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ドパミンアゴニストとレボドパの違いは?
公開. 更新. 投稿者:パーキンソン病.この記事は約6分17秒で読めます.
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ドパミンアゴニストとレボドパ
レボドパとドパミンアゴニストってどっちがいいの?
ドパミンアゴニストは脳内に移行すると、ドパミン神経終末の機能とは無関係にドパミン受容体に作用する。
少なくとも現在、国内で使用可能なドパミンアゴニストは長時間作用性であり、安定したドパミン受容体の刺激が図れるため、L-ドーパ効果の短縮に伴った症状悪化(ウェアリング・オフ現象)の緩和にも役立つ。
しかし、単独投与の効果はL-ドーパに及ばず、上部消化管症状や循環器症状、幻覚の頻度も高い。
運動合併症が生じやすい年齢の若いパーキンソン病患者で、軽症例ではドパミンアゴニストを用いた治療導入が推奨されるが、症状が重い場合での単独での治療は難しい。
L-ドパとドパミンアゴニストどっちがいい
L-ドパ製剤とドパミンアゴニストを比較すると、運動症状の改善度はL-ドパ製剤が勝っているが、ドパミンアゴニストのほうが運動合併症(ウエアリングオフやジスキネジアなど。数年の使用により発現してくる)の発現を遅らせることができるとされている。
そのため、パーキンソン病の治療はドパミンアゴニストで開始することが推奨されている。
しかし、ドパミンアゴニストのほうが幻覚や日中過眠の副作用の発現率はL-ドパよりも高いとされている。
また、麦角系ドパミンアゴニストでは、心臓弁膜症のリスクが高まること、非麦角系ドパミンアゴニストでは突発性睡眠に特に注意が必要であるといったことから、安全性に特に注意が必要な場合(高齢者、精神症状・認知機能障害のある場合など)や運動症状改善の必要性が高く求められる場合(運動症状が重い場合、転倒のリスクが問題になる場合など)は、L-ドパでの治療開始が勧められている。
ドパミンアゴニスト
現在では、初期軽症で高齢でないパーキンソン病の治療開始時の第1選択薬である。
レボドパよりも効果は弱いが、効果持続時間が長くて安定しており、長期投与による効果不安定や日内変動も出現しない。
中枢神経系において、線条体のドパミン受容体の直接刺激作用により、ドパミンに似た効果を示す。
ブロモクリプチン、タリペキソール、プラミペキソールはD2受容体の両者に作用する。
ロピニロールはD2、D3受容体選択性である。
副作用:嘔気、食欲低下、眠気、突発睡眠発作(プラミペキソール、ロピニロール)、浮腫、胸水、肺線維症、心臓弁膜症誘発による心不全(ペルゴリド、カベルゴリン)など。
拘束型心臓弁膜症:欧米で麦角系アゴニスト(ペルゴリドとカベルゴリン)の重篤な副作用として注目され、米国では2007年に販売中止になった。
麦角アルカロイドが心臓弁膜にあるセロトニン5-HT2B受容体に作用して線維化を起こすためと推定されている。
わが国の検討では、主としてカベルゴリンの高用量投与例に認められた。
日欧では非麦角系アゴニストを第1選択薬として使用し、それで効果が不十分か突発睡眠などで忍容性に問題がある場合に、麦角系アゴニストを心臓弁膜症がないことを確認した上で使用する。
心臓弁膜症がある場合は使用禁忌である。
既に使用中で副作用がない場合は、継続使用可能であるが、定期的にエコーを実施する。
突発睡眠と眠気:非麦角系アゴニスト(プラミペキソールとロピニロール)において頻度が高い。
特に前兆なく突然睡眠に陥る突発睡眠は、交通事故や外傷の原因になるので服用者には車の運転や危険作業への従事はしないように注意する。
現在、わが国のDAではブロモクリプチン(1985年発売)、ペルゴリド(1994年発売)、タリペキソール(1996年発売)、カベルゴリン(1999年発売)、プラミペキソール(2004年発売)、ロピニロール(2006年発売)が利用可能である。
ブロモクリプチン、ペルゴリド、カベルゴリンは麦角系であり、タリペキソール、プラミペキソール、ロピニロールは、非麦角系である。
DAの使い方としては、発症年齢が70歳未満であれば、運動合併症状の抑制効果のためレボドパより先に使用することが治療指針で求められている。
運動合併症状の発現では、DAを使用してからレボドパを併用したほうがその発現は減少することが報告されている。
