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硝酸薬の耐性回避に使われる薬
公開. 更新. 投稿者:狭心症/心筋梗塞.この記事は約2分22秒で読めます.
3,727 ビュー. カテゴリ:硝酸薬の耐性
硝酸薬って長く使ってると効かなくなるの?
硝酸イソソルビドやニトログリセリンなどの硝酸薬で、持続時間の長い徐放錠や貼付剤を漫然と使用すると、これらの作用が減弱する「硝酸薬耐性」が問題となることがある。
耐性の発生は個人差が大きく、その頻度は明らかではないが、血中濃度を高く保ち続けた場合に起こりやすいとされる。
硝酸薬は血管平滑筋細胞において、cGMP(環状グアノシン一リン酸)を増加させ、細胞内カルシウム濃度を低下させることで、強い血管拡張作用を発現する。冠動脈だけでなく、末梢静脈を拡張させて心筋の酸素需要量を減少させるといった効果も有する。
硝酸薬耐性が起こるメカニズムの詳細は不明であるが、耐性には2種類あると考えられている。
1つは、「偽耐性」と呼ばれるもので、硝酸薬によってレニン・アンジオテンシン系やバソプレシンなどの神経体液性因子が活性化され、そのために血管の収縮や体液量の増加が起こり、耐性が生じるというもの。
もう1つは、血管平滑筋におけるcGMPの産生が障害されて硝酸薬の効果が減弱する「血管耐性」である。
この硝酸剤耐性の発現を回避するために、ACE阻害薬やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)などの併用が行われることがある。ACE阻害薬は、亢進したレニン・アンジオテンシン系を阻害して耐性を回避する。
ACE阻害薬などの併用による硝酸薬の耐性回避はある程度は有効であることが分かっているが、長期にわたる効果は確認されていない。
確実な耐性回避の方法として知られているのは硝酸薬の間歇投与療法である。同療法では、1日に休薬期間を8時間以上置いたり、非対称的に投与(朝8時と午後3時など)することで血中濃度の谷間を作り、耐性を回避する。
休薬期間の心筋虚血が懸念される場合は、その間、硝酸薬以外の薬剤が使用されることもある。
硝酸薬の耐性回避にビタミンC?
硝酸薬は一定以上の血中濃度が長時間維持されることで、数日のうちに耐性を生じるといわれる。
硝酸薬耐性の発生メカニズムは不明な点が多いが、硝酸薬の連用によって血管壁に活性酸素が生じ、これが硝酸薬をNOに変換する代謝経路を阻害する、あるいは生成したNOの分解を促進することで、耐性が生じるものと考えられている。
そのため、ビタミンCやビタミンE(トコフェロール)などの抗酸化物質が硝酸薬耐性の抑制に有用と考えられている。
また、硝酸薬耐性には別の機序も考えられており、血管拡張に対する生体の代償的な機構としてレニン・アンジオテンシン(RA)系が活性化され、血管収縮が生じている可能性も指摘されている。
このためアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)などを硝酸薬耐性の予防に併用した研究などもある。
また、ビタミンCは狭心症への治療効果もあるといわれている。
ビタミンCは、血管内皮機能改善とそれに伴うアセチルコリンによる冠動脈収縮の緩和効果があることが示されており、冠攣縮の治療効果が期待できる可能性もある。
硝酸薬はすぐ効かなくなる
NOは気体であり、比較的不安定な物質で、すぐに周辺の酸素と反応してNO₂などの窒素酸化物に変化するので、持続的な血管拡張を期待する際には、テープ剤などで時間をかけて吸収させるような吸収させるような工夫が必要になる。
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