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固縮と痙縮の違いは?
公開. 更新. 投稿者:パーキンソン病.この記事は約2分12秒で読めます.
13,164 ビュー. カテゴリ:固縮と痙縮
痙縮とか固縮とか、筋肉の緊張状態の違いを混同しています。
痙縮とは、中枢神経の錐体路系の障害時にみられる筋緊張(筋を伸張した際の抵抗力)が異常に高まった状態であり、筋を受動的に伸張したとき、その初期にだけ筋の反射性収縮が起こって抵抗する反応、相動性伸張反射と呼びます。
リハビリテーション医学の視点では、脳障害・脊髄障害によって生じた異常な肢位・姿勢ととらえてほぼ間違いありません。
中枢性麻痺にともなって生じますが、麻痺とは別の概念ととらえます。
中枢性麻痺には痙縮による独特な肢位がつきものであるため麻痺そのものと混同されがちですが、「痙縮=筋緊張の異常」は、「麻痺=動かないこと」とは異なる概念です。治療に際しては分けて考える必要があります。
固縮とは、大脳皮質と視床、脳幹を結びつけている神経核の集まりの大脳基底核などが脊髄に向かって大脳皮質から下降する運動経路の一つの錐体外路形の障害時にみられる筋緊張異常で、筋を受動的に伸張したとき、初めから終わりまで一様の抵抗を示す反応で、緊張性伸張反射と呼びます。
ずっと固まっているのが固縮で、動かそうとしたときだけ固まるのが痙縮です。
折りたたみナイフ現象、なんて面白い比喩も。
折りたたみナイフ現象とは、四肢の関節を他動的に動かそうとすると強い抵抗が見られるが、その後抵抗が急激に弱くなるという現象のことである。折りたたみナイフに力を加えると急激に閉じる様子に似ているため、この名がついた。上位運動ニューロン障害に特徴的な反応のひとつである。
固縮は錐体外路で、痙縮は錐体路。
ダントリウムなどの筋弛緩薬の適応症には、「痙性麻痺」ってあるので痙縮に使う。
テルネリンの薬効薬理に
「チザニジンは中枢性のアドレナリンα2作動効果を有し、脊髄及び脊髄上位中枢に作用して、固縮緩解作用、脊髄反射抑制作用等の筋緊張緩和作用を有する。」
って書いてあるから、固縮にも効くんだろう。
固縮って聞くと、パーキンソン病を思い浮かべるけど、一般的な筋弛緩薬は使われないような。
リボトリールとかは見かけるけど。
介護的には、初めだけ固い痙縮よりも、最初から最後まで固い固縮のほうが面倒って感じかな。
痙縮の治療
痙縮治療で筋緊張を落とすと、筋力低下が生じます。痙縮がみられる筋は、重症であれ軽症であれ中枢性麻痺が存在するので、不用意に脱力を生じさせると悪い結果に陥ることがあります。
例えば、中枢性麻痺で筋力が低下している下肢は、痙縮による筋緊張を利用して関節を固定することによって立位保持を行っていることがあり、このようなケースに対してしっかりとした痙縮治療を行うと立てなくなってしまうことになります。慎重に適切に痙縮治療の加減を行うことが重要です。
筋弛緩薬は、全身に効果が現れるので、痙縮がないまったく健常な筋の緊張も落としてしまうということになります。痙縮そのものは軽減したものの麻痺がない下肢に脱力を生じてしまい立てなくなったということもあります。
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