2024年11月20日更新.2,474記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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ギャンブル依存症になる薬?

ギャンブル依存症とドーパミン

薬剤師

薬のせいでギャンブル依存症になることがあるの?

大谷翔平の通訳だった水原一平が違法賭博に関与していたとのことで一躍注目された「ギャンブル依存症」。

日本では「特定複合観光施設区域整備法」が2018年に成立し、ラスベガスのようなカジノを含むIR(Integrated Resort=統合型リゾート施設)の誘致合戦が自治体により行われています。
日本にカジノができると、「ギャンブル依存症になる人が増えるんじゃないか」「ギャンブル依存症が保険適応される」といったことが話題になっていますが、薬の副作用によるギャンブル依存症もあります。

ギャンブル中毒は、アルコール中毒やニコチン中毒よりも、本人や家族にとって深刻な問題かも知れない。

日本では主婦が乳幼児を車に置き去りにしたままパチンコにのめりこんで、熱中症で死亡したりと、考えられないような事件がありますが、パチンコ中毒もギャンブル依存症です。

主にパーキンソン病治療薬の副作用として「病的賭博」という副作用の記載が添付文書にみられる。

病的賭博とは、個人的生活の崩壊などの社会的不利な結果を招くにもかかわらず、持続的にギャンブルを繰り返す状態です。一般的な病的賭博の発症率0.42%に比べて、パーキンソン病治療薬における発症率は4.4%と高くなっています。

報告された症例の多くはプラミペキソール(ビ・シフロール)によるもので、若年発症例で多く見られ、投与開始3ヶ月以内または増量中に発症することが多く、服用をやめれば症状は治まる。

原因についての詳細は不明ですが、大脳辺縁系に多く存在するドパミンD3受容体に対する親和性が非常に高く選択性も高いプラミペキソールにおいて副作用の発症頻度が高いことからドパミンD3受容体の関与があるのではないかと考えられています。

以下の薬に「病的賭博」の副作用がある。

医薬品名副作用
MAO-B阻害薬(アジレクト、エクフィナ)病的賭博(個人的生活の崩壊等の社会的に不利な結果を招くにもかかわらず、持続的にギャンブルを繰り返す状態)、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等の衝動制御障害が報告されているので、このような症状が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。また、患者及び家族等にこのような衝動制御障害の症状について説明すること。
レボドパ製剤(イーシー・ドパール、ドパコール、ドパストン)レボドパ又はドパミン受容体作動薬の投与により、病的賭博(個人的生活の崩壊等の社会的に不利な結果を招くにもかかわらず、持続的にギャンブルを繰り返す状態)、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等の衝動制御障害が報告されている。また、レボドパを投与された患者において、衝動制御障害に加えてレボドパを必要量を超えて求めるドパミン調節障害症候群が報告されている。患者及び家族等にこれらの症状について説明し、これらの症状が発現した場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
エビリファイ原疾患による可能性もあるが、本剤投与後に病的賭博(個人的生活の崩壊等の社会的に不利な結果を招くにもかかわらず、持続的にギャンブルを繰り返す状態)、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等の衝動制御障害があらわれたとの報告がある。衝動制御障害の症状について、あらかじめ患者及び家族等に十分に説明を行い、症状があらわれた場合には、医師に相談するよう指導すること。また、患者の状態及び病態の変化を注意深く観察し、症状があらわれた場合には必要に応じて減量又は投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
ドパミンアゴニスト(カバサール、ニュープロパッチ、ハルロピテープ、パーロデル、ビ・シフロール、ミラペックス、レキップ)レボドパ又はドパミン受容体作動薬の投与により、病的賭博(個人的生活の崩壊等の社会的に不利な結果を招くにもかかわらず、持続的にギャンブルを繰り返す状態)、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等の衝動制御障害が報告されているので、このような症状が発現した場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。また、患者及び家族等にこのような衝動制御障害の症状について説明すること。

MAO-B阻害薬のアジレクト、エクフィナには病的賭博の記載があるが、エフピーには記載されていない。

抗精神病薬(エビリファイ)でも起こるのなら、他の抗精神病薬にも記載されそう。「原疾患による可能性」も高いので、今後カジノに出入りする患者が増えれば、添付文書の記載も変わってくるだろう。

エビリファイは、抗ドパミン作用が主体の抗精神病薬の中で、DSS(ドパミン受容体部分作動薬)というドパミン刺激系の作用機序なので、他の抗精神病薬よりもギャンブル依存症になりやすいのかも知れません。

これらの薬を飲んでいる患者家族は、金銭の管理を厳重にした方がよさそう。
カジノで散財するくらいなら、ゲーセンのメダルゲーム依存症で落ち着いてくれたほうが助かる。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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