2024年11月4日更新.2,470記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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リンデロンVG軟膏で難聴?

アミノグリコシド系抗菌薬と難聴

リンデロンVG軟膏を外耳炎に処方する医師がいる。

リンデロンVGに含まれるG(ゲンタマイシン)はアミノグリコシド系の抗生物質で、難聴やめまいなどの耳毒性で有名な抗生剤である。
そのため、耳周りに処方されるのには抵抗がありますが、内服や注射ではないし、まあいっかとも思う。

リンデロンVGの添付文書の副作用には、以下のように書かれている。

長期連用(ゲンタマイシン硫酸塩による)注5
頻度不明
腎障害,難聴

注5:長期連用を避けること。

虫刺されなどで、安易に処方されがちなリンデロンVG軟膏ですが、ただの痒み止めだと思って、長期連用する患者もいます。
耳が痒いから、と長期連用されることも考えられるので、ゲンタマイシンによる難聴・めまい、だけでなくステロイドによる真菌症などを起こさないよう、適正使用に注意する必要があります。

メニエール病にゲンタマイシン?

耳毒性薬物の代表的なものとして、アミノ配糖体系抗生物質がある。

具体的に記すとカナマイシン、ネオマイシン、バンコマイシンなどでは蝸牛系が侵されやすく、耳鳴・難聴が起こることがある。

一方、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシンなどでは前庭系が障害されやすく、めまいや平衡障害を引き起こすことがある。

以前使用されていたデヒドロストレプトマイシンでは難聴の副作用が強調されていたが、最近使用されている硫酸ストレプトマイシンは蝸牛系より前庭系に対する親和性が強く、その結果副作用として平衡障害が生じやすいと言われている。

これらのアミノ配糖体系抗生物質は内耳の有毛細胞や内リンパ分泌細胞などを破壊することが知られている。

従って、発想を逆転してメニエール病(内リンパ水腫)の難治例では、内耳の部分破壊を目的にアミノ配糖体系抗生物質を中耳腔に注入する治療が行われることもある。

リンデロンA液を耳に使っちゃダメ?

以前は、「眼・耳科用リンデロンA液」という、眼にも鼻にも耳にも使える薬がありました。

しかし、現在は名称変更になり、「点眼・点鼻用リンデロンA液」になっています。

耳に使えなくなりました。

その理由はフラジオマイシン。

硫酸フラジオマイシンは鼓膜を通過して内耳に浸透すると蝸牛の感覚細胞を障害し、非可逆性の内耳障害を起こすことがある。

点眼・点鼻用リンデロンA液の添付文書にも、

「中耳炎,鼓膜穿孔のある患者において,本剤の点耳,耳浴により,非可逆性の難聴が発現するおそれがあるので,耳内へは投与しないこと。」

と書かれています。

じゃあ、どうしても耳にリンデロンAを使いたいときはどうするか。

「眼・耳科用リンデロンA軟膏」というのがあります。

初めて知りました。

耳科用といえば耳科用液しか知らなかったので、耳科用の軟膏があるとは。

塗るの難しそう。

あんまり奥には使えないな。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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