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鍵をかけた設備に保管する薬
公開. 更新. 投稿者:薬局業務/薬事関連法規.この記事は約5分52秒で読めます.
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鍵をかけた設備
保健所から指摘されることの多い事項に、麻薬、覚せい剤原料、向精神薬、毒薬の保管場所についての指摘があります。
それぞれ別の場所に鍵をかけて保管してあると思います。
覚せい剤原料なんてエフピー錠くらいなものなので、そのために鍵のかかる設備を用意する必要がある。
毒薬もウブレチド、アンカロンくらい。
麻薬だって処方頻度少ない薬局もあるし。
しかし、処方されれば、一人の患者のためでも鍵のかかる設備を用意しなければならない。
麻薬、覚せい剤原料、向精神薬、毒薬の計4か所。
できれば全て同じ場所に鍵をかけて保管したいところですが、そうもいかない。
法的にどのような縛りがあるか、見ていく。
ポイントとしては、①他の医薬品と一緒に保管してもいいのか?②常時施錠しないといけないのか?といった点です。
麻薬の保管(麻薬及び向精神薬取締法)
「麻薬及び向精神薬取締法」に麻薬の保管について記載されている。
(保管)
第三十四条 麻薬取扱者は、その所有し、又は管理する麻薬を、その麻薬業務所内で保管しなければならない。
2 前項の保管は、麻薬以外の医薬品(覚せい剤を除く。)と区別し、かぎをかけた堅固な設備内に貯蔵して行わなければならない
薬局内での麻薬の保管は、施錠設備のある麻薬専用の金庫で行う必要がある。
薬局内に設けた鍵をかけた堅固な設備内に保管しなければなりません。
この「鍵をかけた堅固な設備」とは、麻薬専用の固定金庫または重量金庫(容易に移動できないもの)で、施錠設備のあるものでなければなりません。手提げ金庫やスチール製のロッカー、事務机の引き出しなどは、例え施錠可能であっても認められません。
また、保管庫の設置場所は、盗難防止を考慮し、人目につかず、関係者以外の出入りがない場所を選ぶことが望まれます。また、保管庫の中には、麻薬以外の医薬品や現金などを一緒に入れることはできません。
「麻薬以外の医薬品(覚せい剤を除く。)」と記載されているが、「覚せい剤」であり、エフピーなどの覚せい剤原料は一緒に保管できない。
毒薬の保管(薬機法)
調剤薬局で取り扱う可能性のある内服の毒薬としては、
アンカロン 抗不整脈薬
アルケラン 抗悪性腫瘍薬
ウブレチド コリンエステラーゼ阻害薬
テモダール 抗悪性腫瘍薬
バリキサ 抗ウイルス薬
がある。
これらは鍵のかかった引き出しなどに他の医薬品とは別に保管する必要がある。
「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に毒薬の保管について記載されている。
第四十八条 業務上毒薬又は劇薬を取り扱う者は、これを他の物と区別して、貯蔵し、又は陳列しなければならない。
2 前項の場合において、毒薬を貯蔵し、又は陳列する場所には、かぎを施さなければならない。
劇薬はただ区別するだけでよいが、毒薬はかぎをかけて保管する必要がある。
毒薬・劇薬と毒物・劇物
毒薬・劇薬と毒物・劇物。
ときどき混同される。
ただし、医薬品及び医薬部外品は、毒物や劇物に分類されている物質であっても毒物及び劇物には含まない(毒物及び劇物取締法 第二条)。また混同されやすいが『薬事法における毒薬、劇薬』と『毒物及び劇物取締法における毒物、 劇物』は全く異なる分類である。すなわち、毒薬や劇薬は医薬品として承認されていることが前提となっている。
毒物及び劇物取締法 – Wikipedia
毒物及び劇物取締法に定められているのが、毒物・劇物。
薬事法で定められているのが、毒薬・劇薬。
毒薬だからといって毒物ではなく、劇薬だからといって劇物ではない。
覚せい剤原料の保管(覚せい剤取締法)
覚せい剤原料の保管については、覚せい剤取締法に記載されている。
第三十条の十二 第三十条の七(所持の禁止)第一号から第七号までに規定する者(病院又は診療所にあつてはその管理者とし、飼育動物診療施設にあつてはその獣医師管理者とする。以下第三十条の十四において同じ。)は、その所有し、又は所持する覚せい剤原料をそれぞれ次に掲げる場所において保管しなければならない。
一 覚せい剤原料輸入業者、覚せい剤原料輸出業者、覚せい剤原料製造業者又は覚せい剤製造業者にあつては、その業務所若しくは製造所又は厚生労働省令の定めるところによりあらかじめ都道府県知事を経て厚生労働大臣に届け出た場所
二 覚せい剤原料取扱者にあつては、その業務所又は厚生労働省令の定めるところによりあらかじめ都道府県知事に届け出た場所
三 覚せい剤原料研究者又は覚せい剤研究者にあつては、その研究所
四 薬局開設者にあつては、その薬局
五 病院又は診療所の管理者にあつてはその病院又は診療所、往診医師等にあつてはその住所
六 飼育動物診療施設の獣医師管理者にあつてはその施設、往診のみによつて飼育動物の診療業務を自ら行う獣医師にあつてはその住所
2 前項の保管は、かぎをかけた場所において行なわなければならない。
向精神薬の保管(麻薬及び向精神薬取締法施行規則)
向精神薬の保管場所については、薬及び向精神薬取締法の施行規則のほうに詳しく記載されている。
第四十条 向精神薬取扱者は、その所有する向精神薬を、その向精神薬営業所、病院等又は向精神薬試験研究施設内で保管しなければならない。
2 前項の保管は、当該向精神薬営業所、病院等又は向精神薬試験研究施設において、向精神薬に関する業務に従事する者が実地に盗難の防止につき必要な注意をする場合を除き、かぎをかけた設備内で行わなければならない。
3 向精神薬取扱者は、その所有する向精神薬を廃棄するときは、焼却その他の向精神薬を回収することが困難な方法により行わなければならない。
4 向精神薬営業者は、常時取引関係にない者に向精神薬を譲り渡すときは、その相手方が法第五十条の十六第二項、第三項又は第四項の規定により向精神薬の譲渡しが禁止されている者でないことを確認しなければならない。
向精神薬の保管は、「堅固な設備」といった記載はなく、鍵のかかるロッカーや机の引き出しでも可能。
ロッカーや机は容易に移動できないので大丈夫なのだが、手提げ金庫はダメ。動かないように固定するように指導される。
常時施錠しなくてもよい薬
向精神薬の保管場所には、他の麻薬、毒薬、覚せい剤原料とは違ったニュアンスの記載がある。
「向精神薬に関する業務に従事する者が実地に盗難の防止につき必要な注意をする場合を除き、かぎをかけた設備内で行わなければならない。」
つまり「必要な注意をする場合」、業務時間内であれば、かぎがかかってなくてもよい、「常時施錠」しなくてもよいということだ。
毒薬や覚せい剤原料の引き出しは常時施錠してないと、保健所から指摘される可能性もあるので、鍵はかけておこう。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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