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子宮筋腫にはGnRHアゴニスト?それともアンタゴニスト?
公開. 更新. 投稿者:月経/子宮内膜症.この記事は約3分24秒で読めます.
4,788 ビュー. カテゴリ:GnRHアゴニストとアンタゴニスト
子宮筋腫の患者ではエストロゲンの作用により、筋腫が増大していると考えられています。
エストロゲンは脳下垂体から分泌されるゴナドトロピンの指示により、卵巣から分泌されます。
ゴナドトロピンは視床下部から分泌されるゴナドトロピン放出ホルモンの指示により脳下垂体から分泌されます。
そのためゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)の分泌を減らせば、エストロゲンの分泌も減ります。
GnRHの受容体に蓋をするような薬が処方されますが、その働き方にはアゴニストとアンタゴニストという二つがあります。
アンタゴニストは単純に蓋をしてゴナドトロピンを放出させないようにします。
しかし、アゴニストは逆の働きをします。
ゴナドトロピンの分泌を促進します。
これではエストロゲンの分泌が増えてしまいます。
何やってんだ、アゴニスト。
しかしこのアゴニストを繰り返し投与し続けると不思議なことが起こります。
GnRH受容体の数が減っていくのです。
これをダウンレギュレーションといいます。
まさに人体の不思議。強く働きすぎていると、体がバランスをとって弱めてくれるのですね。
フレアアップ現象
従来のGnRHアゴニスト製剤は、GnRH受容体を過剰に刺激することで受容体の量を下方制御し、最終的に排卵や卵胞の成長を抑制します。しかし、GnRH受容体を刺激するため、下方制御を起こすまでに一過性にFSHやLHの分泌が増加し、子宮筋腫による症状を悪化させてしまうフレアアップ現象を生じることがあります。
子宮筋腫の薬物療法
昔から子宮筋腫の薬物療法として用いられてきたのはGnRHアゴニスト製剤でした。
スプレキュア(ブセレリン酢酸塩)、ナサニール(ナファレリン酢酸水和物)、リュープリン(リュープロレリン酢酸塩)など。
しかし、アゴニストは基本的にゴナドトロピンの放出を促進します。そのため、投与初期に一過性のエストラジオール(E2)分泌が亢進し(フレアアップ)することがあったり、投与を中止してもすぐには受容体の数が増加せずGnRHへの反応性の回復に時間がかかる。
2019年3月に発売されたレルミナ(レルゴリクス)は、子宮筋腫の治療に用いられる初の経口薬であり、初のGnRHアンタゴニスト製剤である。
リュープリンは注射、スプレキュアは注射と点鼻、ナサニールは点鼻薬である。
レルミナの用法
レルミナの添付文書上の用法は以下の通り。
通常、成人にはレルゴリクスとして40mgを1日1回食前に経口投与する。なお、初回投与は月経周期1〜5日目に行う。
食前の理由は、朝食後に単回投与した場合、最高血中濃度(Cmax)と血中濃度時間曲線下面積(AUC)が、朝食絶食下投与と比較して半分程度に低下したためである。
また、エストラジオール(E2)およびプロゲステロン(P4)は増殖期(通常月経周期6日目~)以降に増加することから、月経周期1~5日目からの投与開始により、速やかな効果発現が期待できる。エストロゲン低下作用に基づく骨塩量の低下がみられることがあるため、6か月を超える投与は原則として行わない。
子宮筋腫と子宮肉腫
子宮筋腫は良性腫瘍です。
悪性腫瘍のように浸潤性増殖や転移を示すことはなく、従って生命の危機をもたらすことはまずないもの、と考えて良いわけです。
しかし、この子宮筋腫とそっくりな悪性腫瘍があります。
それが子宮肉腫。
子宮筋腫だと思って手術したら子宮肉腫だった、ということもあります。
それだけ鑑別が難しいのです。
なので通常の子宮筋腫とは違う、と医師が疑った場合には、子宮肉腫の可能性も考慮した上でやはり手術摘出が最良である、と判断することになります。
子宮筋腫は自然に治る?
子宮筋腫って治療する必要あるの?
子宮筋腫が自然に小さくなる、ということもよくあります。
子宮筋腫は女性ホルモンによって増大するため、一般的に閉経後は縮小する場合が多いです。
閉経までいってなくても、年齢によりホルモン分泌が少なくなって筋腫が小さくなることもあります。
逆に閉経後に子宮筋腫が大きくなったという症例もあるようなので侮れませんが。
また、子宮筋腫は良性の腫瘍なので、それ自体が生命を脅かすものではありません。
しかし放置していると10kgを超えるような大きさまでになることもあります。
女性ホルモンによって筋腫が大きくなりますが、逆に閉経後には小さくなります。複数個できることが多く、数や大きさはさまざまです。大きさやできた場所によって症状が違ってきます。できた場所によって、子宮の内側(粘膜下筋腫)、子宮の筋肉の中(筋層内筋腫)、子宮の外側(漿膜下筋腫)に分けられています。
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