2024年11月20日更新.2,474記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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疾患併用禁忌一覧

疾患併用禁忌

薬によっては、ある病気に対して使用を制限される、禁忌とされる薬がある。

例えば、「緑内障患者、前立腺肥大症患者に抗コリン薬」というのが有名である。
禁忌疾患が「急性狭隅角緑内障」であれば逃げ道もあるが、「緑内障」であれば緑内障治療薬を使っている患者に使うことはできない。

この禁忌の何が問題かというと、添付文書の「併用禁忌」欄には載ってこないことである。
通常飲み合わせに問題があるかどうかを併用禁忌で調べる。
例えば、セロクエルの併用禁忌には「アドレナリン」としか書かれていないので、それ以外は併用しても大丈夫、と思ってしまうのだが、禁忌の欄に「
糖尿病の患者、糖尿病の既往歴のある患者」と書かれているので、セロクエルとアクトスなどが併用されていたら、禁忌なのである。

これは盲点です。

禁忌疾患医薬品禁忌薬
緑内障三環系抗うつ薬(トリプタノール、アナフラニール、アモキサン)緑内障治療薬
四環系抗うつ薬(ルジオミール)緑内障治療薬
ベタナミン緑内障治療薬
リタリン緑内障治療薬
コンサータ緑内障治療薬
抗コリン薬(抗パーキンソン病薬/アーテン、アキネトン、パーキン)緑内障治療薬
リスモダン緑内障治療薬
サノレックス緑内障治療薬
PL配合顆粒緑内障治療薬
鎮咳薬(フスコデ、アストフィリン)緑内障治療薬
抗ヒスタミン薬(ポララミン、ペリアクチン、ゼスラン、セレスタミン)緑内障治療薬
トラベルミン緑内障治療薬
抗コリン薬(鎮痙薬/ロートエキス、ブスコパン、トランコロン、チアトン、コランチル、メサフィリン)緑内障治療薬
抗コリン薬(排尿障害治療薬/ポラキス、バップフォー)緑内障治療薬
抗コリン薬(気管支拡張薬/アトロベント、スピリーバ)緑内障治療薬
散瞳薬(アトロピン点眼液、ミドリンM点眼液)緑内障治療薬
前立腺肥大症抗コリン薬(抗パーキンソン病薬/パーキン、コリンホール)前立腺肥大症治療薬
リズミック前立腺肥大症治療薬
PL配合顆粒前立腺肥大症治療薬
鎮咳薬(フスコデ、アストフィリン)前立腺肥大症治療薬
抗ヒスタミン薬(ポララミン、ペリアクチン、ゼスラン、セレスタミン)前立腺肥大症治療薬
トラベルミン前立腺肥大症治療薬
抗コリン薬(鎮痙薬/ロートエキス、ブスコパン、トランコロン、チアトン、コランチル、メサフィリン)前立腺肥大症治療薬
抗コリン薬(気管支拡張薬/テルシガン、スピリーバ)前立腺肥大症治療薬
気管支喘息ベサコリン気管支喘息治療薬
アボビス気管支喘息治療薬
サリグレン気管支喘息治療薬
エボザック気管支喘息治療薬
β遮断薬(インデラル、カルビスケン、ミケラン、アーチスト、ソタコール)気管支喘息治療薬
緑内障治療薬(β遮断薬/チモプトール、ミケラン、ザラカム、デュオトラバ、コソプト)気管支喘息治療薬
消化性潰瘍NSAIDs(バファリン、ロキソニン、ボルタレン、ブルフェン、モービック、カロナール、トラムセット、ソランタール)消化性潰瘍治療薬
PL配合顆粒消化性潰瘍治療薬
カフコデ消化性潰瘍治療薬
ベサコリン消化性潰瘍治療薬
アボビス消化性潰瘍治療薬
リドーラ消化性潰瘍治療薬
コルベット消化性潰瘍治療薬
ケアラム消化性潰瘍治療薬
エストラサイト消化性潰瘍治療薬
糖尿病抗精神病薬(ジプレキサ、セロクエル)糖尿病治療薬
狭心症ベタナミン狭心症治療薬
リタリン狭心症治療薬
コンサータ狭心症治療薬
虚血性心疾患アプレゾリン狭心症治療薬
