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抑肝散が認知症に効く?
公開. 更新. 投稿者:認知症.この記事は約3分11秒で読めます.
3,228 ビュー. カテゴリ:抑肝散と認知症
近年、周辺症状(BPSD)や幻視に対しては漢方薬の抑肝散がかなり有効だという報告があり、単独あるいは併用して使われることがあります。
1週間ごとに経過を追ってみると、抑肝散服用2週間目の途中ぐらいから効き始めるというのが一番多いパターンのようです。
抑肝散では、抗精神病薬で出現する可能性の高い錐体外路症状やADL低下、嚥下障害などが現れないため、使用しやすいと思われますが、飲んだその日から効くということは期待できないため、患者さんが非常に攻撃的になっている場合などは、いったん抗精神病薬で鎮静させる必要があるかも知れません。
この漢方薬には甘草が入っているのでお湯で溶いても比較的飲みやすいのですが、嚥下障害のある方にはゼリーに混ぜてもいいと思います。
抑肝散の作用機序については、まだあまり解明が進んでいませんが、セロトニン神経系への関与が推測されています。
老年期においては、体を温め、加齢によって不足しがちな体力・気を補い、水分代謝を整えることは大切だと思われます。
なお、抑肝散に陳皮と半夏という生薬を加えた抑肝散加陳皮半夏も有効との報告があります。
抑肝散の用法
投与量は夜間の睡眠障害や不穏が目立つ場合は就寝前2.5g/日、さらに日中にも不穏があれば5g/日でも効果が得られるとされています。
1日3回じゃなくて良いんですね。
周辺症状と非定型抗精神病薬
2005年、認知症に関連した精神症状を有する高齢患者に非定型抗精神病薬を使用した場合、プラセボに比較して死亡率が1.6~1.7倍高いことを米食品医薬品局(FDA)が警告した。
非定型抗精神病薬よりも定型抗精神病薬の方が、死亡リスクがさらに高いとの調査報告もあり、安易な抗精神病薬の使用に警鐘が鳴らされた。
そこで、BPSDの薬物治療を安全に行う意味で漢方薬が注目されるようになり、抑肝散が適応外使用されている。
抑肝散の作用機序
脳内にグルタミン酸が過剰になると、グルタミン酸神経系が興奮作用を示し、神経毒性が生じる。
抑肝散は、グルタミン酸神経系に対して、グルタミン酸トランスポーター賦活作用を及ぼし、外液グルタミン酸濃度の上昇を是正する。
さらに、神経細胞への直接作用として、NMDA受容体(グルタミン酸受容体)拮抗作用、グルタミン酸・シスチンアンチポーターシステム(グルタミン酸と交換にシスチンを細胞内に取り込みグルタチオンを合成)やグルタチオン産生系の活性化作用(グルタチオンは酸化ストレスによる細胞障害を防御)により、神経細胞を保護する可能性が考えられている。
また、抑肝散の構成成分である釣藤鈎のアルカロイド成分の一つであるガイソシジンメチルエーテルが、セロトニン(5HT)神経系に対して、5HT1A受容体パーシャルアゴニスト作用、5HT2A受容体ダウンレギュレーション作用(5HT1A受容体への反復的パーシャルアゴニスト作用は5HT2A受容体の脱感作を誘発する)をもたらすことにより、神経細胞の興奮を抑える可能性も考えられている。
いずれも脳神経細胞の興奮に対して抑制的に作用することから、これらの作用が脳神経細胞の興奮に伴う興奮、攻撃性、幻覚などのBPSDの改善に関与していると推察されている。
神経の高ぶりを抑える漢方薬
抑肝散といえば、最近では認知症によく使われる漢方薬。
抑肝散の効能効果は、
虚弱な体質で神経がたかぶるものの次の諸症:
神経症、不眠症、小児夜なき、小児疳症
抑肝散と似た薬に、抑肝散加陳皮半夏というのもある。
その名のとおり、抑肝散に陳皮と半夏を加えたもの。
抑肝散加陳皮半夏の効能効果は、
虚弱な体質で神経がたかぶるものの次の諸症:
神経症、不眠症、小児夜なき、小児疳症
ほぼ同じ目的で使われる。
疳の虫に使われることから、抑疳散ってことなのかな?と思いましたが、肝と疳は別物らしい。
以前、抑肝散加陳皮半夏が眼科から処方されていて、患者さんに聞くと眼瞼痙攣に処方されたようでした。
自分も最近、パソコンの使い過ぎなのか、目の下がピクピクとするので、抑肝散加陳皮半夏を使うと良いのかな、と思っています。
抑肝散や抑肝散加陳皮半夏以外にも、帰脾湯、加味帰脾湯、桂枝加竜骨牡蠣湯、柴胡加竜骨牡蠣湯などなど、神経の高ぶりに使われるような漢方薬は多い。
てゆーか、病気って神経の高ぶりによって起こるものが多い。
心身が安らげば、健康になるのだろう。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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