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イソニアジドとピドキサールの併用意図は?
公開. 更新. 投稿者:結核/肺炎.この記事は約5分46秒で読めます.
6,439 ビュー. カテゴリ:イソニアジドでしびれ
イソニアジドは、ビタミンB6の働きを阻害するため、副作用として下肢や上肢にしびれが起きることがある。
また視神経炎の報告もある。
この予防および治療の目的で、ビタミンB6製剤が用いられる。
また、マグロ、ブリ、サバなどのヒスチジンを多く含む魚を摂取すると、紅潮や頭痛などの症状を示すことがある。
イソニアジドとビタミンB6
イソニアジドは、ビタミンB6群のリン酸化に必要なピリドキサルホスホキナーゼを阻害すること、およびピリドキサルホスヘートとキレートを形成することにより、体内のピリドキシン(ビタミンB6)不足状態を生じる。
ピリドキシンの補充により末梢神経障害の予防が可能である。
結核の薬でビタミン不足
イソニアジドはビタミンB6と構造が似通っているため、服用中はビタミンB6の拮抗物質として働く。
その副作用として、ビタミンB6欠乏による末梢神経障害が起こることがある。
この不足したビタミンB6を補うために、ピドキサールが一緒に処方されることが多い。
なお、イソニアジドはモノアミン酸化酵素(MAO)を阻害する。
そのため、蓄積したノルアドレナリンの遊離が促進されて、動悸や頭痛、発汗、血圧上昇などの高血圧発作を起こすことがある。
また、イソニアジド服用中にチラミン含有食品を摂取すると、高血圧発作を誘発する可能性が示唆されている。
チラミン含有食品としてビールやチーズなどが知られており、注意が必要である。
その他に、イソニアジドはヒスタミンの代謝を阻害するため、鮮度の低い赤味魚を同時に摂取すると体内でヒスタミンが蓄積し、ヒスタミン中毒が発現する可能性がある。
結核患者が薬を飲むのを毎日見守る?
結核の治療では、最短でも6ヶ月間にわたる服薬が必要です。
しかし、ある程度症状が治まってくると飲み忘れ、あるいは服薬を自己中断してしまうケースがあります。
それを防ぐ為に、WHO(世界保健機関)では、DOTS戦略(Directly Observed Treatment, Short-course:直接服薬確認による短期化学療法を基本とした治療戦略)を世界的に推進しています。
日本でも感染症法第53条で、保健所の保健師等による「家庭訪問指導」、患者を診療した「医師の指示」を定めています。
第五十三条の十四 保健所長は、結核登録票に登録されている者について、結核の予防又は医療上必要があると認めるときは、保健師又はその他の職員をして、その者の家庭を訪問させ、処方された薬剤を確実に服用することその他必要な指導を行わせるものとする。
第五十三条の十五 医師は、結核患者を診療したときは、本人又はその保護者若しくは現にその患者を看護する者に対して、処方した薬剤を確実に服用することその他厚生労働省令で定める患者の治療に必要な事項及び消毒その他厚生労働省令で定める感染の防止に必要な事項を指示しなければならない。
毎日服薬を誰かが確認しなくちゃいけない、ってのは大変だなあ、と思っていましたが、コンプライアンスの程度によって様々な方法があるようです。
まず、入院したら「院内DOTS」が始まります。医師や看護師が見守ります。
退院後から行われるDOTSを「地域DOTS」と言い、患者は3つにグループ分けされます。
治療を中断するリスクが高い患者は、「外来DOTS」が行われます。これは、患者が毎日病院や保健所へ行くように促し、医療従事者の前で薬を服用してもらいます。
保健所DOTSとか、外来DOTSとか呼ばれます。
次に、それほど高いリスクはないが、介護が必要な在宅高齢者など、支援の必要がある場合は、「訪問DOTS」が選ばれます。
保健師などが週1~2回自宅を訪問して、服薬の確認を行ったり指導をしたりします。
これ以外にも「連絡確認DOTS」があり、月1~2回以上、電話や家庭訪問、手紙、メール等によって、本人に服薬状況を確認します。また、薬剤師が行う「薬局DOTS」が行われている地域DOTSもあります。
外国人の患者に対しては、日本語学校の講師に協力してもらう「学校DOTS」というのもあります。
患者さんによっては、この見守りを、子供扱いしている、信用されていない、と感じる人もいる。
結核に罹ったら入院しないといけない?
結核患者が薬局に来局すると、無知な私はうつされないか心配になり、患者がいた周辺をアルコール消毒したりします。
結核の治療というと、サナトリウムみたいな施設に長期入院して隔離されるようなイメージです。
結核に感染をしているだけの状態では、症状もなく、他の人に感染を広げることはありま せん。結核菌に感染をしても、発病する方は10~20%程度と言われています。
また発病しても、すべての患者が入院するわけではありません。結核登録患者のうち、約半数の方は、排菌(痰のなかに結核菌が存在する状態)しているため、入院が必要になりますが、残りの半数は、排菌していない状態なので、通院による治療が可能です。
入院が必要になるのは、喀痰の塗抹検査で結核菌が検出された場合(塗抹陽性)や、胸部X線写真で肺に空洞を認めた場です。これらの場合は、周囲に感染させる可能性があるため、感染症法に基づいて、結核病床を有する病院への入院勧告がなされ、患者は約2か月間の隔離入院を余儀なくされる。
2008年~2018年では、年間2万人弱の新規登録結核患者のうち、塗抹陽性の割合は4割前後を推移している。つまり、少なくとも患者の4割が入院している計算です。
一方、喀痰の塗抹検査が陰性で、その後の培養で結核菌が検出された場合は、外来で治療が行われる。また、肺外結核を発病した場合も外来で治療することがある。
入院期間は、排菌が停止して他の人にうつさなくなったことが確認されるまでです。おおよそ2~3か月くらいが入院期間のようです。しかし米国での平均入院日数は10日程度で、日本の入院期間は欧米に比べて極めて長いとのこと。
結核菌は、ゆっくり発育する菌であるため、治療には、抗結核薬を3~4種類、少なくとも6か月以上の期間が必要になります。
つまり、結核菌の保菌者の段階としては、感染→発病→排菌という段階があり、排菌という段階になるまでは、それほど恐れる必要は無い。
高齢者は、かつて結核が流行していた時代に、感染をうけた方が多いと報告されています(既感染率は80歳代 で50%以上)。感染後、何年もの間、体内で封じ込められていた結核菌が、免疫力の低下などに伴い、発病することが問題になっています。
結核は飛沫・空気感染であるため部屋の換気を十分にし、部屋の清掃は通常行っている方法で実施すればよい。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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