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リフキシマとカナマイシンの違い
公開. 更新. 投稿者:肝炎/膵炎/胆道疾患.この記事は約3分59秒で読めます.
6,661 ビュー. カテゴリ:肝性脳症と高アンモニア血症と抗菌薬
肝性脳症の予防に使われる抗菌薬は?
肝性脳症の予防では、血中アンモニア濃度の上昇を防ぐために、腸内アンモニア産成菌の殺菌を目的とした抗菌薬の大量経口投与が行われる。
肝性脳症に対し適応を持つ抗菌薬はリフキシマ錠(リファキシミン)のみである。
2016年にリフキシマ錠が発売されるまでは、カナマイシンが主に使われていたが、適応外処方である。今でも薬価が安いので続けて処方されているケースもある。
カナマイシンはアミノグリコシド系、リフキシマはリファマイシン系の抗菌薬である。
リフキシマの薬効分類は、難吸収性リファマイシン系抗菌薬となっている。体内で吸収されないで腸管内だけで作用するので、腸内アンモニア産成菌の殺菌を目的とする肝性脳症の治療に適している。腸管内で抗菌作用を発揮しアンモニアを産生させるウレアーゼ産生菌を減少させるため、アンモニア濃度が低下する。カナマイシンも腸管からの吸収が極めて少ない。
血中に移行しにくいので、長期間大量投与しても副作用が起きる可能性が低いという利点もある。カナマイシン硫酸塩の副作用は、アミノグリコシド系抗生物質に共通の第8脳神経(聴力と平衡感覚)の障害と腎障害です。
リフキシマも長期投与による副作用の懸念は少ないが、長期投与による耐性菌の問題はあるので、添付文書には以下のように記載されている。
本剤は難吸収性製剤であるが、耐性菌の発現等を防ぐため、治療に際しては効果を十分に確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
カナマイシンは、アミノグリコシド系の抗生物質で、細菌の蛋白合成を阻害し、抗菌作用を示しますが、消化管内でほとんど吸収されず腸管へ到達する非吸収性の薬物で、特に腸管感染症の原因菌である大腸菌、赤痢菌に抗菌力を示します。
適応は感染性腸炎のみである。
ピロリ菌除菌で肝性脳症が改善?
肝性脳症という病気は、腸で発生するアンモニアなどの有害物質が、肝臓でうまく処理されず、血液の中にたまることが原因と考えられています。
胃のピロリ菌が出しているアンモニアも、肝性脳症の原因になることがわかってきました。
ピロリ菌を退治した結果、肝性脳症の症状がよくなったという報告もあります。
モニラックで高アンモニア血症予防?
モニラックシロップというラクツロース、人工甘味料的な薬があります。
その効能効果は、
・高アンモニア血症に伴う下記症候の改善
精神神経障害、手指振戦、脳波異常
・産婦人科術後の排ガス・排便の促進
・小児における便秘の改善
となっている。
甘いものを食べたり飲んだりすると下痢をする。
なので、便秘によく使われる。浸透圧性の下剤というわけだ。
このラクツロースはラクトース(乳糖)と名前が似ていますが、構造的にも似ている。
ガラクトースとグルコース(ブドウ糖)がくっついてラクトースになっています。
ガラクトースとフルクトース(果糖)がくっついてラクツロースになっている。
ちなみに砂糖(スクロース)はグルコースとフルクトースがくっついて構成されている。
「高アンモニア血症に伴う下記症候の改善」という適応症があるのは、以下のような作用機序による。
ラクツロース(モニラック)は、ヒトの消化管粘膜にはラクツロースを分解する酵素が存在しないため、分解・吸収されることなく下部消化管まで達し、ここでビフィズス菌や乳酸菌により分解され、乳酸菌等の栄養分となる。
乳酸菌は乳酸、酢酸などの有機酸を産生し、腸管内のpHを下げる。
低pH環境下では、アンモニア産生菌の発育が阻害される上、腸管からのアンモニア吸収が阻害されることも知られている。
じゃあ、ビオフェルミンやラックビーのような乳酸菌製剤を投与したほうがダイレクトに効くんじゃないかとも思いますが、それら乳酸菌製剤に「高アンモニア血症」という適応症は無い。適応が無くても処方されることはあります。
乳酸菌そのものよりも、乳酸菌のエサ(ラクツロース、オリゴ糖)のほうが重要なのかも知れない。
排便が滞れば、腸内環境は悪化し、アンモニアも発生しやすい状況になるので、瀉下作用も重要である。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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