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痔の飲み薬は効くのか?
公開. 更新. 投稿者:便秘/痔.この記事は約5分54秒で読めます.
11,612 ビュー. カテゴリ:痔の飲み薬
以前、消化器科の門前薬局に勤めていたときは、サーカネッテンとかあふれるほど使っていましたが、いつの間にか(2018年3月末)販売中止となっていた。
痔の内服薬としては、ヘモクロン、ヘモナーゼ、ヘモリンガルといったヘモ(痔)と名の付く薬が多い。
医薬品 | 成分 | 適応症 |
---|---|---|
ヘモクロン | トリベノシド | 内痔核に伴う出血・腫脹 |
ヘモリンガル舌下錠 | 静脈血管叢エキス | 痔核の症状(出血,疼痛,腫脹,痒感)の緩解。 |
タカベンス | メリロートエキス | 痔核の症状(出血、疼痛、腫脹、痒感)の緩解、外傷・手術に伴う軟部腫脹の緩解 |
ヘモナーゼ配合錠 | ブロメライン、トコフェロール酢酸エステル | 痔核・裂肛の症状(出血、疼痛、腫脹、痒感)の緩解、肛門部手術創 |
このうち、ヘモリンガル舌下錠と同じ成分(静脈血管叢エキス)のヘモリンド舌下錠という薬が小林製薬から2017年10月4日に発売されていた。
痔というのはナイーブな疾患でもあるため、診察せずにOTCで購入して自力で治そうとする人は多く、売れているようだ。
患者からは「痔を飲み薬で治せるの?」という質問を受けることもある。
このヘモリンド舌下錠について言えば、成分は「雑食動物の静脈叢を加水分解して得た乾燥エキス」とのことで、個人的には「雑食動物ってなんだ?」という部分が気になりますが、たぶんネズミとか?
漢方薬、生薬的な効果は期待できるかも知れない。
基本的に、痔に使う薬といえば、ネリプロクトとかポステリザンとか、注入軟膏、坐薬系の直接患部に届くような外用薬がメインです。
しかし、補助的に飲み薬も使われる。
よく処方されるのが漢方薬の乙字湯。
特に妊婦さんにも痔は多いので、安心して使える漢方薬は使いやすい。
サーカネッテンの成分
外用薬においても、その成分はチャンポンされた配合剤ですが、内服薬も色んな成分の配合剤が使われる。
サーカネッテンの成分は、
パラフレボン——200mg
センナ末—–15mg
イオウ—–15mg
酒石酸水素カリウム—15mg
となっている。
パラフレボンというのが謎の成分。
センナは入っていますが、特に妊婦に禁忌とはなっていない。
センナ末15mgがセンノシドに換算してどの程度かはわかりませんが、プルゼニドほど強い瀉下効果は無いと思われる。
センナ末、イオウ、酒石酸水素カリウムは下剤としての効果が期待されており、パラフレボンはうっ血状態を改善して腫れをひかせる働きが期待されているようだ。
インタビューフォームの作用機序をみると、
主成分のパラフレボンは静脈瘤(痔核)に選択的に作用し、うっ血している静脈瘤血の凝固性を亢進させて血栓を形成し、次でその血栓が硬化し、器質化して結節を閉塞萎縮、自然的に痔核を治癒させる。同時にパラフレボンの消炎作用及び毛細血管透過性抑制作用により、痔核に随伴する炎症・浸潤・出血を抑制して自他覚症状を急速に改善する。他方、配合された3 種の緩下剤も便通を調整して治癒を助長する。
と書かれている。
サーカネッテンのインタビューフォームに臨床試験の結果が載っていますが、
臨床効果
104医療機関における二重盲検比較試験を含む臨床試験では、痔核に対して80%(1,444/1,806)の有効率を示した。また、パラフレボン及びプラセボ並びに本剤に配合されている三種の緩下剤を対照薬とした二重盲検比較試験により、痔核に対する本剤の配合意義と有用性が認められている。
痔なんてほとんど自然治癒するでしょうけど。
結局、痔の原因としては便秘があり、乙字湯にしても大黄の瀉下効果が大きい。
