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メトグルコ服用中にCT検査しちゃダメ?
公開. 更新. 投稿者:糖尿病.この記事は約3分8秒で読めます.
13,230 ビュー. カテゴリ:メトグルコとヨード造影剤の併用
メトホルミンをはじめてとするビグアナイド薬服用中、ヨード造影剤を使用する際は検査前にビグアナイド薬を一時的に中止する。
これは、ヨード造影剤により一過性に腎機能が低下した場合、ビグアナイド薬の腎排泄が減少し乳酸アシドーシスを起こす危険性があるためである。
検査後48時間は投与を再開せず、投与は腎機能に注意して再開される。
つまり、検査日の翌々日の朝まで中止して、夜の分から服用できるということだ。医療機関から説明されていないこともあるので注意が必要だ。
腎毒性の強い抗生物質との併用時も腎機能の低下により乳酸アシドーシスの危険性があるため、メトホルミンの一時的な減量、中止が必要となる。
利尿作用を有する薬剤により体液量が減少すると、脱水状態になることがあり、乳酸アシドーシスを引き起こす恐れがあるため、脱水症状が現れた場合には投与を中止するなどの処置が必要になる。
ビグアナイドとヨード剤
近年、糖尿病罹患患者は増加傾向にあり、動脈硬化によるさまざまな疾患を発症するリスクが高い、ビグアナイド薬の有用性が再認識され、使用頻度は増している。
ビグアナイド薬の服用患者がCT検査時にヨード造影剤を使用すると、乳酸アシドーシスを発症する恐れがあるために、ヨード造影剤とは併用注意である。
ヨード造影剤を使用する検査の予定がある場合には、ビグアナイド薬の服用を事前に中止することを確認する必要がある。
メトグルコの休薬期間
検査前の腎機能が正常な場合
・検査時からメトホルミン(ビグアナイド系糖尿病用薬)の服用を中止する。
・検査後採血で腎機能が正常な場合は,メトホルミン服用を再開する。ただし,造影検査後48時間はメトホルミンの服用を再開しない。検査前の腎機能が異常な場合
造影剤の適正使用推進ガイド
・検査前にメトホルミンの服用を中止する。
・造影検査の実施は,服用中止後,48時間はあける。
・造影検査48時間後に腎機能悪化が認められない場合にのみ,メトホルミンの服用を再開する。
腎機能が正常な場合は、検査後2日の休薬期間。
腎機能が異常な場合は、検査前2日検査後2日の休薬期間。
メトグルコの休薬は必要か?
■ 欧米のガイドラインにおける対応
ヨード造影剤(尿路・血管用)とビグアナイド系糖尿病薬との併用注意について
国内のビグアナイド系糖尿病薬の添付文書では、緊急検査における検査前対応のみを不要としているが、欧米のガイドラインでは、いずれにおいても腎機能等に応じた対応指針を示している。具体的な対応法は異なるものの、腎機能が正常である場合、ヨード造影剤を用いた検査の前にビグアナイド系糖尿病薬の休薬を勧めるものはほとんどない。
糖尿病患者で腎機能が正常って人はほとんどいないだろうから、造影剤腎症、乳酸アシドーシスを予防するために休薬するってのは、無難な策かも知れません。
造影剤腎症予防に利尿薬?
造影剤腎症を予防する確実な方法は、残念ながら確立されていない。
現在のところ造影剤腎症のリスクがある場合には、腎毒性を有する薬剤を中止あるいは変更し、十分な補液を行った上で低浸透圧非イオン性ヨード造影剤を可能な限り少量用いて造影検査を行うのが最良の対応と考えられている。
十分な補液を行うことは造影剤腎症の発現予防に最も効果的であると考えられているが、具体的な補液法はまだ確立されていない。
一般には0.9%生理食塩水を注入速度1mL/kg/hrとして、検査前6~12時間、検査後は12~24時間行うことが多い。
ただこの場合も画一的に行うのではなく、個々に調整することが必要である。
残念なことではあるが、これまでに造影剤腎症を予防する目的で、造影剤検査時に利尿剤の併用が行われてきた時代もある。
しかし慢性腎機能不全例に対して利尿剤を含む補液を行ったところ、生理食塩液投与群に比較して有意に造影剤腎症の発現が高いことが判明し、現在ではその予防を目的に利尿剤を使用することは行われていない。
造影剤検査後の血液透析の有効性に関しては否定的な論文が多く見受けられ、一般には推奨されていない。
また造影剤腎症の発現予防薬についても、N-アセチルシステインをはじめ多くの薬剤がその候補薬として検討されてきたが、その予防効果が確立された薬剤はない。
参考書籍:日本薬剤師会雑誌 平成22年4月、調剤と情報2015.6
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