2024年4月29日更新.2,754記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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薬をグレープフルーツジュースで飲んじゃダメ?

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薬とグレープフルーツジュースの相互作用

薬と食物の飲み合わせで有名なのが、グレープフルーツジュースと薬の飲み合わせです。
これはグレープフルーツジュース中の物質がCYP3A4を阻害し、代謝を遅らせることにより血中濃度を上昇させるためです。

グレープフルーツジュースを飲むと薬の効果が弱くなる、と勘違いしている人もいますが、逆です。強くなります。

グレープフルーツジュース中のフラノクマリン類が、薬物代謝酵素CYP3A4を阻害するために、医薬品が代謝されずにそのまま吸収されて血管へ移行してしまうため、血中濃度が上昇して薬効が増強します。
処方される薬の60%はCYP3A4の代謝をうけるともいわれています。

CYP3A4は現在臨床で使用されている医薬品の50%以上の代謝に関与している分子種と言われています。
じゃあ、50%以上の薬がグレープフルーツジュースを飲んではいけない薬なのかというと、そうではありません。
複数の酵素で代謝される薬は、主酵素が阻害されても、他の酵素で代謝されるため相互作用の影響は少ないです。

・グレープフルーツに含まれるフラノクマリン類が関与
・フラノクマリン含量はピンク種やルビー種より白色種の方が多く、果皮>果肉>種の順
・肝薬物代謝酵素のCYP3A4を阻害
・相互作用を受ける主な薬物として、カルシウム拮抗剤(フェロジピン、ニソルジピン、ニフェジピン)などの報告がある。
・相互作用の影響は長く持続し、長いものでは3〜7日間持続するとの報告がある。

グレープフルーツジュースによる3A4阻害は、併用薬剤を静注した場合には認められないことから、主に小腸粘膜上皮細胞での阻害に起因するものと考えられている。
阻害効果は飲用後1~2時間が最も強く、阻害形式は不可逆的であるため、1回の飲用でも酵素阻害の影響がなくなるまでに2~4日かかることが示されている。
ジヒドロピリジン系のカルシウム拮抗剤のうち、ニソルジピン(バイミカード)、フェロジピン(ムノバール)、ニトレンジピン(バイロテンシン)、ニフェジピン(アダラート)、ニカルジピン(ペルジピン)、アゼルニジピン(カルブロック)では、血中濃度が2倍以上に上昇する例が報告されており、グレープフルーツジュースの同時飲用は避けた方がよい。
これらのカルシウム拮抗剤は生物学的利用率が低く、主に小腸で初回通過効果を受けるため、グレープフルーツジュースの影響を受けやすいと推測されている。

グレープフルーツなら大丈夫?グレープフルーツジュース以外のジュースなら大丈夫?

オレンジジュースやレモンジュースなどでも同じような影響があるのか?という疑問があります。
まず「グレープフルーツならいいのか?」というとグレープフルーツでも影響はあります。

病気の人ほど、健康志向が強くて、フルーツなどを積極的に摂取するので注意が必要です。

一般的にグレープフルーツの果実1/4程度から影響が現れ始めるといわれています。
CYP3A4を阻害する成分として主体となっていると言われているフラノクマリン類のDHB(ジヒドロベルガモッチン)はグレープフルーツ1個分223gの果肉で4.32mg、市販のグレープフルーツジュース250ml当り0.3~3.0mg含まれている。ジュースの200mLでもCYP3A4への影響が出るといわれているので、果肉を半分量食べたとしてもジュースで注意をするのと同様の注意が必要である。

柑橘類に含まれるフラノクマリン類(DHB 換算量μg/mL)