下剤とか整腸剤使ったほうがわかりやすくて良い。
ヘモリンガル舌下錠
舌下錠といえば、ニトログリセリンがあります。
ニトロペンとか。
むしろ、ニトログリセリンしか知らない。
しかし、珍しいことに、痔に使う舌下錠があるという。
その名は「ヘモリンガル舌下錠」。
成分は静脈血管叢エキス。
静脈血管叢エキスは雑食動物の静脈叢を加水分解して得た乾燥エキスで,主成分はポリペプタイドである。
雑食動物ってなんだ。
人間じゃないよなあ。気になる。ネズミ系かな。
用法は、
通常,静脈血管叢エキスとして1回0.18mg(本剤1錠)を1日3回舌下投与する。
ニトロみたいに頓服ではない。
舌下錠というと、即効性を期待しそうですが、添付文書上は1日3回となっている。
本剤は舌下錠のため,口腔粘膜から徐々に吸収させること。(嚥下すると効果が著しく低減する。)
飲んではダメ。
静脈血管叢エキスって、イメージ的に高分子な気がしますが、舌下から吸収されるのだろうか?
インタビューフォームの開発の経緯
1929 年 Sivori,L.らは臓器特有の蛋白の分解、合成には特異的活性を 持つ酵素が必要なことを提唱し、臓器組織を酵素的に加水分解して原蛋 白分子の特異性を残したポリペプタイドをつくり、これが経皮、経粘膜 投与では同属臓器に最も有効に働くが、経口投与ではその効果が著しく 減じ、非経口ではむしろ組織障害さえ認めることを実験的に示した。 一方潰瘍性大腸炎の治療薬を独自に探索していた Conforto,V.は Sivori,L.の報告を肝水解物を用いて追試して同様の結果を得、ついで 自らの患者のために腸管水解物をつくって与えたところ、目的の潰瘍性 大腸炎に対する効果よりも、たまたま患者の一部に合併していた痔核に 全く予期しなかった改善効果を認めた。そこで彼は腸管に代えて痔静脈 叢を用いて水解物をつくり、少量で痔核症状を改善する新しい経口腔粘 膜用剤を完成した。
もともと潰瘍性大腸炎の薬として研究されていた。
飲んでは効果がなく、塗っては組織障害を認めたので、舌下投与となった。
ニトログリセリンはグリセリンなので甘いですが、静脈血管叢エキスは不味そうだなあ。
ニトログリセリンが痔に効く?
ニトログリセリン軟膏が痔に効く、らしい。
医療用でニトログリセリン軟膏といったらバソレーター軟膏。
と思ったら、もうすでに販売中止。
保険適応外だったし。あまり普及してなかったみたいだし。
ニトログリセリン軟膏の内肛門括約筋の一時的な弛緩作用を利用し、裂肛の治癒を試みることがある。
有効率は70%とされるが、副作用として頭痛が40%に認められ、あまり普及していない。
裂肛とニトログリセリン軟膏
裂肛は何らかの原因で肛門上皮にできた裂創であり、急性の場合には便の軟便化や肛門への軟膏剤などの使用による保存的療法で治癒しますが、内括約筋の痙攣が加わると慢性化し外科的手術となります。
しかし、最近では内括約筋の収縮を抑制する神経伝達物質としてNOの存在が知られるようになり、その供給体であるニトログリセリン軟膏を用いた治療が有効であることが認められています。
ニトログリセリン軟膏による治療はバソレータ軟膏を白色ワセリンで希釈して0.5%にして使用しています。
この0.5%ニトログリセリン軟膏を1日2~3回、1回0.5g肛門皮膚に塗布します。
一般に慢性裂肛症例では肛門管に指を入れることが痛みを伴うので、軟膏肛門内の直腸粘膜や肛門上皮に塗布する必要はありません。
逆にニトログリセリン軟膏を直腸粘膜に塗布すると急激な血圧効果をきたすことがあるので注意が必要です。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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