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茶こしを篩代わりに?
公開. 更新. 投稿者:調剤/調剤過誤.この記事は約3分25秒で読めます.
9,225 ビュー. カテゴリ:粉砕調剤と篩
皆さん、粉砕は好きですか?
私は大嫌いです。
粉砕指示が来たときは、ゲンナリです。
施設の調剤なんかをしてると、飲み込みに問題のある患者は多いので、粉砕指示のオンパレードです。
一包化より粉砕調剤の加算を手厚くしてください。
粉砕に比べたら一包化なんて楽チンです。
粉砕は粉砕して終了ではない。粉砕後の「洗い」が、特に色付きの錠剤などの粉砕指示が来たら、それにかかる時間はたまったもんじゃない。
不満はこれくらいにして。
皆さんの薬局ではちゃんとした調剤道具を使っているでしょうか?
ちゃんとした、というのもよくわかりませんが、「シンリョウ」なんかで売っている物はちゃんとしてそう。
私の薬局では、粉砕に使う「粉砕機」は市販のミルミキサー、粉砕後の「ふるい」は茶こしを使っています。
調剤専用の器具は高かったり、メンテナンスが面倒という理由もありますが、前からそうしてるから、という惰性によるものも強い。
最終的には、粉砕した薬が均一に袋に入ってくれればOKということで、道具にはこだわらなくてもよいと思います。
篩
まず、散剤の定義について、調剤指針には「散剤は18号(850μm)ふるいを全量通過し、30号(500μm)ふるいに残留するものが全量の5%以下であり、200号(75μm)ふるいを通過するものが全量の10%以下のものを細粒剤という」と書かれています。
30号ふるいを95%通過するのが散剤、ということで粉砕後の篩過には30号ふるいを用いると良いのだろう。(どこぞやの病院薬剤部の内規にもそう書いてった)
大体、錠剤の粉砕後は乳糖で賦形することが多いが、乳糖とよく混ぜるためにも、あまり粗い粒では混和に問題が出てくる。
以下の表は、ふるいの目開きと号の一覧。
目開き | メッシュ(号) |
---|---|
5.6mm | 3.5 |
4.75mm | 4 |
4.00mm | 4.7 |
3.35mm | 5.5 |
2.80mm | 6.5 |
2.36mm | 7.5 |
2.00mm | 8.6 |
1.70mm | 10 |
1.40mm | 12 |
1.18mm | 14 |
1.00mm | 16 |
850μm | 18 |
710μm | 22 |
600μm | 26 |
500μm | 30 |
425μm | 36 |
355μm | 42 |
300μm | 50 |
250μm | 60 |
212μm | 70 |
180μm | 83 |
160μm | 93 |
150μm | 100 |
125μm | 119 |
106μm | 140 |
100μm | 149 |
90μm | 166 |
75μm | 200 |
63μm | 235 |
53μm | 280 |
45μm | 330 |
38μm | 390 |
32μm | 440 |
25μm | 500 |
20μm | 635 |
ただ、最近の散剤分包機は性能がよいので、Vマスではなく、円盤の分包機であれば、よく混ざっていなくても、回転しているので均一にバラまいてくれている。
調剤指針の「乳鉢の中心から外側に10回、次いで逆回りで外側から中心に向かって10回を3回繰り返し混和する。混和回数は60回を目安とする。」を正確に守らなくても、均一になる。
ふるいはあまり目が細かいと、何度もミキサーにかける羽目になって、調剤時間がかかってしまう。
茶こしでもなんでもいいが、比較的粗目の篩が好きだ。
粉砕調剤にかかる時間
真面目な薬剤師ほど、錠剤の粉砕に時間がかかってしまう。
それはなぜか?
ロスが気になるから。コンタミが気になるから。
ミキサーの隙間に入った微量の薬、乳鉢にくっついた微量の薬、ふるいにひっかかる錠剤の殻についた微量の薬、それらが気になってしょうがない。
可能な限りかき集めて、少しでもロスを少なくしたい。少しでも治療効果を上げたい。
また、1つの粉砕が終わって、次の粉砕にとりかかる際に、ミキサーについた薬、乳鉢についた薬、ふるいについた薬、分包機についた薬、コンタミネーションが気になってしょうがない。たとえ同じ患者の薬だとしても、混ざったらコンタミネーション。わずかな異物も許さない。
結局、どの程度ロスが出たのかはわからないし、白い粉ならコンタミがあるかどうかもわからない。
粉砕調剤のスピードアップのためには、手際や段取りを良くするのはもちろん必要ですが、ロスやコンタミを過剰に気にしないというのも必要かと思う。
粉砕調剤の監査
粉砕調剤の監査方法について。
散剤の監査システムは今はどの薬局にもあることだろう。バーコードで何の薬を調剤したか、という情報は残して置ける。
通常の粉薬の調剤であれば、バーコードを読み取って、計量して、それを監査者が処方内容と照らし合わせて監査する。難しくない。
しかし、粉砕調剤…通常、複数の錠剤を粉砕することになるが、その場合、もともとの薬の重量もわからなくはないが、ふるいにかけるので、殻の部分の重量が減ってしまうこともあり監査時の薬の重量としては何が正しいのか?何グラムだと合っているのか?という点についてはわかりづらいのである。
粉砕前の錠剤の重量を計って、粉砕後の錠剤の重量を計って、ロスした部分の殻の重量も計って…と、イチイチ計量すれば間違いないのかも知れないが、そんな時間は無い。
では、粉砕調剤の監査時には何を監査すればよいのか?
一応、篩過(しか)後の重量と分包紙の重量をあわせた重量が合っているかをメモするが、重量で何かを確認できるわけではない。
一番重要なのは、調剤後に残ったPTPシートの抜け殻で、その数が間違いないかを確認することである。監査後にそのシートは捨ててしまうので、一応錠剤の数と薬品名を監査シートに記載して残しておく。
というのが、粉砕調剤時に自分が行っている監査方法である。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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