一方、レボドパより多彩な副作用が出現する。
麦角系では、心臓弁膜症、非麦角系では眠気などの問題が指摘されている。
また下肢の浮腫もDAでその頻度が高いことがいわれている。
DAには運動症状を改善させる作用のほか、気分障害に効果を示すことが報告されている。
特にD3刺激作用のあるDA(プラミペキソール、ロピニロール)には、気分障害の改善のほか、実験レベルであるが神経再生作用が報告されている。
ドーパミン前駆物質とドーパミン受容体作動薬の使い分け
ドーパミン受容体作動薬(ドーパミンアゴニスト)とは、分泌が悪くなっている生理的ドーパミンの代わりにドーパミン受容体に結合することで、生理的効果をもたらそうとする薬物のことです。
ドーパミン前駆物質とドーパミン受容体作動薬とはどのように区別し使っていけばよいのでしょう。
どちらが効果的かといえば、直接ドーパミンを増やすドーパミン前駆物質のほうが劇的な効果が目に見えると考えます。
しかしながら、パーキンソン病は進行性の変性疾患であり、薬物療法は長く継続しなければならないと考えると、ドーパミン前駆物質だけを使うわけにはいかないのです。
生体内では必要なときにドーパミンを分泌するように調節していますが、ドーパミン前駆物質によるドーパミン補充は、化学物質の代謝による濃度変化に頼るしかなく、時には必要のないときにもドーパミンが過剰にある状態をつくってしまいます。
そうなると幻覚・妄想といった精神症状を引き起こしてしまうことがあるのです。
また長期に服用すると、ドーパミンの受容体が多すぎる刺激を回避するために、自らの作動性や感受性を落としたり、受容体の数自体を減らすといったダウンレギュレーションを導いてしまいます。
そうした理由から、病初期にはできる限りドーパミン前駆物質ではなく、ドーパミン受容体作動薬を用いたい、ということになります。
また病末期には、今度は効果が期待できないという理由でドーパミン前駆物質が使えなくなります。
パーキンソン病は神経変性疾患ですから、病末期にはドーパミン前駆物質がドーパミンへ変化する場所させなくなってしまうからです。
こうした理由により、パーキンソン病治療においては、まず「病初期」には「ドーパミン受容体作動薬」を、その効果が期待できなくなるまで使います。
次に「病末期」までの間は「ドーパミン前駆物質」を使います。
そして「病末期」に、「ドーパミン前駆物質」の効果がみられなくなったときから再び「ドーパミン受容体作動薬」を用いるようにしています。
若者にはドパミンアゴニストがいい?
パーキンソン病の初期治療は、高齢者(70~75歳以上)ではレボドパ(メネシット、ネオドパストン、マドパー、ネオドパゾールなど)、若年者ではドパミンアゴニストからが基本である。
ドパミンアゴニストよりもレボドパの方が効果は確実であるが、比較的若い人でレボドパを第1選択としない理由は、長期使用に伴う運動合併症発症(wearin-off、on-off、ジストニアやジスキネジア)を防止するため。
若い人は長期間パーキンソン病の治療をすることになるので、レボドパ製剤はなるべく後まで取っておこうという話。
若年者ではL-ドーパへの治療反応性が良く、症状もよく改善される半面、運動合併症(薬の効果が早期に切れる「ウェアリング・オフ現象」や、抗パーキンソン病剤の服用に伴う不随意運動である「ジスキネジア」)が出現しやすい。
そのため、若年者にはドパミンアゴニストを利用することが多い。
70歳以下にはドパミンアゴニスト
Lドパの副作用を克服するために開発されたのが、作用時間の長いドパミンアゴニストです。
ドパミンアゴニストは、長期間服用してもwearing-off現象やジスキネジアが生じにくいのですが、効果発現までの時間がLドパより長く、吐き気、幻覚、妄想といった副作用が出現しやすいという欠点があります。
2002年に発表された「パーキンソン病治療ガイドライン」では、wearing-off現象やジスキネジアを生じやすい70歳以下の患者さんは、ドパミンアゴニストで治療を開始することが推奨されています。
いずれ、Lドパが必要になる日がきますが、Lドパの服用開始を少しでも遅らせて、wearing-off現象やジスキネジアの出現を先送りしたいからです。
一方、精神症状のリスクの高い70歳以上の患者さんや認知症を有する患者さんは、Lドパで治療を開始します。
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