2024年11月20日更新.2,474記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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オピオイドの等価換算表

オピオイドの等価換算表

麻薬の力価に疎い私です。

オピオイドスイッチングを行う際には必要な知識なので、覚えておく。
見ればわかるようにまとめておく。

オピオイドスイッチングとは、オピオイドの副作用により鎮痛効果を得るだけのオピオイドを投与できない時や、鎮痛効果が不十分な時に、投与中のオピオイドから他のオピオイドに変更することをいいます。

まずは麻薬の成分としては以下のようなものがある。
経口モルヒネ製剤:MSコンチン、オプソ
モルヒネ坐剤:アンペック
オキシコドン製剤:オキシコンチン
タペンタドール:タペンタ
トラマドール:トラマール
フェンタニル製剤:フェントス、デュロテップ
ヒドロモルフォン:ナルサス

基本としては、
モルヒネ経口製剤:オキシコドン経口製剤=1:2/3
モルヒネ経口製剤:フェンタニル経皮吸収製剤(放出量)=1:1/100
です。

添付文書の記載

オキシコンチンの添付文書には、「モルヒネ製剤の経口投与を本剤に変更する場合には,モルヒネ製剤1日投与量の2/3量を1日投与量の目安とすることが望ましい。」とあります。

トラマールOD錠の添付文書には、「トラマール定時投与量の1/5の用量の経口モルヒネを初回投与量の目安とすることが望ましい。」と記載されている。

ナルサスの添付文書には、「本剤の1日用量は、ヒドロモルフォンとして、モルヒネ経口剤1日用量の1/5量を目安とすること。」と記載されています。

タペンタの添付文書には、「本剤の1日投与量は、タペンタドールとして、オキシコドン徐放錠1日投与量の5倍を目安とする」とある。

医薬品名換算比投与量
経口モルヒネ(mg/日)160120240360
モルヒネ坐薬(mg/日)4080160240
オキシコドン徐放錠(mg/日)2/34080160240
フェントステープ(mg/日)24812
デュロテップパッチ(mg/日)4.28.416.8
ワンデュロパッチ(mg/日)1.73.456.7
コデイン(mg/日)
トラマール(mg/日)300
レペタン(mg/日)1.2
タペンタ(mg/日)200400
ナルサス(mg/日)12244872

オピオイドのレスキュー・ドース

ベースの麻薬とレスキューの麻薬の量の差について。

モルヒネをレスキューに使うときは、ベースの投与量の約1/6をレスキューとして使う。
オキノーム散をレスキューに使うときは、ベースの1/8~1/4を使う。

えと、フェントステープ1mgをベースに使ってオキノーム散を使う場合は、、、メンドクセ。

フェントステープ1mgのフェンタニル1日放出量は0.3mgだから、モルヒネに換算すると、その100倍で30mg。
オキシコドンに換算するとその2/3で20mg。
20mgの1/8~1/4をレスキューとして使うとして、2.5~5mg。
オキノーム散2.5mgか5mgを使えばいいってことね。

レスキュードーズの使用量

オピオイド鎮痛薬は、定時投与として徐放製剤を1日1~2回用いながら、突出痛が現れた時、レスキュードーズとして速放製剤を用います。

レスキュードーズの1回の投与量は、モルヒネでは定時投与の1/6、オキシコドンでは定時投与の1/8~1/4を目安とします。
痛みが強くなった時にはどのくらい増量すればよいのか。
増量が必要かどうかの判断は、突出痛を抑えるために何回レスキュードーズを使っているかを目安にします。
患者さんの満足度にもよりますが、目安として1日4回以上レスキュードーズが必要な場合、定時投与の増量を検討します。
この時のレスキュードーズ1回分の用量は、増量した定時投与の量に合わせて変更します。
その結果、レスキュードーズの投与回数が1日3回までで満足できる鎮痛効果が得られれば、このオピオイド鎮痛薬の投与量が適当であると判断できます。

定期オピオイドモルヒネ(mg/日)2030406090120180240
オキシコドン(mg/日)10152030406080120160
フェントス(mg/日)0.5123468
タペンタ(mg/日)50100150200300400
ナルサス(mg/日)24681218243648
レスキュー(mg/回)モルヒネ経口55551015203040
モルヒネ坐薬5555510102020
オキノーム2.52.52.55510152030
ナルラピド111123468

レスキューとはオピオイドを定時使用中に疼痛が増強した場合に使用する速効性オピオイドのこと(徐放性製剤、貼付剤はレスキューに使用しない)

経口薬:1日モルヒネ投薬量の1/6をレスキュー1回とする。1時間後に追加可。
口腔粘膜吸収薬(イーフェンバッカル):1回50または100μgから開始し、症状に応じて100、200、300、400、600、800μgの順に1段階ずつ漸増。投与から30分後以降に同一用量の追加可。
座薬(アンペック座薬):Tmax1~2時間であり、あまりレスキューに適さない。

突出痛の発症予測

突出痛とは、急激に発症して数分以内い最大に達する痛みのこと。
持続時間は、2~3分程度で回復するものから2時間程度持続するものまで様々。
患者の約8割は突出痛の発症を予測できるようになるという。
突出痛には次のものがある。
・骨転移などに随伴する体動に伴って増悪する痛み
・徐放性オピオイドの薬効が切れる、次回の内服直前に起こる痛み
・原因不明の痛み

レスキューとして使う薬

塩酸モルヒネ末
オプソ内服液5mg、10mg
モルヒネ塩酸塩錠10mg
アンペック坐薬10、30mg
オキノーム散2.5、10mg
トラマールOD錠25mg
アブストラル100μg
ナルラピド1、2、4mg

最近、アンペック坐剤をレスキュードーズとして使う医師がいるが、賛否の分かれるところである。

原則としてアンペックは30分たたないと血中に現れてこない、1時間半たたないとピークに達しないので、患者から「次はいつ入れていいですか」と質問があった場合、「1時間半は様子をみなさい。2時間たったら次の薬を追加してください」という指導になってしまう。

ちなみにアンペック坐剤の効果持続時間は、投与後8時間まで安定した有効血漿中濃度を維持する。定期薬のほうが向いている。

他の内服麻薬だと、1時間様子をみて服用という指導が多い。

麻薬

麻薬とは、通常はモルヒネやヘロインのようなケシから生成される麻薬性鎮痛薬のオピエートやオピオイドを指すが、法律上の用語として、不正確に法律で規制された薬物を指して用いられることもある用語である。アメリカやカナダの規制法によれば、オピオイドだけでなく、コカインや大麻を含む。日本ではさらに麻薬及び向精神薬取締法における、「日本の法律上の麻薬」の語が、それらとも異なって使用されている。

麻薬の強さ

コデイン(弱い) < ジヒドロコデイン(やや弱い) < モルヒネ(基準) < オキシコドン(強い)
(合成麻薬:ペチジン < (モルヒネ) < フェンタニル、レミフェンタニル

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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