記事
疾患併用禁忌一覧
公開. 更新. 投稿者:相互作用/薬物動態. タグ:薬剤一覧ポケットブック. この記事は約1分25秒で読めます.
13,262 ビュー. カテゴリ:疾患併用禁忌
薬によっては、ある病気に対して使用を制限される、禁忌とされる薬がある。
例えば、「緑内障患者、前立腺肥大症患者に抗コリン薬」というのが有名である。
禁忌疾患が「急性狭隅角緑内障」であれば逃げ道もあるが、「緑内障」であれば緑内障治療薬を使っている患者に使うことはできない。
この禁忌の何が問題かというと、添付文書の「併用禁忌」欄には載ってこないことである。
通常飲み合わせに問題があるかどうかを併用禁忌で調べる。
例えば、セロクエルの併用禁忌には「アドレナリン」としか書かれていないので、それ以外は併用しても大丈夫、と思ってしまうのだが、禁忌の欄に「
糖尿病の患者、糖尿病の既往歴のある患者」と書かれているので、セロクエルとアクトスなどが併用されていたら、禁忌なのである。
これは盲点です。
禁忌疾患 | 医薬品 | 禁忌薬 |
---|---|---|
緑内障 | 三環系抗うつ薬(トリプタノール、アナフラニール、アモキサン) | 緑内障治療薬 |
四環系抗うつ薬(ルジオミール) | 緑内障治療薬 | |
ベタナミン | 緑内障治療薬 | |
リタリン | 緑内障治療薬 | |
コンサータ | 緑内障治療薬 | |
抗コリン薬(抗パーキンソン病薬/アーテン、アキネトン、パーキン) | 緑内障治療薬 | |
リスモダン | 緑内障治療薬 | |
サノレックス | 緑内障治療薬 | |
PL配合顆粒 | 緑内障治療薬 | |
鎮咳薬(フスコデ、アストフィリン) | 緑内障治療薬 | |
抗ヒスタミン薬(ポララミン、ペリアクチン、ゼスラン、セレスタミン) | 緑内障治療薬 | |
トラベルミン | 緑内障治療薬 | |
抗コリン薬(鎮痙薬/ロートエキス、ブスコパン、トランコロン、チアトン、コランチル、メサフィリン) | 緑内障治療薬 | |
抗コリン薬(排尿障害治療薬/ポラキス、バップフォー) | 緑内障治療薬 | |
抗コリン薬(気管支拡張薬/アトロベント、スピリーバ) | 緑内障治療薬 | |
散瞳薬(アトロピン点眼液、ミドリンM点眼液) | 緑内障治療薬 | |
前立腺肥大症 | 抗コリン薬(抗パーキンソン病薬/パーキン、コリンホール) | 前立腺肥大症治療薬 |
リズミック | 前立腺肥大症治療薬 | |
PL配合顆粒 | 前立腺肥大症治療薬 | |
鎮咳薬(フスコデ、アストフィリン) | 前立腺肥大症治療薬 | |
抗ヒスタミン薬(ポララミン、ペリアクチン、ゼスラン、セレスタミン) | 前立腺肥大症治療薬 | |
トラベルミン | 前立腺肥大症治療薬 | |
抗コリン薬(鎮痙薬/ロートエキス、ブスコパン、トランコロン、チアトン、コランチル、メサフィリン) | 前立腺肥大症治療薬 | |
抗コリン薬(気管支拡張薬/テルシガン、スピリーバ) | 前立腺肥大症治療薬 | |
気管支喘息 | ベサコリン | 気管支喘息治療薬 |
アボビス | 気管支喘息治療薬 | |
サリグレン | 気管支喘息治療薬 | |
エボザック | 気管支喘息治療薬 | |
β遮断薬(インデラル、カルビスケン、ミケラン、アーチスト、ソタコール) | 気管支喘息治療薬 | |
緑内障治療薬(β遮断薬/チモプトール、ミケラン、ザラカム、デュオトラバ、コソプト) | 気管支喘息治療薬 | |
消化性潰瘍 | NSAIDs(バファリン、ロキソニン、ボルタレン、ブルフェン、モービック、カロナール、トラムセット、ソランタール) | 消化性潰瘍治療薬 |
PL配合顆粒 | 消化性潰瘍治療薬 | |
カフコデ | 消化性潰瘍治療薬 | |
ベサコリン | 消化性潰瘍治療薬 | |
アボビス | 消化性潰瘍治療薬 | |
リドーラ | 消化性潰瘍治療薬 | |
コルベット | 消化性潰瘍治療薬 | |
ケアラム | 消化性潰瘍治療薬 | |
エストラサイト | 消化性潰瘍治療薬 | |
糖尿病 | 抗精神病薬(ジプレキサ、セロクエル) | 糖尿病治療薬 |
狭心症 | ベタナミン | 狭心症治療薬 |
リタリン | 狭心症治療薬 | |