柑橘名果汁果皮
グレープフルーツ133600
スウィーティー17.52400
メロゴールド12.53400
バンペイユ12.575
レッドポメロ6.4240
ダイダイ3.272
ブンタン2.25660
ハッサク0.9220
サワーポメロ11000
メキシカンライム0.9635
甘夏ミカン0.6104
パール柑0.920
サンポウカン0.440
レモン0.05180
日向夏0.1228.5
ネーブルオレンジ0.050.24
スウィートオレンジ0.0116
温州ミカン検出せず検出せず
ポンカン検出せず0.08
イヨカン検出せず0.2
デコポン検出せず検出せず
ユズ0.010.4
カボス0.011.44
スダチ検出せず0.14
キンカン検出せず0.02

酵素免疫測定法による食物・生薬中のフラノクマリン類含有のスクリーニング
齋田哲也,藤戸博 佐賀大学医学部附属病院薬剤部
医療薬学Vol.32 No.7(2006)より

間違えてグレープフルーツジュースを飲んでしまった場合どうするか?
少なくとも4時間はCYP3A4で代謝される医薬品の服用は差し控えるべきというのが一つの目安にあります。
酵素活性が回復するのに2~3日はかかるとも言われています。

GFJと併用注意の記載がある薬剤はいずれも、添付文書上の記載は「グレープフルーツジュース」だが、阻害成分は果汁だけでなく、果肉や果皮にも含まれる。
そのため、果肉の他、マーマレードのように果皮を食べる場合にも同様の注意が必要とされる。
また、フラノクマリン類はグレープフルーツ以外にも、スウィーティー、ブンタン、バンペイユ(晩白柚)、ハッサク、ダイダイ、甘夏などにも含まれるため、グレープフルーツと同様に注意が必要と考えられる。

一方、かんきつ類の中でも、バレンシアオレンジ、レモン、カボス、スイートオレンジジュースや、日本の一般的なみかんである温州みかんはフラノクマリン類をほとんど含まないため、相互作用の可能性が低いとされている。
ただし、これらのかんきつ類でもレモンのように皮には注意が必要なものもある。
なお、夏みかんは、温州みかんと名称が似ているが、別名を夏橙(ナツダイダイ)ともいい、分類上ではその名の通りダイダイと同じ区に属する。そのため、ダイダイと同様に注意した方がよいと考えられる。

グレープフルーツジュースを飲んでめまい?

Ca拮抗薬はCYP3A4で代謝される薬やグレープフルーツジュースとの併用で血中濃度が上がります。

血中濃度が上がるということは降圧効果が一時的に強くなるということですから、めまいや立ちくらみなど低血圧の症状に注意するよう患者さんに伝えることが大切です。

グレープフルーツジュースとの相互作用については、Ca拮抗薬の種類によって違いはありますが、血中濃度が2〜5倍に上がったり、長時間にわたって影響を及ぼすことが知られています。

また、グレープフルーツジュースだけでなく、果肉や皮などでも相互作用があることが報告されており、同様の作用はザボン、ボンタン、夏ミカンなどでもみられます。

したがって、グレープフルーツジュースなどが好きな患者さんには、相互作用の影響が少ないノルバスクやアムロジンなどを推薦できるかもしれません。

添付文書にグレープフルーツジュースと相互作用の記載のある薬

ベック(Ca 拮抗薬)
ランデル(Ca 拮抗薬)
アテレック(Ca 拮抗薬)
シナロング(Ca 拮抗薬)
ペルジピン(Ca 拮抗薬)
バイミカード(Ca 拮抗薬)
バイロテンシン(Ca 拮抗薬)
ニバジール(Ca 拮抗薬)
アダラート(Ca 拮抗薬)
ヒポカ(Ca 拮抗薬)
サプレスタ(Ca 拮抗薬)
スプレンジール(Ca 拮抗薬)
ムノバール(Ca 拮抗薬)
コニール(Ca 拮抗薬)
カルスロット(Ca 拮抗薬)
ワソラン(Ca 拮抗薬)
リピトール(スタチン系)
レルパックス(トリプタン系)
プレタール(抗血小板薬)
テグレトール(抗てんかん薬)
オーラップ(抗精神病薬)
ロナセン(抗精神病薬)
サンディミュン(免疫抑制剤)
ネオーラル(免疫抑制剤)
プログラフ(免疫抑制剤)
グラセプター(免疫抑制剤)
サーティカン(免疫抑制剤)
フォートベイス(抗HIV薬)
インビラーゼ(抗HIV薬)
アムノレイク(抗癌剤)
イレッサ(抗癌剤)
グリベック(抗癌剤)
スーテント(抗癌剤)
スプリセル(抗癌剤)
タシグナ(抗癌剤)
タルセバ(抗癌剤)
シアリス(ED治療薬)
トラクリア(肺高血圧症治療薬)
メファキン(抗マラリア剤)
レグパラ(二次性副甲状腺機能亢進症治療薬)
レミッチ(経口そう痒症改善剤)

