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錠剤の上手な割り方は?スプーンを使うと錠剤をキレイに割れる?
公開. 更新. 投稿者:調剤/調剤過誤.この記事は約3分43秒で読めます.
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錠剤の上手な割り方
錠剤を半分に割る必要がある場面は、意外と多くあります。たとえば、医師の指示で半錠投与される場合や、服用量の調整、副作用のリスク軽減のための漸減目的などです。薬剤師や医療スタッフだけでなく、患者自身が家庭で半錠にする場面もあります。そこで今回は、錠剤をうまく割るためのコツや便利な道具を紹介します。
基本の道具:錠剤カッター(ピルカッター)
もっとも一般的に用いられるのが、調剤専用の「錠剤カッター」や「ピルカッター」と呼ばれる器具です。「プチはんぶんこ」や「半錠くん」などの商品名で市販されており、薬局やネットショップなどでも購入できます。刃が中央にあり、カバーを閉じて上から押すことで錠剤を真っ二つにカットできる構造です。
形が整っており、力も不要で、比較的均等に割れるため、特に高齢者や手先が不自由な方にとっても扱いやすい道具です。ただし、刃の手入れや、錠剤のサイズが合わないときには注意が必要です。
錠剤カットはさみ
ピルカッターでも割りづらい場合や、固い錠剤などには「ハサミ型のカット器具」もあります。こちらは通常のはさみに似た形状で、刃先にくぼみがあり、そこに錠剤を挟んで切断します。
普通の文房具用はさみで無理に割る方もいますが、錠剤が飛んでしまったり、粉砕されてしまう危険性が高いため、専用のものを使うのが安心です。
スプーンを使った割り方:割線のある錠剤におすすめ
割線(スコアライン)が入った錠剤は、もともと割ることを前提として作られており、均等に分けやすい形状です。これまでは手でパキッと割ることも一般的でしたが、より確実に、力を入れすぎずに割るには「スプーン」を使う方法が非常に有効です。
スプーンを使った割り方:
・錠剤の割線を上にして、スプーンの背(丸い側)に錠剤を載せる。
・親指で錠剤の両端を軽く押す。
・割線に沿って、きれいにパキッと割れる。
この方法は、手に力が入りづらい方でも安定して扱いやすく、錠剤が飛びにくいという利点もあります。
スプーンの使い方応用:上から押すタイプの錠剤
スプーンを使う際に、上からスプーンで錠剤を押し付けて割る方法が有効な製剤もあります。たとえば、アゾセミド錠「JG」はその代表例です。この製剤は割線の構造や錠剤の材質により、横から押すよりも、上からの力で割った方がうまく割れる場合があります。
このように、同じスプーンを使う方法でも、割る方向や力のかけ方を工夫することで、割りやすさが大きく変わるのです。

かわら錠(カラテ錠)
寿製薬が開発した「かわら錠(カラテ錠)」という特殊な錠剤は、上から手指で押さえることで、驚くほど簡単に割ることができる構造をしています。特許も取得されており、ジェネリック製品で「KO」という表示があるものは、このタイプであることが多いです。
「カラテ錠」は見た目は通常の錠剤に近いものの、あらかじめ割れやすい構造を持っているため、ピルカッターやスプーンを使わなくても手指だけで均等に割れるという特徴があります。現場でも「これは上から割ってください」と指導することがあります。
製剤特性と割り方の相性が大切
錠剤の割り方には「これが正解」という方法はなく、製剤の種類・硬さ・形状によって適切な方法は異なります。薬剤師としては、
・ピルカッターやスプーンなど複数の方法を知っておく
・どの製剤にはどの方法が向いているかを経験的に把握しておく
・患者に無理な操作をさせず、正確な半量投与を促す
ことが重要です。
ときには、割らずに半量製剤への変更を提案することや、粉砕や一包化などの別の工夫も選択肢になります。錠剤を割るという行為の背後には、安全性や有効性への配慮が求められていることを忘れずに対応したいところです。
1 件のコメント
プレドニン錠くらいだと、スパーテルで、ここに書いてある方法が一番良いです。ほとんどの錠剤はハサミ状のカッターで。メルガゾール錠等の一部の糖衣錠はステープラー状のカッターで。錠剤によってデバイスを使い分ける必要があります(特にステープラー状のカッターはミスしやすいので)