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がん患者のパンビタン末の処方理由
公開. 更新. 投稿者:癌/抗癌剤.この記事は約2分53秒で読めます.
8,666 ビュー. カテゴリ:アリムタとパンビタン末
パンビタン末の処方意図は?
アリムタという抗癌剤の注射剤がある。葉酸代謝拮抗剤である。適応は、悪性胸膜中皮腫および非小細胞肺癌である。
院内で使われる注射剤については、薬局薬剤師は疎いが、アリムタを使っている患者に院外処方でパンビタン末が処方されることがある。
アリムタの警告欄には、
本剤による重篤な副作用の発現を軽減するため、必ず葉酸及びビタミンB12の投与のもとに本剤を投与すること。
と記載されているので、葉酸(ビタミンB9 )とビタミンB12の併用が不可欠なのである。
また、「用法及び用量に関連する注意」にも投与法が詳しく記載されている。
本剤による重篤な副作用の発現を軽減するため、以下のように葉酸及びビタミンB12を投与すること。
・葉酸:本剤初回投与の7日以上前から葉酸として1日1回0.5mgを連日経口投与する。なお、本剤の投与を中止又は終了する場合には、本剤最終投与日から22日目まで可能な限り葉酸を投与する。
・ビタミンB12:本剤初回投与の少なくとも7日前に、ビタミンB12として1回1mgを筋肉内投与する。その後、本剤投与期間中及び投与中止後22日目まで9週ごと(3コースごと)に1回投与する。
ビタミンB12については、注射剤の使用についてしか書かれていないので、葉酸とビタミンB12の両方が入ったパンビタン末ではなくて、葉酸のみのフォリアミンでもよい。
ちなみにパンビタン末1g中の成分は以下の通り。
レチノールパルミチン酸エステル レチノールとして2,500IU
チアミン硝化物 1mg
リボフラビン 1.5mg
ピリドキシン塩酸塩 1mg
シアノコバラミン 1μg
アスコルビン酸 37.5mg
エルゴカルシフェロール 200IU
トコフェロール酢酸エステル 1.1mg(トコフェロールとして1mg)
パントテン酸カルシウム 5mg
ニコチン酸アミド 10mg
葉酸 0.5mg
葉酸は1回0.5㎎の用量なので、フォリアミン錠5㎎を使うとなると、粉砕が必要である。フォリアミン散100㎎/gにしても1回量が0.05gなので賦形が必要。同じ葉酸製剤のロイコボリンも5㎎と25㎎なので粉砕が必要、という前に薬価が高い。
そうなると、パンビタン末が薬局にとっても一番使いやすい葉酸製剤ということになります。
同じ葉酸代謝拮抗薬の抗リウマチ薬リウマトレックスにも、副作用軽減のために葉酸製剤フォリアミンが併用されますが、リウマトレックスが週1~2回の投与法なので、フォリアミンも週1回の用法が多く、5㎎錠が使われる。
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