片頭痛治療薬(トリプタン系/イミグラン、ゾーミッグ、マクサルト、レルパックス、アマージ)狭心症治療薬
うっ血性心不全抗不整脈薬(リスモダン、シベノール、アミサリン、アスペノン、プロノン、タンボコール、サンリズム、ソタコール)心不全治療薬(ノイキノン、アカルディ)
心不全糖尿病治療薬(アクトス、メトグルコ、メタクト、ソニアス、リオベル)心不全治療薬(ノイキノン、アカルディ)
うっ血性心不全抗不整脈薬(β遮断薬/インデラル、カルビスケン、テノーミン、セロケン、ロプレソール、ミケラン、メインテート、アーチスト)心不全治療薬(ノイキノン、アカルディ)
うっ血性心不全ビジクリア心不全治療薬(ノイキノン、アカルディ)
心不全ミニリンメルト心不全治療薬(ノイキノン、アカルディ)
うっ血性心不全プレタール心不全治療薬(ノイキノン、アカルディ)
高血圧低血圧治療薬(エホチール、リズミック)降圧薬
経口避妊薬降圧薬
ルナベル降圧薬
甲状腺機能亢進症リタリン抗甲状腺薬
コンサータ抗甲状腺薬
ベタナミン抗甲状腺薬
ベサコリン抗甲状腺薬
アボビス抗甲状腺薬
低血圧治療薬(エホチール、リズミック、メトリジン)抗甲状腺薬
甲状腺機能低下症つくしAM散甲状腺ホルモン製剤(チラーヂン)
カルタン甲状腺ホルモン製剤(チラーヂン)
てんかん等の痙攣性疾患四環系抗うつ薬(ルジオミール)抗てんかん薬
てんかん等の脳波異常リーマス抗てんかん薬
てんかん等の脳波異常ベタナミン抗てんかん薬
てんかん又はその既往歴のある患者ザジテン抗てんかん薬
てんかんベサコリン抗てんかん薬
アボビス抗てんかん薬
サリグレン抗てんかん薬
エボザック抗てんかん薬
パーキンソン病抗精神病薬(ブチロフェノン系/セレネース、インプロメン、トロペロン)抗パーキンソン病薬
抗精神病薬(ベンズアミド系/バルネチール、エミレース)抗パーキンソン病薬
オーラップ抗パーキンソン病薬
クレミン抗パーキンソン病薬
アボビス抗パーキンソン病薬
パーキンソニズム又はパーキンソン病サリグレン抗パーキンソン病薬
パーキンソニズム又はパーキンソン病エボザック抗パーキンソン病薬
パーキンソニズムベサコリン抗パーキンソン病薬
高カリウム血症アルフダクトンA高カリウム血症改善薬
セララ高カリウム血症改善薬
カリウム製剤(スローケー、アスパラK、グルコンサンK)高カリウム血症改善薬

マイスリーの統合失調症、躁うつ病に用いられる薬との併用については、禁忌ではないが、適応上、「不眠症(統合失調症及び躁うつ病に伴う不眠症は除く)」と記載されているので、保険請求上問題がある。

疾患併用禁忌については、併用薬の適応症が複数ある場合には、病名の確認も必要になる。レセコン上でのチェックもされていない可能性が高い。

内科と心療内科と眼科と整形外科など、複数の診療科にかかっていて、別々の薬局で薬をもらっていた場合に、併用薬がチェックされていないということもある。責任の所在も不明瞭である。

併用禁忌よりもチェックが難しい疾患併用禁忌についてフォローするためには、まず「病名を聞く」というデリケートなハードルをクリアする必要がある。

緑内障と喘息と前立腺肥大

疾患併用禁忌については、個々の薬品で覚えるしかないが、薬剤師として最低限チェックすべき疾患に「緑内障」「気管支喘息」「前立腺肥大症」がある。

この3つの疾患に適応を持つ薬が処方されていたら、必ず禁忌薬は無いかチェックする必要がある。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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