記事
ホルモン補充療法と低用量ピルの違いは?
公開. 更新. 投稿者: 6,509 ビュー. カテゴリ:月経/子宮内膜症.この記事は約8分10秒で読めます.
目次
低用量ピルとホルモン補充療法(HRT)の違い

低用量ピルとホルモン補充療法(HRT)は、どちらも女性ホルモンを使う治療である。
低用量ピルにはエストロゲンとプロゲスチン(黄体ホルモン)が含まれている。一方、HRTでもエストロゲンを中心に、必要に応じて黄体ホルモンを併用する。
それなら、
「低用量ピルとHRTは何が違うのか?」
という疑問が生じる。
大きな違いは、ホルモンを使う目的にある。
低用量ピルは、主として卵巣からの排卵を抑え、避妊や月経困難症などをコントロールするために使う。
HRTは、閉経前後に低下したエストロゲンを補い、更年期症状などを改善するために使う。
つまり大まかには、
低用量ピル=ホルモンを投与して卵巣機能を抑える
HRT=卵巣機能の低下によって不足したホルモンを補う
という違いである。
OCとLEPは何が違う?
「低用量ピル」という言葉自体にも少し注意が必要である。
医療現場では「OC」と「LEP」という言葉が使われる。
OC(Oral Contraceptives)は経口避妊薬で、避妊を目的として使用する。
一方、
LEP(Low dose Estrogen Progestin)は低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬で、月経困難症や子宮内膜症などの治療を目的として使用する。
薬理学的にはよく似た薬であっても、使用目的や保険適用などが異なる。
そのため「低用量ピル」という日常的な呼び方ではOCとLEPの両方を指すことがあるが、医療者としては区別しておいたほうがよい。
日本産科婦人科学会・日本女性医学学会からも「OC・LEPガイドライン2020年度版」が発行されている。
低用量ピルとHRTでは使う年齢が違う
低用量ピルとHRTでは、主な使用年齢が異なる。
OC・LEPは主として性成熟期の女性に使用される。
一方、HRTの主な対象は更年期から閉経後の女性である。
日本人女性の閉経年齢はおおむね50歳前後なので、40代後半から50代にかけては、OC・LEPからHRTへの移行が問題になることもある。
しかし、
「50歳になったらピルをやめてHRTにする」
という単純なものではない。
月経の有無、閉経しているか、避妊が必要か、更年期症状があるか、喫煙、高血圧、肥満、片頭痛、血栓症リスクなどを総合的に考える必要がある。
HRTは若いうちに始めたほうが安全?
HRTでは「何歳から始めるか」が重要である。
HRTについては、閉経後早期に開始する場合と、高齢になってから新たに開始する場合を同じようには考えない。
2025年度版HRTガイドラインの作成過程で公開された資料では、
「60歳以上または閉経後10年以上の新規投与」
が慎重投与あるいは条件付きで投与可能な症例として挙げられている。
これは「60歳になったらHRTが危険だから中止」という意味ではない。
重要なのは、高齢になってからHRTを新規に開始する場合には、心血管疾患や血栓症などの背景リスクも含めて慎重に判断する必要があるという点である。
したがって、
40代後半~50代前半で閉経に伴う症状に対してHRTを開始するケースと、60代以降になって初めてHRTを開始するケースは、リスク評価の意味が違う。
HRTと乳癌
HRTについて患者さんが最も心配することの一つが、
「女性ホルモンを使うと乳癌になるのでは?」
という問題である。
これは「HRTを使えば乳癌になる」「HRTは乳癌と無関係」のどちらでもない。
乳癌リスクは、
- HRTの種類
- 使用期間
- エストロゲン単独か
- 黄体ホルモンを併用するか
- 使用する黄体ホルモンの種類
- もともとの乳癌リスク
などによって変わる。
そのため、HRTの乳癌リスクを一つの数字だけで説明するのは難しい。
なお、現在の乳癌および乳癌既往は、HRTを考えるうえで非常に重要であり、HRTガイドラインでは禁忌として扱われている。
HRTと子宮内膜癌
もう一つ重要なのが子宮内膜癌である。
エストロゲンには子宮内膜を増殖させる作用がある。
そのため、子宮のある女性にエストロゲンだけを長期間投与すると、子宮内膜増殖症や子宮内膜癌のリスクが上昇する。
そこで登場するのが黄体ホルモンである。
黄体ホルモンにはエストロゲンによる子宮内膜増殖を抑える働きがある。
そのため子宮のある女性のHRTでは、原則として、
エストロゲン+黄体ホルモン
を使用する。
これは単に「女性ホルモンを2種類補っている」という意味ではない。
黄体ホルモンを併用することには、エストロゲンによる子宮内膜癌リスクを抑えるという重要な目的がある。
一方、子宮を摘出している女性では保護すべき子宮内膜がないため、エストロゲン単独療法が可能となる。
乳癌対策にも黄体ホルモンを加える?
