2024年4月25日更新.2,754記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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1日1回の薬を1日2回に分けて飲んでも同じ?

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有効血中濃度

患者からの質問で、
「1日1回の血圧の薬を1日2回に分けて飲んでも同じように効くか?」
という質問があった。

「効きません」とだけ返しても納得されない。食いついてくる患者。
わかりやすく説明するのは難しい。

「1日の食事を1日1回で食べるのと、1日3回に分けて食べるのは違うでしょ」
「頭が痛いときに痛み止め1錠1回飲むのと、半分に割って1日2回に分けて飲むのは効果が違うでしょ」

わかりにくい。なんか違う。

そもそも「1日2回の薬を1日1回で飲みたい」というのなら「面倒だから」という理由でわかりますが、わざわざ降圧剤を1日複数回に分けたいという理由がわからなかった。たまに、こういう薬剤師の技量を試すような質問をしてくる患者がいるが、その類かも。

例えばアムロジピン10mgを1日1回ではなく、5mgを1日2回に分けて飲むという場合。
アムロジピンの用法は通常1日1回であるが、血圧の日内変動が大きい場合、めまいなどの副作用がある場合、1日2回に分けて飲ませる場合はある。
しかし、これは適応外の用法でもあり、「同じように」効くかどうかはわからない。

薬が効果を示すには、ある一定以上の血中濃度が必要である。これが有効血中濃度。1日1回で指示された薬を1日2回に分けて飲んでいけない理由の一つに挙げられる。

しかし、前述のアムロジピンの場合、5mgで効かないというわけではない。
ただ、「同じように」は効かないだろう。

まず、同じ量の薬を飲めば、同じような血中濃度になるというわけではない。個人差が生じる。薬物代謝酵素などに個人差があるからだ。

アムロジピン10mgが処方されている患者は、5mgで十分な有効血中濃度に達していない可能性が高い。
つまり、5mgを1日2回に分けても、十分な血中濃度に達しない、達したとしても10mg服用時に比べ時間が短いということになる。

もしかしたら、その患者が医師に「1日2回に分けて飲んでもいいか?」と聞いたら、簡単に「いいよ」と処方変更されるかも知れない。
同じ質問を医師にしたら「別に変わらないんじゃない」と言われるかも知れない。
結果的に、同じように血圧コントロールできるかも知れない。
そしたら、「同じようには効かない」と説明した薬剤師は嘘をついたという印象を持たれるかも知れない。

このような質問に断定的に答えるのはリスクが生じる。
「効く」と言っても嘘、「効かない」と言っても嘘。

「個人差があるので何とも言えません」という逃げ口上で乗り切るが、自己判断で1日2回で飲もうとする行為については注意する必要がある。

「添付文書上認められていない用法については、有効性が証明されていないという判断ですので、薬剤師としてはそのような飲み方は控えていただきたい。」

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薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

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本の紹介

yakuzaic
yakuzaic/著
2023年09月14日発売

プロフィール

yakuzaic
名前:yakuzaic
職業:薬剤師
出身大学:ケツメイシと同じ
生息地:雪国
座右の銘:習うより慣れろ。学ぶより真似ろ。
SNS:X(旧ツイッター)
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