記事
脳梗塞後遺症に使われる薬
公開. 更新. 投稿者:脳梗塞/血栓.この記事は約2分17秒で読めます.
9,035 ビュー. カテゴリ:脳卒中治療薬
脳梗塞に効く薬、と聞くと、血栓を溶かすような薬、抗血小板薬など脳梗塞予防に使われるような薬をイメージする。
今日の治療薬の「脳梗塞治療薬」に分類されている内服薬には、ルシドリール、アデホスコーワ、ガンマロン、セロクラール、サアミオン、ケタス、ヒデルギン、シンメトレルなどがある。
脳梗塞そのものに効くというよりも、後遺症に効果がありそうな薬である。
それぞれの適応症は以下の通り。
医薬品名 | 適応症 |
---|---|
ルシドリール | 頭部外傷後遺症におけるめまい |
アデホスコーワ | 頭部外傷後遺症に伴う諸症状の改善 |
ガンマロン | 頭部外傷後遺症に伴う諸症状(頭痛、頭重、易疲労性、のぼせ感、耳鳴、記憶障害、睡眠障害、意欲低下) |
セロクラール | 脳梗塞後遺症、脳出血後遺症に伴うめまいの改善 |
サアミオン | 脳梗塞後遺症に伴う慢性脳循環障害による意欲低下の改善 |
ヒデルギン | 頭部外傷後遺症に伴う随伴症状 |
ケタス | 脳梗塞後遺症に伴う慢性脳循環障害によるめまいの改善 |
シンメトレル | 脳梗塞後遺症に伴う意欲・自発性低下の改善 |
ヒデルギンは2017年3月末に販売中止になっている。
病名的には、脳梗塞後遺症と頭部外傷後遺症とに分けられる。
症状的には、めまいと意欲低下が多い。
脳循環代謝改善薬
脳循環改善作用とは、血小板凝集抑制、平滑筋弛緩作用などにより、脳血流を増加させる作用である。
脳代謝改善作用とは、脳のエネルギー代謝や、神経伝達機能を改善させる作用である。
これらの作用をもつ薬は、2つの作用を厳密に区別せず、脳循環代謝改善薬と総称される。
頭痛、めまいなどの自覚症状の改善には、脳循環改善薬が有効であり、特に脳梗塞後のめまいにはイブジラスト(ケタス)、イフェンプロジル(セロクラール)がグレードC1で推奨されている。
自発性低下、情緒障害などの精神症状には脳代謝改善薬ニセルゴリン(サアミオン)が有効である。
またこれらの薬剤は、多少なりとも抗血小板作用を保つため、単剤で脳梗塞再発防止の可能性も示されている。
脳代謝改善薬としてアマンタジン(シンメトレル)は抗パーキンソン病薬も兼ねるが脳血管障害慢性期の意欲・自発性低下に有用であり、作用発現も比較的早いとされている。
脳循環・代謝改善薬は概して速効性はなく、通常使用後2週間ごろより効果がなく、通常使用後2週間ごろより効果が出現し、4~8週間頃明確になる。
そこで、重度の副作用がない限り、4~8週間をめどに継続投与して効果を判定する。
8週投与しても効果がなければ他薬に切り替える。
いずれも漫然と長期投与せず、途中で休薬して症候の動きをみることが重要である。
脳梗塞慢性期の後遺症に対して使用される脳循環代謝改善薬
分類 | 医薬品名 | 作用機序 | 適応となる後遺症・症状 |
---|---|---|---|
主に脳血流を増加させる薬 | イフェンプロジル | アドレナリンα1受容体遮断作用により脳血管を拡張する | めまい |
イブジラスト | プロスタサイクリン活性増強。PDEⅢ阻害により、血管を拡張し、血小板凝集を抑制する。 | めまい(気管支喘息にも使用される) | |
ニセルゴリン | 選択的な脳血管拡張作用により、虚血部血流量を改善する。また、血小板凝集抑制作用、赤血球変形能亢進作用や、アセチルコリン系、ドパミン系の神経伝達を促進する作用もあるとされる。 | 意欲低下 | |
主に神経伝達機能を改善する薬 | アマンタジン | 詳細は解明されていないが、ドパミンの遊離促進、セロトニン系の神経伝達促進などの作用により、精神活動を改善するとされる。 | 意欲低下、自発性低下(パーキンソン病、A型インフルエンザにも使用される) |
チアプリド | ドパミンD2受容体遮断作用を有する。錐体外路系よりも、中脳辺縁系のドパミン神経に作用するとされる。 | 攻撃的行為、精神的興奮、徘徊、せん妄(パーキンソン病に伴うジスキネジアにも使用される) |
抗痴呆薬
脳循環代謝改善薬、いわゆる以前の抗痴呆薬。
以前いっせいに薬価削除となった経緯がありました。
イデベノン(アバン)、塩酸インデノキサジン(エレン)、塩酸ビフェメラン(セレポート)、プロペントフィリン(ヘキストール)などが市場から姿を消し、ニセルゴリン(サアミオン)だけが生き残った。
セロクラールとめまい
セロクラールの作用としては、血管平滑筋弛緩作用、交感神経α受容体遮断作用などによる脳血流増加作用や、ミトコンドリア呼吸機能促進による脳代謝改善作用、また血小板の凝集抑制作用があります。
そのため、脳梗塞予防、めまいに効果がある。
また、NMDA(N-methyl-D-aspartate)受容体拮抗作用を有しているため、適応外使用で慢性疼痛に使われることもある。
めまいに効果があるが、めまいの副作用もある。
0.1~5%未満:頭痛、めまい
病気によるものか副作用なのかはわからないが。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。