GFJと併用注意の記載がある薬剤としてはカルシウム拮抗薬がよく知られているが、ほかにも多数ある。
GFJによる血中濃度時間曲線下面積(AUC)の変動率は、ブロナンセリン(ロナセン)1.8倍、アトルバスタチン2.5倍、アゼルニジピン3.3倍、ルパタジンフマル酸塩(ルパフィン)4.1倍、シンバスタチン(リポバス)16倍などと、薬剤により異なっている。

添付文書に記載の無いハルシオンやセルシンなどでも相互作用を起こすことが報告されています。

これとは別にお子さんで「ジュースでは飲まないでください」と言われることがあります。
これはマクロライド系の粉薬で酸味のあるジュースで飲むとコーティングがはがれて苦味が出てくるというもの。
薬を飲んだ後にジュースを飲んでも問題はありません。

しかし、実際にグレープフルーツジュースと薬をいっしょに飲んで重篤な副作用が出たという報告はありません。
降圧剤であれば、毎日の習慣でグレープフルーツジュースを飲んでいる人は注意すべきですが、時々飲むくらいなら、めまいやふらつきに注意するくらいでいいのではないでしょうか。

アムロジンとグレープフルーツジュースは一緒に飲んでも大丈夫?

アムロジピンは主にCYP3A4で代謝される。
エリスロマイシン、ジルチアゼムなどのCYP3A4阻害薬との併用により代謝が阻害され、血中濃度が上昇する可能性がある。
また、リファンピシンなどのCYP3A4誘導薬との併用で代謝が促進され、血中濃度が低下するおそれがある。
従来はアムロジピンはグレープフルールジュースの影響を受けにくい薬剤として知られていたが、2010年8月の相互作用への追記で、他のカルシウム拮抗薬と同様に代謝が阻害され降圧効果が増強されるおそれがあるため、グレープフルーツ(ジュース)の摂取は控えるべきとされた。

グレープフルーツジュースを飲んでもいいCa拮抗薬で有名なアムロジピン製剤でしたが、併用注意になってしまった。
相互作用を検討した臨床試験結果に基づいて、アムロジピンはグレープフルーツジュースとの相互作用は受けにくいことが報告されています。
その一方でグレープフルーツやグレープフルーツジュースの摂取によってアムロジピンの降圧作用が増強したと疑われた症例が報告され、これらの症例ではグレープフルーツに含まれる成分がアムロジピンの代謝を阻害し、その血中濃度が上昇した可能性が考えられました。
そのため、併用注意に追記されることになった。

アムロジピンは、ジヒドロピリジン系の第3世代に属するCa拮抗薬である。
本薬は血中濃度半減期が36時間と他のCa拮抗薬に比較して極めて長い。
代謝部位及び代謝経路は、主として肝臓である。
代謝に関与する酵素(CYP450等)の分子種は主にCYP3A4である。
ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬はいずれもいずれもCYP3Aという酵素で代謝される。
当初グレープフルーツの苦みの成分であるフラボノイドがCYP3Aを阻害するためCa拮抗薬の代謝が遅延し、血中濃度が上昇して過剰な降圧を示すと考えられた。

