2026年1月16日更新.2,721記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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クレセンバカプセルの飲み方

クレセンバカプセルの用法

深在性真菌症の治療薬として使われるクレセンバは、 他の抗真菌薬と比べても用法が少し独特である。

とくに処方せんを見て、薬剤師が一瞬立ち止まるのが、

「最初の2日間は8時間おき」

という部分ではないだろうか。

・なぜクレセンバは「8時間おき」なのか
・「毎食後」ではダメなのか
・100mgカプセルの大きさ問題
・40mgカプセルが用意された理由

といった点を、服薬指導の視点で整理していく。

クレセンバの基本的な用法・用量

まずは、添付文書ベースの用法を確認しておく。

初期投与(負荷投与)
・イサブコナゾールとして1回200mg
・8時間おき
・計6回(約48時間)

維持投与
・初期投与終了後
・1回200mgを1日1回
・投与期間は、感染症の改善状況に応じて継続

このように、最初の2日間だけ回数と間隔が異なるという点が、
クレセンバ最大の特徴である。

「8時間おき」という用法はなぜ珍しいのか

多くの経口薬では、
・1日1回
・1日2回(朝夕)
・1日3回(毎食後)

といった生活リズムに沿った用法が一般的である。

そのため、
「8時間おき」と書かれると、つい

朝・昼・夕(=毎食後)

と解釈したくなる。

しかし、ここに落とし穴がある。

毎食後だと「8時間おき」にならない問題

一般的な食事時間を例にすると、

朝:7時
昼:12時
夜:18時

となることが多い。

この場合の投与間隔は、

朝 → 昼:5時間
昼 → 夜:6時間
夜 → 翌朝:13時間

となり、
8時間おきとは大きくズレてしまう。

なぜこれは問題になるのか
クレセンバの初期投与は、
・血中濃度を短時間で十分に立ち上げる
・侵襲性真菌症という重篤な感染症を対象としている
という目的がある。

そのため、
投与間隔を均等に保つこと自体が治療設計の一部になっている。

単に「1日3回飲めばいい薬」ではない。

だから「8時間おき」で処方される

この背景から、クレセンバは実臨床でも、
「毎食後」ではなく
「8時間おき」指定
で処方されることが多い。

具体的な投与例
たとえば、
・6時
・14時
・22時

あるいは
・7時
・15時
・23時

といったように、
食事とは切り離して時間管理されるケースも少なくない。

服薬指導で特に注意すべきポイント

患者さんから、次のような質問が出やすい。
「食後じゃなくていいんですか?」
「時間がズレたらどうしたらいいですか?」
「夜中に飲む必要がありますか?」

ここで重要なのは、

最初の2日間だけ、治療上とても大切な期間である

という点を、過不足なく伝えることである。

・厳密に分単位で管理する必要はない
・ただし「朝昼夕の流れ」にはしない
・できるだけ8時間間隔に近づける

このバランスが重要になる。

3日目以降は一転して「1日1回」

初期投与(6回)が終わると、
・1日1回200mg
・食事の影響はほとんどなし
となる。

この段階では、
・朝食後
・他の内服薬と同じタイミング
など、生活に合わせた服用で問題ない。

患者さんにとっても、

「最初だけ特別で、その後は楽になる」

と説明できるのは大きい。

クレセンバ100mgカプセルの「大きさ問題」

次に、剤形の話に移る。

クレセンバのカプセルには、
・100mgカプセル
・40mgカプセル
の2規格が存在する。

100mgカプセルのサイズ
100mgカプセルは、
・0el号
・長径:約24.2mm

と、
一般的な0号カプセルよりも大きいサイズである。

実際に患者さんからは、
「思ったより大きい」
「飲みにくい」
「喉につかえそう」
といった声が出やすい。

1回200mgなのに、なぜ40mgカプセルが必要?

ここで薬剤師として感じる疑問が、

「どうせ1回200mgなら、100mg×2でいいのでは?」

という点だろう。

しかし、侵襲性真菌症の患者背景を考えると、
・高齢者
・がん化学療法中
・免疫抑制状態
・内服薬が多い
といったケースが非常に多い。

大きなカプセル2個は、かなりの負担
0el号クラスのカプセルを、
・1回2カプセル
・初期は1日3回
となると、
服薬そのものが苦痛になりかねない。

40mgカプセルの意義

40mgカプセルが用意されたことで、
・カプセルサイズが小さい
・服用時の心理的ハードルが下がる
・嚥下困難のある患者にも対応しやすい
といったメリットが生まれた。

・100mg×2
・40mg×5
など、患者に合わせた組み合わせが可能になる。

用量調整のためではなく、「飲みやすさ」のための規格
という位置づけで理解すると腑に落ちる。

薬剤師が押さえておきたい要点まとめ

・クレセンバは最初の2日間だけ「8時間おき」
・毎食後では8時間間隔にならない
・初期投与は血中濃度を立ち上げる重要な期間
・3日目以降は1日1回でOK
・100mgカプセルは0el号・24.2mmと大きめ
・40mgカプセルは服薬負担軽減のための選択肢

おわりに

クレセンバは、
・効果
・安全性
・QT延長を起こしにくい特性

など、非常に優れた抗真菌薬である一方、
「飲み方を誤解されやすい薬」でもある。

だからこそ、

「なぜこの用法なのか」

を理解した上で説明できる薬剤師の存在は、
治療成功に直結する。

「8時間おき」という言葉の裏にある意味を、
ぜひ患者さんと共有していきたい。

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