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抗不整脈薬が不整脈の原因?
公開. 更新. 投稿者:不整脈.この記事は約1分30秒で読めます.
3,535 ビュー. カテゴリ:抗不整脈薬の催不整脈作用
不整脈の薬で不整脈になる?
抗不整脈薬で併用禁忌の薬が多いのは、アミサリン、リスモダン、シベノール、ピメノール、アンカロンなどで、「併用によりQT延長作用が増強する」という記載が多く見られる。
QT延長とは何か?
上の図はよく見る心電図の波形で、PQRST波と名付けられている。P波は心房の電気的興奮を表し、QRS波は心室の電気的興奮を表し、T波は心室の興奮からの回復を表している。このQT部分の時間が長くなるのがQT延長で、QTが延長すると突然死のリスクが高くなるという。
QTが延長しただけでは症状を呈さないが、心室頻拍を起こすと心臓から十分な血液を送り出すことができず、めまいや眼前暗黒感、失神といった症状が起こる。
QT延長を起こしやすい抗不整脈薬は、活動電位持続時間を延長するクラスⅠa群や、クラスⅢ群である。活動電位持続時間が延長すると不応期も延長するので、異常な電気的刺激により活動電位が誘発される可能性が減少し、不整脈が抑制されるので、抗不整脈作用をもたらす。しかし、それに伴いQT時間も延長し、トルサード・ド・ポワンツ型心室頻拍から心室細動に移行し突然死という催不整脈作用も併せ持つので、抗不整脈薬は諸刃の剣になり得る。
抗不整脈薬以外でQT延長の副作用を持ち併用禁忌に挙げられている薬には、ニューキノロン系薬(スパルフロキサシン、モキシフロキシン)やPDE5阻害薬(バルデナフィル、シルデナフィル)などがある。その他にも、マクロライド系抗菌薬や三環系抗うつ薬、フェノチアジン系薬など様々な薬がQT延長を副作用として持つので、注意が必要である。
QT延長と電解質異常
QT延長のきっかけとなり得るのが、体内の電解質バランスが崩れたときである。
例えば、胃腸炎による嘔吐や下痢、夏バテ・熱中症などによる食欲不振、水分摂取不足・脱水症状などで電解質異常を起こすと催不整脈作用が引き起こされることも考えられる。カリウムやナトリウム、マグネシウムといった電解質にも気を配りたい。
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