、テトラサイクリン系やペニシリン系の抗菌薬、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)、抗結核薬のイソニアジド、糖尿病治療薬のメトホルミン塩酸塩などが知られているが、他の薬疹ほどは発症しにくい。
薬剤性乾癬
乾癬は薬疹として発生することもあり、特に高齢者が多いといわれている。
Ca拮抗薬やβブロッカー、ACE阻害薬などの降圧薬、NSAIDsやリチウムなどが知られている。
このような薬剤を服用した後に乾癬が発現したり、症状が悪化・難治化する場合には、薬剤性の可能性も考慮する必要がある。
発症機序
発症機序に関してはよく分かっていない部分が多い。
カルシウム拮抗薬による機序としては、表皮基底細胞内のカルシウム濃度が低下することで、環状アデノシン一リン酸(サイクリックAMP:cAMP)が減少し、cAMPによって抑制されていた角化細胞の増殖・分化が促進され、乾癬の誘発や悪化に至ると考えられている。
β遮断薬では、角化細胞のβ受容体が遮断されることで表皮内エピネフリン感受性アデニル酸シクラーゼの活性が低下し、cAMPが減少することにより角化細胞の増殖・分化が促進されると考えられている。
こうした薬理作用のほか、乾癬の病因と考えられるT細胞の活性化が、薬剤アレルギーの形で誘発されている可能性もある。
乾癬の原因
乾癬の原因はまだはっきりわかっていないが、乾癬患者の病変部では表皮の異常だけでなく、何らかの要因(遺伝的要因や外部から加わった要因(ストレス、感染症、肥満、薬物など))により、免疫異常が生じ炎症が起きることがわかってきている。
特に食生活の欧米化によって脂肪の多い食事の影響か、戦後、患者数は増えている。
遺伝に関しては、日本の家族内発生頻度は5%程度といわれている。
イヌイットと乾癬
乾癬に使われる内服薬には、経口ステロイド剤や免疫抑制剤などがありますが、副作用の発生頻度が比較的高く、服用を中断せざるを得ないことがあります。
乾癬の治療薬で、より安全性の高い薬という観点から、魚油に含有される不飽和脂肪酸のエイコサペンタエン酸(EPA)が注目されています。
アザラシや鯨を食べるイヌイットは、肉や乳製品をよく食べるデンマーク人と比べて、乾癬の発症率が20分の1だったそうです。
表皮角化細胞(ケラチノサイト)の増生に深く関わっているのがLTB4で、EPAやイコサペント酸エチルの摂取によりLTB4の産生が抑制されることがわかってきました。
EPAの代謝産物である15-HEPEが表皮に蓄積されることによって、15-HEPE由来のLTB5が優先的に産生されるためと考えられています。
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