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エクフィナ服用中チーズを食べても大丈夫?
公開. 更新. 投稿者:パーキンソン病.この記事は約3分47秒で読めます.
5,349 ビュー. カテゴリ:MAO-B阻害薬
チーズを食べちゃいけない薬って何?
アジレクト(ラサギリンメシル酸塩)というパーキンソン病の薬が2018年3月に承認された。そして、エクフィナ(サフィナミドメシル酸塩)という同種の薬も2019年11月19日に薬価収載された。
薬効分類は、どちらもMAO-B阻害薬。
エフピー錠と同じである。
アジレクトは、非可逆的かつ選択的なモノアミン酸化酵素B型(MAO-B)阻害薬で、MAO-Bに非可逆的に結合することで、脳内のドーパミンの分解を抑制し、シナプス間隙中のドーパミン濃度を高めることによってパーキンソン病の症状に効果を発揮する。
エクフィナは、主作用として選択的かつ可逆的にMAO-Bを阻害することで、MAO-Bによる内因性およびレボドパ製剤由来のドパミンの分解を抑制し、ドパミンの脳内濃度を高める。これにより、パーキンソン病のwearing off現象を改善すると考えられる。
どちらもエフピー(セレギリン塩酸塩)と異なり、アンフェタミン骨格を有さないため、覚せい剤原料には該当しないという。
このため流通上の規制から外れる。
覚せい剤原料としての規制から外れたエフピーと同様の効果が認められた薬があれば、エフピーの存在意義はかなり薄くなるだろう。
正直、代替薬があれば、一包化するのでさえ躊躇するような覚せい剤原料のようなやっかいな薬は処方してほしくない。
MAO-Bとチラミン含有食品
作用機序はエフピーと同じMAO-B阻害薬なので、禁忌薬は多い。
抗うつ薬との併用によるセロトニン症候群や、モノアミン含有量の多い食物(チーズ、レバー、にしん、酵母、そら豆、バナナ、ビール、ワイン等)との併用には注意する必要がある。
と思ったら、エクフィナのインタビューフォームには以下のような記載がある。
■チラミンとの薬物相互作用試験(海外データ) 健康成人を対象にサフィナミド2.0mg/kg(70kg換算で140mg相当)を単回経口投与時に、チラミンを静脈内投与したときの昇圧作用への影響を検討した結果、収縮期血圧を30mmHg上昇させるのに必要としたチラミン量(Tyr30)は、サフィナミド投与群(4.28±0.77mg)とプラセボ投与群(4.06±0.82mg)であり、サフィナミドによるチラミン昇圧作用の増強は認められなかった。 また、健康成人にサフィナミド300mgを反復経口投与時にチラミンを経口投与したときの昇圧作用への影響を検討した結果、サフィナミド300mgの併用はチラミン200mg投与時の昇圧作用に影響は及ぼさないと推察された。
チラミンはモノアミンであり、モノアミンオキシダーゼ(MAO)により代謝されて不活化する。しかしチラミンの代謝に大きな影響を及ぼすのはMAO-BではなくMAO-Aであるため、MAO-B阻害薬とチラミン含有食品の併用は問題ないはずである。
アジレクト、エフピーにはチラミン含有食品と併用注意の記載があるが、「本剤のMAO-B選択性が低下した場合、交感神経刺激作用が増強されると考えられる。」という限定的な表現であり、「チトクロームP-450 2D6及び3A4を阻害する薬剤と併用する場合には本剤の血中濃度が上昇し、MAO-Bの選択性が消失する可能性がある。」ということらしい。
だとしたら、エクフィナとチラミンの相互作用についても、エクフィナの血中濃度を上昇する薬剤との併用があった場合には注意が必要ということになる。
そもそも、「本剤のMAO-B選択性が低下した場合」という間接的な記載が引っかかる。エフピー×チーズは問題ないけど、エフピー×エリスロマイシン×チーズの場合は注意という合わせ技一本みたいな。
まあ、エフピー・アジレクトは非可逆的なMAO-B阻害作用であるのに対し、エクフィナは可逆的であるという点でマイルドな効果発現なのかも知れないなあという推測。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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