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メトグルコ服用中お酒を飲んじゃダメ?
公開. 更新. 投稿者:糖尿病.この記事は約3分37秒で読めます.
9,139 ビュー. カテゴリ:アルコールと乳酸
薬の服用中お酒を飲んではいけないのは当然ですが。
まあ、飲む人もいる。
過度に飲まなければいいですよ、とか言うこともある。
アルコールの影響は薬によりけり。
フラジールの禁酒は有名。
メトグルコ(メトホルミン)を飲んでいる人も飲酒に注意。
メトグルコの禁忌に、
過度のアルコール摂取者〔肝臓における乳酸の代謝能が低下する。〕
と書かれている。
アルコールは、アセトアルデヒドを経て酢酸に分解される過程でNAD+を著しく消費するため、NADH/NAD+比が上昇し、乳酸からピルビン酸への転換が抑制され、血中の乳酸レベルが上昇します。
一方、ビグアナイド薬はミトコンドリア膜に結合して酸化的リン酸化を阻害します。
ビグアナイド薬によって酸化的リン酸化が阻害されると、NADH/NAD+比が上昇し、ピルビン酸から乳酸への代謝に傾き、乳酸が蓄積しやすくなります。
アルコールもメトホルミンも、体内に乳酸を蓄積してしまう。
通常は、乳酸が蓄積すると肝臓での乳酸代謝が亢進してバランスが保たれますが、乳酸代謝能が低下した場合にはこのバランスが崩れ、乳酸が蓄積することで血液のpHが酸性側に傾き、乳酸アシドーシスが発現します。
メトグルコによる乳酸アシドーシスは怖い副作用です。
最近では血糖降下薬よりも比較的安全な薬として処方頻度も多いですが、なるべく副作用を起こさないよう服薬指導時の注意が必要です。
しかし、お酒の強い弱いは個々の患者の体質によるものが大きく、「過度のアルコール」というのがどの程度の量なのかはわかりづらい。
1つの目安として、メトグルコの安全性試験の除外基準として、「アルコール常用者(1 日平均アルコール換算でビール大瓶 2 本以上) 」という記載がみられるので、ビール大瓶 2 本は確実に「過度のアルコール」に該当するだろう。
糖尿病で血液が酸性に傾く?
糖尿病でインスリン不足に陥ったときに生じる病態に、ケトアシドーシスがあります。
ケトアシドーシスとは、インスリン不足によってブドウ糖を分解することができないため、代わりに脂肪やたんぱく質を分解し、エネルギー源として利用しようとします。
このとき、脂肪酸の不完全燃焼によって多量に発生するのがケトン体(酸性)で、ケトン体が体内に蓄積してくると、体液バランスが酸性に傾き、アシドーシスを引き起こすのです。
血液が酸性に傾くことは無い
しかし、実際には血液のpHは通常7.4で、血液 pH が 7.0 以下になると昏睡に陥り、7.7 以上になると痙攣を起こし、いずれも心臓が停止してしまうという。
なので、pH7を切るような酸性状態になることはまず無いと言って良いでしょう。
糖尿病患者の飲酒リスク
アルコールは、肝臓における糖新生抑制(血糖値低下)と、肝グリコーゲン分解促進(血糖値上昇)の両作用を示す。
慢性大量飲酒者ではグリコーゲンが枯渇しているため、糖尿病用薬との併用による低血糖の誘発に注意が必要である。
また、糖新生の抑制を主作用とするビグアナイド系薬には、乳酸アシドーシスのリスクがある。大量飲酒では解糖系が促進され乳酸アシドーシスの誘発リスクが高まるため、慢性大量飲酒者への同薬の使用は禁忌である。
なお、慢性大量飲酒では、アルコール性膵炎に伴うインスリン分泌低下も問題となる。アルコール性膵炎の半数以上は糖尿病を合併していることや、慢性膵炎の約7割はアルコールに起因することが知られている。また、アルコール自体や飲酒時の食事摂取によって、カロリー・塩分過多となり、肥満や生活習慣病の悪化を招く恐れもある。
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