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ザイティガはプレドニンと併用しなきゃダメ?
公開. 更新. 投稿者:前立腺肥大症/過活動膀胱.この記事は約3分10秒で読めます.
11,083 ビュー. カテゴリ:ザイティガはプレドニゾロンと併用する?
前立腺癌治療薬のザイティガ(アビラテロン酢酸エステル)という薬があります。
用法は、「プレドニゾロンとの併用において、通常、成人にはアビラテロン酢酸エステルとして1日1回1,000mgを空腹時に経口投与する。」となっている。
プレドニゾロンと併用しなければならない。
なぜか?
ザイティガは、アンドロゲンの合成に関与するチトクロームP450(CYP)17の活性を不可逆的に阻害し、アンドロゲンの合成を抑制する。
ザイティガ(アビラテロン)は、アンドロゲンだけでなくコルチゾールの合成も阻害するため、体内のコルチゾール量が減少する。
コルチゾールの不足を感知した副腎はステロイド合成系を活性化させるが、コルチゾール合成が阻害されているため鉱質コルチコイドが合成されてしまい、鉱質コルチコイド過剰による高血圧、低カリウム血症、浮腫などの副作用症状が出やすくなる。
それを防ぐために、ザイティガを投与する際は、コルチゾールを補給する目的で、コルチゾール様ホルモンのプレドニゾロンを併用する。
プレドニゾロンを併用する。
デカドロンではダメか?
保険請求上はNGである。メーカーによると、海外臨床試験においてデカドロン併用で起立性低血圧が出現した例があり使用は推奨できないとのこと。
ザイティガと低カリウム血症
ザイティガは、アンドロゲン合成酵素であるCYP17の活性を阻害し、アンドロゲンであるテストステロンなどの合成を抑えることで、抗腫瘍作用を示す。
ただしCYP17阻害により、糖質コルチコイドであるコルチゾールの産生も減少するため、フィードバック作用が働いて鉱質コルチコイドが過剰に合成され、高血圧、低カリウム血症、体液貯留などの症状が発現しやすくなる。
これらを防ぐため、糖質コルチコイドであるプレドニゾロンを併用する必要がある。
ザイティガはCYP17阻害薬?
前立腺癌の治療薬でザイティガ(アビラテロン酢酸エステル)という薬がある。
その薬効分類はCYP17阻害剤である。
CYP17はプレグネノロンとプロゲステロンから、テストステロンの前駆体であるデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)とアンドロステンジオンをそれぞれ産生する。
ザイティガはコレステロールからアンドロゲンへの合成経路のうちCYP17を選択的に阻害し、アンドロゲンであるアンドロステンジオンとテストステロンの合成を抑制する。LH-RH製剤によりテストステロンを減少させる内科的去勢(アンドロンゲン除去療法:ADT)をすでに行っている場合でも、ザイティガを追加することによって、血中および前立腺組織中のアンドロゲン濃度はさらに低下する。つまり、すでにADTを受けているCRPC患者の血中アンドロゲン濃度を下げることにより、その治療効果を示す。
低用量ステロイド療法
ザイティガの副作用予防目的でのステロイド併用とは別に、前立腺癌に対して「低用量ステロイド療法」が行われることがある。
デキサメタゾン(0.5~2.25 mg/日)、プレドニゾロン(10~20 mg/日)、ヒドロコルチゾン(40 mg/日) などが二次ホルモン療法として用いられる。
デキサメタゾンは、ヒドロコルチゾンやプレドニゾンに比べ、グルココルチコイド活性が高く、ミネラルコルチコイド活性が弱い。
これまでの報告では、PSA減少(50%以上)の効果が、ヒドロコルチゾンやプレドニゾロンに比べ、デキサメタゾンの方が高いが、RCTではないため明確ではない。またいずれのステロイド薬も生存期間を延長させる効果は明らかではない。
ザイティガは空腹時に飲む?
ザイティガは食事により吸収が変化することで知られる。
特に高脂肪食(約830kcal)摂取後に服用した場合、空腹時と比較して最高血中濃度が17倍、血中濃度時間曲線下面積が10倍になる。
このため食前1時間から食後2時間までの間は服用を避ける。
飲み忘れたときの基本的な対応としては、当日気付いた場合は、当日中に空腹時を選んで1回分を服用する。
翌日に気付いた場合は、通常のタイミングで1回分のみ服用するよう指導するのが適切とされている。
ザイティガ(アビラテロン)は投与後8~12時間でトラフ値近傍まで低下することから、国内の臨床試験では最低8時間の投与間隔を空けることが好ましいとされていた。
次回服用まで8時間を切らない程度なら服用しても差し支えないと考えられる。
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