最近の研究によると、実際の阻害成分は別にあってフラノクマリンであることが明らかにされた。
CYP3Aは肝臓で働くが、グレープフルーツとの相互作用は主として小腸上皮のCYP3Aで生じる。
従ってグレープフルーツとの相互作用のあるCa拮抗薬でも静脈内注射で投与すると影響されない。
グレープフルーツジュースとの相互作用を示す薬剤はどのくらい時間をあければよいかについては、報告により諸説様々である状況である。
グレープフルーツは肝臓ではなく小腸上皮細胞内のCYP3A4及びP-糖タンパク質を特異的に阻害することが知られている。
その結果、これらの基質となる薬の代謝及び小腸管腔への排泄が抑制され、吸収量が顕著に増大する事例がある。

アムロジピンとグレープフルーツの相互作用は、これまで「他のDHP系Ca拮抗薬でみられるようなバイオアベイラビリティーの上昇は起こらず血圧や心拍数に問題となるような変動はみられない」とされてきた。
その理由は次のとおりである。

グレープフルーツジュースによるアムロジピンの血中濃度の上昇は軽度(Cmax115%、AUC116%に上昇)で、血圧と心拍数に影響はなかったとの報告及び薬物動態と血圧に影響はなかったとする、何れも外国人による成績が報告されたことによる。
また、そのほかにも、20例の健常成人男性(平均年齢31.5歳)を対象にしたプラセボ(水)対照無作為オープンクロスオーバー試験において、経口アムロジピン(ラセミ体)のいずれの薬物動態パラメータにもグレープフルーツジュース摂取による有意な影響はみられなかった、との報告があった。
アムロジピンとグレープフルーツ及びグレープフルーツジュースの併用によって、血圧低下や意識消失の副作用が生じた症例が報告されたため、2010年8月に添付文書の使用上の注意が改訂された。
少ない症例の調査では発見されなかったAUCやCmaxの上昇が見られた可能性が考えられる。

グレープフルーツ以外の果物とフラノクマリン

バレンシアオレンジ、レモン、カボス、温州ミカンには、フラノクマリンはほとんど含有されていない。
またスイートオレンジジュースはフラノクマリンを含まず、CYP3A活性を明確に阻害しなかった。
スイーティはCYP3A活性を阻害し、含有するフラノクマリンのパターンはグレープフルーツジュースと類似している。
ポメロ(ブンタンなどを含む)やサワーオレンジ(ダイダイなどを含む)のジュースもフラノクマリンを含み、CYP3A阻害活性を示している。
世界で一番大きな果実として知られる晩白柚(ばんぺいゆ)は植物学的にはカンキツ類ミカン属ブンタン区に分類されるザボン種に属している。
ザボン種には、他に土佐ブンタン(パール柑)、平戸ブンタンなどが含まれる。
また、グレープフルーツやハッサクは、同じブンタン区に属する。
ブンタン区に属するグレープフルーツの近縁種においては、CYP3A4で代謝される各種薬剤との相互作用について、グレープフルーツと同等の注意が必要であると考えられる。

フラノクマリン

グレープフルーツはフラノクマリンを多く含んでおり、これがCYP3A4を阻害することで薬の血中濃度を上昇させる。

・フラノクマリンを含むもの
グレープフルーツ、ダイダイ(サワーオレンジ)、スウィーティー、文旦(ザボン)、夏みかん、はっさく、甘夏

・フラノクマリンを含まないもの
温州みかん、すだち、デコポン、いよかん、バレンシアオレンジ、レモン、かぼす、ゆず
みかんやレモン、かぼす、ゆず、すだちなんかはフラノクマリンを含まないので、問題無さそうです。

チトクロームP450

・ミクロソームに局在し、他は核膜に弱い活性が認められる。
・肝臓における活性が特に強く、他の臓器の活性は1/5~1/30とされる。CYP3A4の活性は腸管で高い。
・分子多様性で多数のサブファミリーの酵素が存在する。更に遺伝多型を示す多くの分子種が存在する。
・脂溶性の薬のみ酸化。
・基質特異性が極めて低く、一つの分子種で多くの薬を代謝し、一つの薬の一つの代謝経路にも多くのCYP450が関与する。
・多くの化学物質により特殊なCYP450が誘導を受ける。
・基質特異性が低いので、他の化学物質により活性が阻害されやすい。

