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薬歴の未記入は不正請求?
公開. 更新. 投稿者:服薬指導/薬歴/検査.この記事は約4分45秒で読めます.
6,533 ビュー. カテゴリ:薬歴の法的義務
薬歴は薬剤師のカルテみたいなもの。
薬歴は書かなければいけない。
医師のカルテ(診療録)には、法的義務があります。
医師法第24条 医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。
薬剤師法で医師のカルテに相当するものは薬歴ではなく、調剤録です。
薬剤師法第28条 薬局開設者は、薬局に調剤録を備えなければならない。
2 薬剤師は、薬局で調剤したときは、調剤録に厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない。ただし、その調剤により当該処方せんが調剤済みとなったときは、この限りでない。
3 薬局開設者は、第1項の調剤録を、最終の記入の日から3年間、保存しなければならない。
薬歴については、直接的な記載義務は書かれていないので、薬歴に法的義務は無い、と。
薬剤服用歴管理指導料を算定するために書くものだ、と。
薬剤服用歴管理指導料を算定しなければ書く必要は無い、と。
しかし、薬剤師には情報提供の義務があります。
薬剤師法第25条の2 薬剤師は、販売又は授与の目的で調剤したときは、患者又は現にその看護に当たつている者に対し、調剤した薬剤の適正な使用のために必要な情報を提供しなければならない。
この情報提供の記録は残しておかなければならない。
薬歴という形じゃなくても良いかも知れないけど。
あと、健康保険法の薬担規則(保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則)には
第八条 保険薬局において健康保険の調剤に従事する保険薬剤師(以下「保険薬剤師」という。)は、保険医等の交付した処方せんに基いて、患者の療養上妥当適切に調剤並びに薬学的管理及び指導を行わなければならない。
2 保険薬剤師は、調剤を行う場合は、患者の服薬状況及び薬剤服用歴を確認しなければならない。
3 保険薬剤師は、処方せんに記載された医薬品に係る後発医薬品が次条に規定する厚生労働大臣の定める医薬品である場合であつて、当該処方せんを発行した保険医等が後発医薬品への変更を認めているときは、患者に対して、後発医薬品に関する説明を適切に行わなければならない。この場合において、保険薬剤師は、後発医薬品を調剤するよう努めなければならない。
と書かれています。
「薬剤服用歴を確認しなければならない」と。
今まで飲んだ薬を、患者インタビューで聞ければ、薬歴という記録が無くても良いのかも知れませんが。
薬歴に法的義務は無いけれど、じゃあ薬剤服用歴管理指導料を算定しなければ、何の記録も残さないで良いのかというと、そういうことにはなりません、という話。
薬歴の未記入は不正請求
薬歴を何か月分も書いていない。
そんな話も他の薬局でチラホラ聞く。
「薬歴の未記入は不正請求にあたる」
そんな話を聞いた。
薬歴記載が不十分なまま保険請求をしているのであれば、薬剤服用歴管理指導料の算定要件を満たしていないのに請求した「不当請求」に該当する可能性があります。
地方厚生局が行っている保険の個別指導で見つかれば、不当請求金額を返還するよう指示される恐れも。
当日の薬歴は当日中に書くようにしよう。
薬歴を見せて欲しいと言われたら?
「薬歴を見せてください」
言われたことありませんが、もし言われたらと考えるとドキッとします。
別にやましいことを書いているつもりはありませんが、患者さん本人に見られることを想定して書いていないので。
でも、そういうこともありえると考えると、誰に見せても恥ずかしくない薬歴を書く必要があります。
「個人情報の保護に関する法律」の第25条では、個人情報の取扱事業者は原則、その人と識別される個人データの開示を本人から求められた場合、遅滞なく情報を開示しなければならないとされています。
薬局でいれば、調剤録や薬剤服用歴(薬歴)などが個人情報に当たるので、患者から開示を求められれば応じる必要があります。
さらに個人情報保護法第26条には、その個人情報が誤っていた場合、本人からデータの内容の訂正、追加または削除を求められれば、取扱事業者は速やかに必要な調査を行い、訂正などを行わなければならないとあります。
第三者から薬歴を見せて欲しいと言われたら?
原則として個人情報を第三者に提供することは禁止されています(個人情報保護法第23条)。
しかし、寝たきり患者を介護する家族などに対する例外規定もあります。
薬歴に後で書き足してもいい?
薬歴の作成は、薬局業務運営ガイドラインを介して要請されているもので、薬歴の記載や保存も保険請求において必要とされるだけです。
法的な根拠はありません。
薬歴簿は、薬局管理の必要上、薬局が任意に備える帳簿にすぎず、指導内容を後から書き加えたとしても法的な問題にはなりません。
しかし、何かトラブルが起きてから指導内容を追記したのでは、その記載内容の真実性に疑いがもたれるため、仮に裁判となった場合には証拠価値がないと見なされるでしょう。
薬歴に嘘を書いたら
服薬指導を行っていないのに、薬歴に行ったとの記載をした場合、私文書偽造罪に問われ、偽の記載に基づいて調剤報酬を請求した場合は詐欺罪にも問われる可能性があります。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。
10 件のコメント
患者がお薬手帳を提出しなかった場合に、管理指導料41点を請求することも不正請求でしょ。
そうとは限りません。
手帳を持参せずに41点の算定は不正請求です。算定要件にあいません。
薬剤師さんへ
「手帳を持参せず41点の算定」が不正請求?