コンサータ | 狭心症治療薬 | |
虚血性心疾患 | アプレゾリン | 狭心症治療薬 |
片頭痛治療薬(トリプタン系/イミグラン、ゾーミッグ、マクサルト、レルパックス、アマージ) | 狭心症治療薬 | |
うっ血性心不全 | 抗不整脈薬(リスモダン、シベノール、アミサリン、アスペノン、プロノン、タンボコール、サンリズム、ソタコール) | 心不全治療薬(ノイキノン、アカルディ) |
心不全 | 糖尿病治療薬(アクトス、メトグルコ、メタクト、ソニアス、リオベル) | 心不全治療薬(ノイキノン、アカルディ) |
うっ血性心不全 | 抗不整脈薬(β遮断薬/インデラル、カルビスケン、テノーミン、セロケン、ロプレソール、ミケラン、メインテート、アーチスト) | 心不全治療薬(ノイキノン、アカルディ) |
うっ血性心不全 | ビジクリア | 心不全治療薬(ノイキノン、アカルディ) |
心不全 | ミニリンメルト | 心不全治療薬(ノイキノン、アカルディ) |
うっ血性心不全 | プレタール | 心不全治療薬(ノイキノン、アカルディ) |
高血圧 | 低血圧治療薬(エホチール、リズミック) | 降圧薬 |
経口避妊薬 | 降圧薬 | |
ルナベル | 降圧薬 | |
甲状腺機能亢進症 | リタリン | 抗甲状腺薬 |
コンサータ | 抗甲状腺薬 | |
ベタナミン | 抗甲状腺薬 | |
ベサコリン | 抗甲状腺薬 | |
アボビス | 抗甲状腺薬 | |
低血圧治療薬(エホチール、リズミック、メトリジン) | 抗甲状腺薬 | |
甲状腺機能低下症 | つくしAM散 | 甲状腺ホルモン製剤(チラーヂン) |
カルタン | 甲状腺ホルモン製剤(チラーヂン) | |
てんかん等の痙攣性疾患 | 四環系抗うつ薬(ルジオミール) | 抗てんかん薬 |
てんかん等の脳波異常 | リーマス | 抗てんかん薬 |
てんかん等の脳波異常 | ベタナミン | 抗てんかん薬 |
てんかん又はその既往歴のある患者 | ザジテン | 抗てんかん薬 |
てんかん | ベサコリン | 抗てんかん薬 |
アボビス | 抗てんかん薬 | |
サリグレン | 抗てんかん薬 | |
エボザック | 抗てんかん薬 | |
パーキンソン病 | 抗精神病薬(ブチロフェノン系/セレネース、インプロメン、トロペロン) | 抗パーキンソン病薬 |
抗精神病薬(ベンズアミド系/バルネチール、エミレース) | 抗パーキンソン病薬 | |
オーラップ | 抗パーキンソン病薬 | |
クレミン | 抗パーキンソン病薬 | |
アボビス | 抗パーキンソン病薬 | |
パーキンソニズム又はパーキンソン病 | サリグレン | 抗パーキンソン病薬 |
パーキンソニズム又はパーキンソン病 | エボザック | 抗パーキンソン病薬 |
パーキンソニズム | ベサコリン | 抗パーキンソン病薬 |
高カリウム血症 | アルフダクトンA | 高カリウム血症改善薬 |
セララ | 高カリウム血症改善薬 | |
カリウム製剤(スローケー、アスパラK、グルコンサンK) | 高カリウム血症改善薬 |
マイスリーの統合失調症、躁うつ病に用いられる薬との併用については、禁忌ではないが、適応上、「不眠症(統合失調症及び躁うつ病に伴う不眠症は除く)」と記載されているので、保険請求上問題がある。
疾患併用禁忌については、併用薬の適応症が複数ある場合には、病名の確認も必要になる。レセコン上でのチェックもされていない可能性が高い。
内科と心療内科と眼科と整形外科など、複数の診療科にかかっていて、別々の薬局で薬をもらっていた場合に、併用薬がチェックされていないということもある。責任の所在も不明瞭である。
併用禁忌よりもチェックが難しい疾患併用禁忌についてフォローするためには、まず「病名を聞く」というデリケートなハードルをクリアする必要がある。
緑内障と喘息と前立腺肥大
疾患併用禁忌については、個々の薬品で覚えるしかないが、薬剤師として最低限チェックすべき疾患に「緑内障」「気管支喘息」「前立腺肥大症」がある。
この3つの疾患に適応を持つ薬が処方されていたら、必ず禁忌薬は無いかチェックする必要がある。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。