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PET検査時に中止する薬?
公開. 更新. 投稿者:服薬指導/薬歴/検査.この記事は約2分6秒で読めます.
5,034 ビュー. カテゴリ:PET検査時に中止する薬
検査時に中止する薬は医療機関から指示されるので、薬局で説明する機会は無いし、うろ覚えの場合は医療機関に確認してもらうほうが間違いない。
しかし、薬剤師として知っておく。
FDG-PET検査を受ける際に、服用中止を指示される薬剤がある。
それは、主に糖尿病治療薬と下剤である。
FDG-PET検査では通常、4~6時間前に絶食するよう指示される。
その理由は、食事により血糖値が高まるとFDGが正常な筋肉や脂肪に集積しやすくなり、またブドウ糖との競合でFDGが癌組織に取り込まれにくくなり、検査の精度が落ちるためである。
血糖値とPET検査
日本核医学会などによる「FDG-PETがん検診ガイドライン(2012改訂)」には、FDG-PET検査時の血糖値について、「血糖値は150mg/dL以下を原則とする。200mg/dL以上では画質の劣化により診断能が著しく低下する」との記載がある。
糖尿病患者が絶食時に糖尿病治療薬を使用すると、低血糖に陥る可能性が高まる。
そのため、検査当日や絶食期間中は、インスリンの注射や糖尿病治療薬の服用を中止しなければならない。
加えて、糖尿病治療薬は組織のGLUTの活性を上昇させ、組織にFDGを集積させるため、検査精度の低下を招く点も問題となる。
下剤とPET検査
胃や腸は蠕動運動をしており、FDGが集積しやすい。
そのため、下剤(腸管蠕動運動を促進するセンノシドなど)の服用を、前日から中止するよう指示されることもある。
このほか、FDGの集積異常が報告されている薬剤として、一部の抗癌剤、ジアゼパム、エルゴタミン製剤、セトアミノフェン、レボドパ製剤、プロプラノロール塩酸塩などが知られており、中止を検討すべきと思われる。
PET検査とは
PET(positron emission tomography)検査は、放射線同位元素を含む薬剤(放射性医薬品)を体内に注射し、そこから出る放射線を検出して生体の機能を画像化する検査である。
主に使用される放射性医薬品はフルデオキシグルコース(18F)(略称FDG、商品名FDGスキャン)で、これを用いたPET検査をFDG-PET検査と呼ぶ。
FDGは、ブドウ糖の1か所の水酸基を放射性同位体のフッ素(18F)に置換したもので、体内の細胞にグルコーストランスポーター(GLUT)を介して取り込まれ、ブドウ糖を消費している組織に集積する。
癌の病巣には正常細胞の3~8倍のFDGが集積するため、PET装置で画像化することで癌の発見や進行度の判断に役立つ。
FDG-PET検査時の患者への指示として、前日から運動を控えるよう指示される。
これは、筋肉を使うと、動かした筋肉にFDGが集まりやすくなり、検査の妨げになるためである。
検査当日は、口腔の筋肉を使うガムの咀嚼や会話を禁じたりする医療機関もある。
参考書籍:日経DI2015.12
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