新規来局の患者さんが薬手帳なるものを全く知らず、当局で手帳作成しても41点をなぜ算定しないのですか?不思議~
新規じゃなくても、「薬手帳が一杯になったから今日から新しいの作ってください」と患者さんが言って作成しても41点算定しないのはどうしてですか?
薬手帳を持参しても併用薬をちっとも確認しなくて41点を算定して重複処方や残薬を疑義紹介しない薬局がいまだにあるんですよね~、昨日、とある薬局に確認してなぜ薬手帳にシールを貼っているのに重複を確認できないのか不思議です~と馬鹿にした雰囲気満載で☎連絡しました。もちろん処方元の委員にもその旨しっかりと連絡させていただきました。そちらの門前薬局ではちっとも薬手帳を確認せず、重複処方を気付かなかったのでこちらが連絡させていただきました、ちなみに重複していた薬はレンドルミン錠ですので~と皮肉たっぷりにお話しさせていただきました。
いずれにしても薬剤師の名前を語る偽物、まがい物が市中にはウジャウジャ生息しているということです。
同類と思われないようにお互い気を付けましょう。
誤字訂正します。
「紹介」→「照会」
再び誤字訂正
「委員」→「医院」です、たびたびすみませんでした。以上です。
Q患者がお薬手帳を持参し忘れたため、新しい手帳を交付した場合には、他の要件を満たしていれば、薬剤服用歴管理指導料は41点を算定できると理解して良いか。
A貴見のとおり。
ただし、次回来局時に従前のお薬手帳を持参するように患者に説明するとともに、次回患者が複数のお薬手帳を持参して来局した際には1冊にまとめること。
という疑義解釈が出ています。
もちろん、この疑義解釈は平成26年4月改訂版に載っているもので、超有名解答例ですから現役薬剤師に知らない人はいないでしょう。。ただし、私の勤務する薬局の近所にある全国チェーン薬局のCオール薬局では、厚い薬手帳を毎回忘れてくる患者さんに毎回毎回厚い薬手帳を新規作成しては41点算定して、1冊にまとめず放置していましたけどね(笑)
すぐに所属薬剤師会に連絡しました。
ただ、薬剤師会職員の田中さんの回答は「薬剤師個人の判断に任せられていますから、毎回厚い薬手帳型を新規作成しても違反ではありません。1冊にまとめていないのも、たまたま複数冊を持参されない患者さんに問題があるのでは?」とのなんとも不思議(アホ)な回答でした。
コメントありがとうございます。
「私も薬剤師」さんはもっとお薬手帳を活用すべきだ、というお考えかと思います。
ただの点数算定のためのアイテムに成り下がってしまっている。
チェーン薬局では点数算定の数値目標が掲げられ、おくすり手帳を忘れてきた患者に毎回新規で手帳を作成するよう指示されます。
現場の薬剤師の判断に任せられている、とはいえ上司からの圧力もあり、自由度は低いでしょう。
Q&Aでの大事な部分は「ただし…」以降の部分かと思いますが、そこが出来ていない、やっていないという現状だと思います。
東日本大震災の件もあり、おくすり手帳の評価を上げて全員に配るようにしたけれど、「シールを渡すだけ」という行為が批判を浴びて、今度は「毎回お薬手帳を渡す」という行為が批判を浴びて。次回の調剤報酬改定ではまた削られるかも知れません。
厚労省にとって、お薬手帳は調剤報酬減算のためのアイテムになっているかも知れませんね。
私はおくすり手帳の必要度の低い患者にもお薬手帳を渡すようにしている現状に問題があると思っています。
単発でもらうような薬、風邪薬などでお薬手帳は必要ないでしょう。
おくすり手帳のあるなしで調剤報酬点数に差をつけるのをやめて、本当に必要な人だけにお薬手帳を渡して管理できるような状況になればよいと思います。
おっしゃる通り!
まさにその通りなのです。
久々に、と言いますか、まれに見る真を打つ、どストライクの御発言です。
念のために申し上げますとyakuzaicさんの発言はもともと的の真ん中を射る御発言なのでしょう、きっとそうに違いありません。 私が目にしたアホな薬剤師たちのアホな発言にいてもたてもいられず、怒りと憎しみのエネルギーかわ噴火して、先日初コメントさせていただきました。薬手帳乱発ぼったくり薬局、薬歴未記入クソ薬剤師ども(失礼を承知の上)、そのクソ薬局を経営し、かつそのクソクズ薬剤師どもを雇っている守銭奴詐偽経営集団を見かけると、全身の血が逆流し、煮えたぎります(笑)
バカを撲滅しなくてはなりません。
不正は白日のもとに明らかにされ、かつ糾弾されなければなりません。
真面目に働いている者や会社は、当たり前の仕事の対価を頂かなくてはなりません。
不誠実な人間や不正を続ける会社と区別差別してもらわなければなりません。
そのためには多少の犠牲も仕方ありません。
トンチンカン薬剤師にはなんのことだかさっぱりわからないでしょう。いいんです、わからなくて、無視してください、そのまま通りすぎて一向に構いませんよ、むしろその方が大変ありがたいですから。。(笑)