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ボンゾールで血小板が増える?
公開. 更新. 投稿者:血液/貧血/白血病.この記事は約2分23秒で読めます.
3,342 ビュー. カテゴリ:ボンゾールが特発性血小板減少性紫斑病に効く?
テストステロン誘導体のボンゾール(ダナゾール)は蛋白同化ホルモンで、子宮内膜症や乳腺症の治療薬ですが、造血機能を高めて赤血球や血小板を増やす作用があり、再生不良性貧血や血小板減少性紫斑病の治療に使うことがあります。
効果は一定ではなく、他剤が無効の場合に使用します(保険適応外使用)。
ダナゾールはゴナドトロピンの分泌を抑制し、子宮内膜症の症状などを改善するホルモン製剤である。
アンドロゲン作用により、血小板産生亢進作用、血小板抗体の産生抑制、大貪食細胞による血小板の貪食阻害などの機序で血小板数を増加させると考えられている。
1日400~800mgを連日経口投与することで、難治性ITP患者の60~80%に有効だが、反応は一過性の場合が多い。
肝障害、血栓症などの副作用が比較的高頻度に出現する。
特発性血小板減少性紫斑病
特発性血小板減少性紫斑病(ITP:idiopathic thrombocytopenic purpura)は、明らかな原因を伴わない血小板減少により、点状・斑状の皮内出血(紫斑)、歯肉出血、鼻血、血便・血尿、月経過多などの出血症状を呈する疾患である。
厚生労働省の特定疾患治療研究事業の対象疾患であり、同研究班によると、日本におけるITPの有病者数は約2万人で、年間発症率は人口10万人あたり約2.16人と推計されている。
ITPは、急性型と慢性型に大別される。
急性型はほとんどが小児で、ウイルス感染に続発することが多く、3か月から1年で自然寛解する。
一方、慢性型ITPは20~40歳代の女性に好発する。出血傾向は軽い場合が多いが、自然寛解することはない。
なんらかの機序で産生された自己血小板抗体が血小板膜に結合することで、脾臓などの網内系でマクロファージに取り込まれ、貪食破壊されると考えられている。
ピロリ菌と特発性血小板減少性紫斑病
慢性型ITPの治療としては、2010年以降大きく変化があった。
ITPの治療法として除菌製剤が保険適用となった。
ITPでピロリ菌陽性である場合、除菌すると半数以上で血小板数が増加するためであり、厚労省「成人ITP治療の参照ガイド2012年版」では、ピロリ菌が陽性の場合、まず除菌療法の実施を推奨している。
除菌療法で効果がみられない場合やピロリ菌陰性患者では、ステロイド療法が選択され、さらに無効であれば脾臓摘出術が検討される。
ステロイド療法と摘脾により、多くの慢性ITP患者が出血の危険がない血小板数を維持できるが、これらが無効な例も20%程度存在する。
この難治例に対する治療には様々な方法が試みられている。
セファランチンと特発性血小板減少性紫斑病
セファランチンは植物性のアルカロイドで、放射線照射後の白血球減少症や脱毛症などに適応がある。
常用量は1日3~6mgだが、難治性ITPには1日40~60mgの大量投与が行われる。
セファランチンには、細胞膜安定化作用、免疫機能増強作用、血小板活性化抑制作用などがあることが知られているが、血小板数増加の機序は不明である。
ステロイドとの併用に相乗効果があることから、セファランチンにステロイドの作用を増強する可能性が指摘されている。
参考書籍:日経DIクイズベストセレクション STANDARD篇
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