グレープフルーツジュースに関する添付文書の記載

相互作用の強弱は医薬品によって異なる。
Ca拮抗薬服用中に、「グレープフルーツジュースを飲んではいけないのか?」よくある質問です。

常飲しなければ良いんじゃね?
という感覚ですが、グレープフルーツジュースを飲めないとQOLが著しく下がるという人も稀であろうと思われるので、「飲んじゃダメ」と伝えるのがよろしいでしょう。

添付文書の記載で、どのように対応すべきか記載されているものは少なく、ただ相互作用がありますとだけ書かれているものの方が多い。
以下の薬はどのように対応すべきかが記載されている。

医薬品名薬効分類添付文書の記載
ランデルCa 拮抗薬グレープフルーツジュースとの同時服用をしないように指導する。
バイミカードCa 拮抗薬グレープフルーツジュースを常飲している場合,飲用中止4日目から投与することが望ましい.
バイロテンシンCa 拮抗薬グレープフルーツジュースとの同時服用をしないように注意する.
アダラートCa 拮抗薬グレープフルーツジュースとの同時服用をしないように注意する.
スプレンジールCa 拮抗薬グレープフルーツジュースとの同時服用をしないよう指導すること。
ワソランCa 拮抗薬グレープフルーツジュースとの同時服用をしないよう注意すること。
プレタール抗血小板薬グレープフルーツジュースとの同時服用をしないように注意すること。
テグレトール抗てんかん薬本剤投与時は、グレープフルーツジュースを摂取しないよう注意すること。
オーラップ抗精神病薬グレープフルーツジュースとの同時服用をしないように注意する。
サンディミュン免疫抑制剤本剤服用時は飲食を避けることが望ましい。
ネオーラル免疫抑制剤本剤服用時は飲食を避けることが望ましい。
サーティカン免疫抑制剤本剤服用時は飲食を避けることが望ましい。
グリベック抗癌剤本剤服用中は飲食を避けること。
トラクリア肺高血圧症治療薬本剤投与時はグレープフルーツジュースを摂取しないようにすること。

大きく分けると、「同時服用してはダメ」という薬と「服用中は飲食を避ける」という薬に大別される。

Ca拮抗薬は同時服用してはダメで、免疫抑制剤は服用中は飲食を避けるという薬が多いという感じ。

必ずしも添付文書上の文言の強さと、相互作用の強度が比例しているわけではないが、薬のリスク的なことを考えても、「グレープフルーツジュースを摂取しないよう注意すること。」と記載されているテグレトールなどについては、「絶対飲んじゃダメ」と念を押したほうがいい。

ちなみに阻害作用は小腸にあるCYP3A4を不可逆的に阻害するだけでなく、CYP3A4を分解してしまうとも言われており、回復までには約5日間を要するといわれています。

また、リピトールの添付文書に、「グレープフルーツジュース1.2L/日との併用により、本剤のAUC0-72hが約2.5倍に上昇したとの報告がある。」と記載されている。
1日1.2リットルのグレープフルーツジュースを飲む人はなかなか居なさそうに思うが、飲めない量ではない。私もグレープフルーツジュースは大好きなので、Gokuriのグレープフルーツなどはグビグビいける。

GFJと免疫抑制剤の相互作用

グレープフルーツジュースとの相互作用といえばカルシウム拮抗薬ですが、アムロジピンは以前は添付文書でGFJとの相互作用の記載が無く、さほど影響は無いと考えられることから、説明をないがしろにしてしまいがち。

