2024年12月2日更新.2,476記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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ビタミンやミネラルと医薬品の相互作用

ビタミンと医薬品の相互作用

ビタミンやミネラルと相互作用を起こす医薬品がある。

ビタミンやミネラルは、食品、サプリメントなどの形で医薬品との飲み合わせを意識せずに摂取している可能性もあるため、患者への注意喚起が必要である。

まず、ビタミンと相互作用を引き起こす恐れのある医薬品を以下に挙げる。

医薬品名相互作用のあるビタミン
ミノマイシン併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等:外用剤を除くビタミンA製剤、レチノイド製剤(ビタミンA、レチノールパルミチン酸エステル、エトレチナート、トレチノイン
臨床症状・措置方法:頭蓋内圧上昇があらわれることがある。
機序・危険因子:本剤及びこれらの薬剤はそれぞれ頭蓋内圧上昇を起こすことがある。
ベサノイド併用禁忌(併用しないこと)
薬剤名等:ビタミンA製剤 (チョコラA等)
臨床症状・措置方法:ビタミンA過剰症と類似した副作用症状を起こすおそれがある。
機序・危険因子:本剤はビタミンAの活性代謝物である。
チガソン併用禁忌(併用しないこと)
薬剤名等:ビタミンA製剤(チョコラA等)
臨床症状・措置方法:ビタミンAの正常血中濃度には影響を及ぼさないが、ビタミンA過剰症と類似した副作用症状があらわれることがある。
機序・危険因子:本剤はビタミンA様作用を示すため、ビタミンA様作用が増強される。
ダイアモックス併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等:ビタミンCの大量投与
臨床症状・措置方法
腎・尿路結石が起こりやすい。
機序・危険因子
大量のビタミンC服用後は、その代謝物である蓚酸の尿中排泄が増加し、カルシウム析出を助長して腎・尿路結石が発生しやすくなると考えられる。
ジゴシン、ラニラピッドなどジゴキシン製剤薬剤名等:ビタミンD製剤(カルシトリオール 等)
臨床症状・措置方法:本剤の作用を増強することがある。
ジギタリス中毒の症状(嘔気、嘔吐、不整脈等)があらわれることがある。消化器・神経系自覚症状、心電図、血中濃度測定等必要に応じ観察するとともに腎機能、血清電解質(カリウム、マグネシウム、カルシウム)、甲状腺機能等の誘因に注意すること。
措置方法:「過量投与」の項参照
機序・危険因子:ビタミンD製剤により血中カルシウム値が上昇するためと考えられている。

添付文書に記載されていない相互作用として、
ワーファリン⇔ビタミンA、ビタミンE
フェニトイン⇔ビタミンB6
レボドパ⇔ビタミンB6
エストロゲン⇔ビタミンC
アスピリン⇔ビタミンE
フェニトイン⇔葉酸
葉酸代謝拮抗薬(リウマトレックス)⇔葉酸
5-FU⇔葉酸
スタチン系薬⇔ナイアシン
などもある。

医薬品はもちろん重要であるが、ビタミンやミネラルなどの栄養も重要なので、摂取しないわけにはいかない。どの程度摂取を控えるべきかという点も悩みどころではある。
過剰摂取を行わないように注意させたい。

ミネラルと医薬品の相互作用

ミネラル類と医薬品の相互作用については、キレート結合をするものもあり、添付文書上に記載されているものも比較的目につく。

ミネラルと相互作用を引き起こす恐れのある医薬品を以下に挙げる。

医薬品名相互作用のあるミネラル
ミノマイシンなどテトラサイクリン系抗菌薬併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等:カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、ランタン又は鉄剤
臨床症状・措置方法:本剤の吸収が低下し、効果が減弱されるおそれがある。
両剤の服用間隔を2〜4時間とすること。
機序・危険因子:本剤と二価又は三価の金属イオンが消化管内で難溶性のキレートを形成して、本剤の吸収を阻害する。
タリビッド、クラビットなどニューキノロン系抗菌薬併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等:アルミニウム又はマグネシウム含有の制酸薬等、鉄剤
臨床症状・措置方法:本剤の効果が減弱されるおそれがある。これらの薬剤は本剤投与1〜2時間後に投与する。
機序・危険因子:これらの薬剤とキレートを形成し、本剤の吸収が低下すると考えられている。
ジゴシン、ラビラピッドなどジギタリス製剤併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等:カルシウム経口剤、カルシウム含有製剤、高カロリー輸液 等
臨床症状・措置方法:本剤の作用を増強することがある。
ジギタリス中毒の症状(嘔気、嘔吐、不整脈等)があらわれることがある。消化器・神経系自覚症状、心電図、血中濃度測定等必要に応じ観察するとともに腎機能、血清電解質(カリウム、マグネシウム、カルシウム)、甲状腺機能等の誘因に注意すること。
機序・危険因子
これらの薬剤により血中カルシウム値が上昇するためと考えられている。
アルファロール、ロカルトロールなど活性化ビタミンD3製剤併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等:カルシウム製剤(乳酸カルシウム水和物、炭酸カルシウム等)
臨床症状・措置方法:高カルシウム血症があらわれるおそれがある。
機序・危険因子:本剤は腸管でのカルシウムの吸収を促進させる。
チラーヂンS併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等:コレスチラミン,コレスチミド,鉄剤,アルミニウム含有制酸剤,炭酸カルシウム,炭酸ランタン水和物,セベラマー塩酸塩,ポリスチレンスルホン酸カルシウム,ポリスチレンスルホン酸ナトリウム
臨床症状・措置方法:同時投与により本剤の吸収が遅延又は減少することがあるので,併用する場合には本剤との投与間隔をできる限りあけるなど慎重に投与すること.
機序・危険因子:消化管内で本剤と結合し吸収を抑制すると考えられている.
タンニン酸アルブミン併用禁忌(併用しないこと)
薬剤名等:経口鉄剤(フェロミア,フェロ・グラデュメット,インクレミンシロップ,フェルムカプセル)
臨床症状・措置方法:併用により相互に作用が減弱することがあるので,併用をしないこと。
機序・危険因子:鉄と結合し,タンニン酸鉄となり,タンニン酸による収れん作用が減弱する。
アルドメット薬剤名等:鉄剤(硫酸鉄)
臨床症状・措置方法:本剤の降圧作用が減弱されることがある。
機序・危険因子:本剤の消化管からの吸収が阻害されることがある。
セフゾン併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等:鉄剤
臨床症状・措置方法:本剤の吸収を約10分の1まで阻害するので、併用は避けることが望ましい。やむを得ず併用する場合には、本剤の投与後3時間以上間隔をあけて投与する。
機序・危険因子:腸管内において鉄イオンとほとんど吸収されない錯体を形成する。

