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心不全にβ遮断薬は禁忌?
公開. 更新. 投稿者:心不全/肺高血圧症.この記事は約3分47秒で読めます.
5,397 ビュー. カテゴリ:心不全治療薬の併用禁忌
分類 | 商品名 | 一般名 | 併用禁忌 |
ジギタリス製剤 | ジゴシン | ジゴキシン | ー |
ラニラピッド | メチルジゴキシン | ||
カテコラミン製剤 | タナドーパ | ドカルパミン | ー |
プロタノール | イソプレナリン塩酸塩 | カテコールアミン(アドレナリン等)、エフェドリン、メチルエフェドリン、メチルエフェドリンサッカリネート、フェノテロール、ドロキシドパ | |
ボスミン | アドレナリン | ブチロフェノン系・フェノチアジン系等の抗精神病薬、α遮断薬を投与中の患者 イソプレナリン塩酸塩、ノルアドレナリン等のカテコールアミン製剤、アドレナリン作動薬を投与中の患者(ただし、緊急時はこの限りでない。) |
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エピペン | アドレナリン | イソプレナリン、ノルアドレナリン等のカテコールアミン製剤、アドレナリン作動薬を投与中の患者(ただし、蘇生等の緊急時はこの限りでない) | |
カルグート | デノパミン | ー | |
PDEⅢ阻害薬 | ピモベンダン | ピモベンダン | ー |
その他 | ノイキノン | ユビデカレノン | ー |
心不全とβ遮断薬
β遮断薬は心臓の働きを抑制します。
心筋の収縮能を低下させる作用を「陰性変力作用」という。β遮断薬やCa拮抗薬が持つ。
逆に心筋の収縮能を高める作用を「陽性変力作用」という。ジギタリスなどの強心薬が持つ。
そのため以前は心不全にβ遮断薬を使うことは禁忌とされていました。
しかし、近年では慢性心不全に対するβ遮断薬の有効性が報告され、心不全患者の予後を改善することがわかっています。
現在では、カルベジロール(アーチスト)だけじゃなくて、ビソプロロール(メインテート)にも慢性心不全の適応があります。
β遮断薬は、陰性変力作用(心臓の収縮力を抑制する作用)を持つため、従来、心不全の患者には禁忌とされていた。
しかし最近では、逆に心不全の治療薬として用いられることが少なくない。
これは、海外の大規模臨床試験において、心不全患者の予後を改善する効果が確認されたためである。
β遮断薬が心不全の予後を改善するメカニズムはよく分かっていないが、心不全患者では過剰なカテコールアミンの分泌が起こり、β1作用に基づく心筋酸素消費量の増大や心筋細胞内のカルシウム過負荷が起きることが知られておりβ遮断薬がこれらを抑制することで心筋を保護するのではないかと考えられている。
つまりβ遮断薬は、心臓を適度に休めることで心機能を保護する作用がある。具体的には、心筋の収縮力を落とす作用(陰性変力作用)と心拍数を減らす作用(陰性変時作用:)の2つの作用からなります。
また、同薬の抗不整脈作用も寄与していると推測される。
心臓選択性の高いメトプロロール酒石酸塩を拡張型心筋症治療に使用する場合には、心機能の急激な抑制を防止するために、ごく少量から投与を開始し、経過を観察しながら漸増する。
漸増の方法は確立されていないが、例えば初期は1日2.5~5mg程度を処方し、その後、自覚症状、血圧、脈拍を観察しながら1~2週間ごとに2.5~5mgずつ増量する。
維持量は40~60mgで、高血圧症などに使用される場合の常用量(1日60~120mg)よりも少ない。
保険適応を持つのはカルベジロール、ビソプロロールフマル酸塩である。
カルベジロールが最も効果が高いと言われるが、β1選択性を持たず、肝代謝胆汁排泄型であることに注意が必要である。
メトプロロールも心不全改善効果を持つものの、心不全への投与は禁忌であり、保険適応を持たないことに注意が必要である。
強心剤で心不全が悪化する?
心筋の収縮力を高める薬物を強心薬といい、種々の原因で心臓の機能が低下している場合に用いる。
狭義には心筋に直接作用して収縮力を高める薬物を指すが、広義には末梢血管に作用したり、中枢神経系への作用を介して間接的に心機能を高める薬物も含める。
ジゴキシンなどのシギタリス製剤は最近では心不全に使われなくなってきました。
弱った心臓に強心剤を投与することは「痩せ馬に鞭」を打つのと同じことで、さらに弱らせる可能性があります。
最近ではβ遮断薬という、逆に心臓の働きを弱めるような薬を使うことが多いです。
慢性心不全治療におけるアカルディの位置付け
心不全心では、心筋収縮のエネルギーが枯渇した状態にあります。
欧米では、強心薬は、心筋エネルギー消費の増大、不整脈の誘発、Ca2+やc-AMPの細胞毒性により、かえって心不全を進行させることが問題となり、慢性心不全に対する使用は禁忌とされています。
しかし、日本人の心不全死亡率は欧米ほど高くないため、生活の質の改善を目的としてその使用が正当化される場合が多くあり、アカルディはこの目的で使用されますが、第一選択薬ではなく、生活の質の改善が特に望まれる症例を正しく選択することが重要です。
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