しかし、グレープフルーツジュースとの相互作用を必ず説明しなければならない薬がある。
それが免疫抑制剤。

免疫抑制剤が処方されている場合、ハイリスク薬の加算を算定する。
特定薬剤(ハイリスク薬)管理指導加算の算定に「ハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン」を参照することが求められている。

免疫抑制剤の特に注意すべき事項として、

1)患者に対する処方内容(薬剤名、用法・用量、投与期間、休薬期間等)の確認
2)服用患者のアドヒアランスの確認(感染症の発症や悪化防止のための注意事項の患者への説明)
3)副作用モニタリング及び重篤な副作用発生時の対処方法の教育(感染症の発症等)
4)効果の確認(適正な用量、可能な場合の検査値のモニター)
5)一般用医薬品やサプリメント等を含め、併用薬及びグレープフルーツジュース等の飲食物や食事との相互作用の確認

が、挙げられている。

グレープフルーツジュースと明記されているのは免疫抑制剤だけ。
免疫抑制剤のうち、添付文書上グレープフルーツジュースと相互作用の記載のある薬は、サンディミュン、ネオーラル、プログラフ、グラセプター、サーティカン。
リウマトレックスにはGFJとの相互作用は無い。

ネオーラルやプログラフが処方されている患者さんには必ずGFJの説明を行うように。

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3 件のコメント

  • 通りすがりの薬剤師 のコメント
         

    グレープフルーツジュースとCYP3A4の記事について拝読いたしました。
    ひとつsuggestionがあるのですが、この相互作用で問題となるのは、肝での代謝ではなく吸収時における小腸上皮細胞での代謝であり、この点を強調されると議論がより深まるのではないかと思われます。
    既にご指摘のとおり、グレープフルーツジュースがCYP3A4を阻害するのは、ジュースに含まれるクマリン類が当該酵素を阻害するためでありますが、このクマリン類はほとんど吸収されないため、肝での相互作用は無視できるとの報告があります。
    ですから、グレープフルーツジュースとCYP3A4の基質薬物との相互作用は、バイオアベイラビリティの低い基質薬物について特に注意すべきであると考察できるのではないでしょうか。
    例をあげますと、カルシウム拮抗薬でいえば、バイオアベイラビリティの低いもの(アゼルニジピンやフェロジピン等)の方が高いもの(アムロジピンやジルチアゼム等)よりもグレープフルーツジュース併用時の影響が大きいことが知られています。
    このことは全ての基質について拡張して考えることができると思われます。
    また当該クマリン類はCYP3A4のみならず、P-glycoproteinも阻害することが知られておりますので、このトランスポーターの基質についても議論する必要があるかと存じます。とは言ってもCYP3A4とP-glycoproteinの基質はオーバーラップすることが知られていますが・・・。

  • けんじ のコメント
         

    フラノクマリンの含有は、果皮>果肉>種の順とありますが、住友第一製薬のHPでは、「グレープフルーツ(ジュース)中に含まれる阻害成分であるフラノクマリン誘導体のGF-I-1(2量体)、GF-I-2(ベルガモチン)、GF-I- 4(2量体)、ジヒドロキシベルガモチンなどは、ホワイトタイプ、ルビータイプのグレープフルーツともに果肉に大部分存在し、袋、皮、種には少量しか含まれていないことが報告されています」とあります。

    https://ds-pharma.jp/gakujutsu/contents/calgre/

    私は、抗HIV薬を服用していますが、含有は、果皮>果肉>種の順と考えてよいのでしょうか?

    お忙しいところ恐縮ですが、ご教授よろしくお願いします。

  • yakuzaic のコメント
         

    コメントありがとうございます。

    昔の資料を転記したものだったと思いますが、恐らく転記ミス・・・かと。

    皮っていうのが、内皮のことか外皮のことかよくわからないので、とりあえず取り消し線を引いておきます。

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yakuzaic
yakuzaic/著
2023年09月14日発売

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職業:薬剤師
出身大学:ケツメイシと同じ
生息地:雪国
座右の銘:習うより慣れろ。学ぶより真似ろ。
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