ミネラルとしては、医薬品として特に酸化マグネシウムや鉄剤を服用している患者は多いので、注意する必要がある。

ミネラルと相互作用を起こす薬一覧

鉄やカルシウム、アルミニウム、マグネシウムなどのミネラル類は医薬品やサプリメントのみならず、食品にも含有されています。

これらのミネラルと相互作用を起こす恐れのある薬は数多くあります。

Al(アルミニウム)、Mg(マグネシウム)、Fe(鉄)、Ca(カルシウム)について相互作用のある薬を一覧にしてみた。

分類薬品名AlMgFeCa
血清カリウム抑制剤カリメート併用注意併用注意併用注意
アーガメイト併用注意併用注意併用注意
ケイキサレート併用注意併用注意併用注意
甲状腺ホルモン剤チラーヂンS併用注意併用注意併用注意
チロナミン併用注意併用注意併用注意
ジギタリス製剤ジゴシン併用注意併用注意併用注意
ハーフジゴキシン併用注意併用注意併用注意
ラニラピッド併用注意併用注意併用注意
肝・胆・消化機能改善剤ウルソ併用注意
抗アレルギー薬ディレグラ併用注意併用注意
アレグラ併用注意併用注意
骨代謝改善薬アクトネル併用注意併用注意併用注意併用注意
リカルボン併用注意併用注意併用注意併用注意
ダイドロネル併用注意併用注意併用注意併用注意
ボナロン併用注意併用注意
止瀉剤タンナルビン併用禁忌
制酸剤、緩下剤酸化マグネシウム併用注意
消化性潰瘍胃炎治療剤マーロックス併用注意
スタチンクレストール併用注意併用注意
抗てんかん薬ガバペン併用注意併用注意
抗パーキンソン薬イーシー・ドパール併用注意
コムタン併用注意
スタレボ併用注意
ドパコール併用注意
メネシット併用注意
ドプス併用注意
ドパストン併用注意
抗悪性腫瘍剤スプリセル併用注意併用注意
エストラサイト併用注意
免疫抑制剤セルセプト併用注意併用注意
ニューキノロン系抗菌薬オゼックス併用注意併用注意併用注意併用注意
クラビット併用注意併用注意併用注意
アベロックス併用注意併用注意併用注意
グレースビット併用注意併用注意併用注意併用注意
シプロキサン併用注意併用注意併用注意併用注意
バクシダール併用注意併用注意併用注意併用注意
ジェニナック併用注意併用注意併用注意併用注意
テトラサイクリン系抗菌薬ビブラマイシン併用注意併用注意併用注意併用注意
アクロマイシン併用注意併用注意併用注意併用注意
ミノサイクリン併用注意併用注意併用注意併用注意
セフェム系抗菌薬セフゾン併用注意併用注意併用注意
マクロライド系抗菌薬ジスロマック併用注意併用注意
抗結核薬イスコチン併用注意
抗真菌薬イトリゾール併用注意
抗HIV薬アイセントレス併用注意併用注意
スタリビルド併用注意併用注意
テビケイ併用注意併用注意併用注意併用注意
トリーメク併用注意併用注意併用注意併用注意
その他メタルカプターゼ併用注意併用注意併用注意
メタライト併用注意
レボレード併用注意併用注意併用注意併用注意
エクジェイド併用注意

併用禁忌というケースは、タンナルビンと鉄剤くらいしか無く、この併用禁忌も服薬時間をずらせば問題ないので、医師もあまり気にせず処方していることが多い。

フェロミアやマグミットなど、普通に併用されますが、中には相当AUCを落とすケースもあり、可能であれば服用間隔をずらすなどの対応が必要なものもある。

カルシウムと相互作用のある薬で、「牛乳を飲んでもいいか?」などと聞かれるとちょっと戸惑うが、同時に飲むのでなく、食品から摂取する程度であれば問題ないことが多い。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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