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ペネム系とカルバペネム系の違いは?
公開. 更新. 投稿者:抗菌薬/感染症.この記事は約4分60秒で読めます.
17,933 ビュー. カテゴリ:ペネム系とカルバペネム系
ペネム系とカルバペネム系。同じペネムという名前がついていることから、似たような薬と誤解されます。
ペネム系は、ペニシリンとセファロスポリンのハイブリッド骨格を持ち、カルバペネム系とは全く異なる系統の薬剤です。
ペネム系のファロペネムは黄色ブドウ球菌などに有効であり、皮膚細菌感染症の第一選択薬として有用な薬剤です。
ペネム系の位置づけ
βラクタム系薬の薬剤選択においてよく誤解されているのが、ペネム系とカルバペネム系薬の位置づけです。
カルバペネム系薬は重症感染症に対する最後の切り札として慎重に投与されるべきです。
一方ペネム系薬であるファロペネムは、「ペネム」という名称からカルバペネム系薬と誤解されることがありますが、ペニシリンとセファロスポリンのハイブリッド骨格をもち、カルバペネム系薬とは全く異なる系統の薬剤です。
ファロペネムは黄色ブドウ球菌などに有効であり、皮膚細菌感染症の第一選択薬として有用な薬剤です。
小児の場合、剤形や味が問題となって服用が困難な場合があります。
このような場合には、水に溶解しやすく苦味のないファロペネムなど、小児が服用しやすい薬剤の選択、あるいは服用方法の工夫などが必要とされます。
ペネム系抗菌薬
抗菌スペクトルが非常に広い広域抗生物質です。グラム陽性菌を中心に、グラム陰性菌や嫌気性菌に対し抗菌力を広げています。ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)にも有効です。ただし、グラム陰性菌の一部にはやや弱く、緑膿菌には効きません。小さい子供や赤ちゃんは、下痢の副作用を起こしやすいので注意が必要です。
ペニシリン耐性肺炎球菌に有効である。
緑膿菌には無効である。
カルバペネム系薬
超広範囲スペクトルの薬剤であり、抗菌力もきわ立って強い。
治療の切り札の一つである。
カルバペネム系薬はブドウ球菌、肺炎球菌などのグラム陽性菌、大腸菌・肺炎桿菌・緑膿菌などのグラム陰性菌、バクテロイデスなどの嫌気性菌に対して有効であることが特徴である。
近年問題となっているESBL(Extended Spectrum β-lactamase:基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ)には安定であるが、メタロβラクタマーゼにより失活することに注意しなければならない。
カルバペネム系薬は、最後の砦や切り札として表現されることが多く、グラム陽性菌からグラム陰性菌そして嫌気性菌まで幅広く、かつESBL産生菌の増加という背景からも、第1選択薬であるカルバペネム系薬は重要性がさらに増しており、将来使える抗菌薬を残しておくためにも大切に使用しなければなりません。
グラム陽性菌〔MRSA、MRCNS(メチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌)を除く)〕、幅広いグラム陰性菌、嫌気性菌に有効である。
緑膿菌にも効果がある。
一方、同じブドウ糖非発酵菌であってもマルトフィリア菌には自然耐性である。
髄液への移行は良好で、髄膜炎等中枢神経系感染症に用いることができる。
以下の場合には、原則として用いてはならない。①たいていの市中感染症、②手術部位感染の予防、③重症の緑膿菌感染症(特に肺炎)での単剤使用、④緑膿菌以外のPseudomonas感染症、⑤重症の腸球菌感染症での単剤使用
適正な感染症診療を行うならば、使用頻度は少ないはずの薬剤である。
何らかの使用制限を設けるのが望ましい薬剤である。
カルバペネム系薬は耐性緑膿菌の発生リスクが他の抗菌薬に比べて高いとの報告もあることから、適正使用が望まれる代表的な抗菌薬の1つといえます。
カルバぺネム系薬の抗菌スペクトルは、ほかの抗菌薬に比べて広域です。
カルバペネムの作用機序はペニシリン、セフェム系薬と同様に細胞壁合成阻害であり、そのターゲットはペニシリン結合蛋白(penicillin bindig proteins:PBP)です。
したがって、細胞壁を持たないマイコプラズマには効きませんし、PBPが変異しているMRSAにも効きません。
そして、細胞内への移行性も乏しいことから細胞内寄生菌であるレジオネラやクラミド多剤耐性緑膿菌(multidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa:MDRPA)や、KPC(Klebsiella pneumoniae carbapenemases)を産生するクレブシエラ属、NDM-1(New Delhi metallo-β-lactamase)を産生する大腸菌をはじめとしたカルバペネム耐性腸内細菌群に対しても効果がありません
カルバペネムはβラクタム系薬ですので、時間依存性に殺菌作用を示します。
特に、MICを超えている時間が、投与サイクルの中で40~50%以上で最大殺菌作用を示すといわれています。
2016年3月現在、国内の市場に出ているカルバペネム系薬はすべて腎排泄であり、腎機能に合わせた投与設計が必要になります。腎機能に問題がない場合は通常1日3~4回に分けて投与します。
ペニシリン系薬と同様に即時型アレルギーが問題となりますが、ペニシリン系薬にアレルギーがある場合、カルバペネム系薬でも交差アレルギーが認められるとされており(セフェム系薬と同等かそれ以下)、ペニシリンアレルギーの患者では注意が必要です。
また、カルバペネム系薬の重要な相互作用として、バルプロ酸の血中濃度を低下させるため、てんかんでバルプロ酸を服用されている場合には痙攣発作を誘発してしまうことがあります。
この血中濃度の減少は非常に著しく、今まで有効血中濃度だった方がいきなり測定限界近く、あるいは以下まで減少してしまいます。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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