ここは混同しやすい。
黄体ホルモンを併用する最大の理由は、子宮内膜を保護するためである。
「癌のリスクを減らすために黄体ホルモンを入れる」と一括りにしてしまうと、乳癌についてもリスクを下げるように聞こえてしまう。
しかし、乳癌についてはそう単純ではない。
したがって、
黄体ホルモン併用=子宮内膜癌リスク対策
とまず理解しておいたほうがよい。
HRTと低用量ピルではエストロゲンが違う
両者の違いを理解するうえで重要なのが、使用するエストロゲンである。
従来のOC・LEPで代表的なのが、
エチニルエストラジオール(EE)
である。
一方、HRTでは、
- 結合型エストロゲン
- 17β-エストラジオール
などが使用される。
17β-エストラジオールは、卵巣から分泌される主要なエストロゲンそのものである。
したがってHRTは、閉経によって減少した生理的なエストロゲンを補うというイメージに近い。
一方、エチニルエストラジオールは経口投与で高い活性を示すように構造が修飾された合成エストロゲンである。
最近ではOC・LEP側でも使用されるエストロゲンが多様化しているため、
「ピル=EE、HRT=E2」
と完全に二分することはできない。
しかし、基本的な違いを理解するには有用である。
「低用量ピル」のほうがHRTより低用量?
名前だけを見ると、
「低用量ピルなのだからHRTよりホルモン量が少ないのでは?」
と思うかもしれない。
しかし、この理解は適切ではない。
低用量ピルの「低用量」は、従来の経口避妊薬をエチニルエストラジオールの含有量などによって分類したときの名称である。
HRTとの比較で「低用量」という意味ではない。
さらに、エチニルエストラジオールとエストラジオールでは薬理作用や肝臓への影響が違うので、
「EE 20μgとE2 1mgなら、1mgのほうが50倍強い」
というような重量による比較もできない。
血栓症はエストロゲンの「量」だけでは決まらない
エストロゲン製剤で重要な副作用が静脈血栓塞栓症(VTE)である。
OC・LEP、HRTなどのエストロゲン製剤では、血栓症リスクへの注意が必要である。
一般的にはエストロゲン作用が強くなるほど凝固系への影響が問題となるため、OC・LEPではエストロゲン量を低くする方向で製剤開発が進んできた。
しかし血栓症リスクは、
エストロゲン含有量だけでは決まらない。
- エストロゲンの種類
- エストロゲン量
- 黄体ホルモンの種類
- 経口か経皮か
- 年齢
- 肥満
- 喫煙
- 血栓症の既往
- 長期臥床
などが関係する。
特にHRTでは「投与経路」が重要になる。
なぜHRTには貼り薬やゲルがある?
HRTには飲み薬だけでなく、エストラジオールの貼付剤やゲル剤がある。
経口投与されたエストロゲンは消化管から吸収された後、肝臓を通過する。
これに対して経皮投与では、皮膚から血液中へ吸収されるため、肝臓の初回通過効果を回避できる。
したがってHRTでは、
「エストロゲンが何mg入っているか」だけでなく「どこから投与するか」
も重要になる。
OC・LEPとHRTの血栓症リスクを単純に「女性ホルモンの量」だけで比較できない理由の一つである。
黄体ホルモンにもいろいろある
さらに話を複雑にしているのがプロゲスチンである。
OC・LEPに使用されるプロゲスチンにはさまざまな種類があり、化学構造などから分類される。
例えば、
プレグナン系
- メドロキシプロゲステロン酢酸エステルなど
エストラン系
- ノルエチステロンなど
ゴナン系
- レボノルゲストレル
- デソゲストレル
- ゲストデン
- ノルゲスチメートなど
といった分類がある。
さらにドロスピレノンやジエノゲストなど、別の特徴を持つプロゲスチンも存在する。
つまり「ピルに含まれる黄体ホルモン」と一括りにしても、その薬理学的性質は同じではない。
なお、エストラン系・ゴナン系・プレグナン系はエストロゲンの分類ではなく、プロゲスチン側の分類である点には注意したい。
「第1世代、第2世代、第3世代、第4世代」とは?
低用量ピルについて調べると、
「第1世代」「第2世代」「第3世代」「第4世代」
という分類も目にする。
これは主として配合されているプロゲスチンの種類による分類である。
例えばノルエチステロン、レボノルゲストレル、デソゲストレル、ドロスピレノンなど、使用されるプロゲスチンによって製剤の特徴が異なる。
そのためOC・LEPを比較するときには、
エストロゲン量だけを見るのではなく、どのプロゲスチンと組み合わせているか
を見る必要がある。
低用量ピルは「卵巣を抑える」、HRTは「卵巣を補う」
ここまで整理すると、同じ女性ホルモン剤でも両者がかなり違う薬であることがわかる。
| OC・LEP | HRT | |
|---|---|---|
| 主な対象 | 性成熟期 | 更年期~閉経後 |
| 目的 | 避妊、月経困難症、子宮内膜症など | 更年期症状など |
| 卵巣への考え方 | 排卵を抑える | 卵巣機能低下を補う |
| 主なエストロゲン | EEなど | E2、結合型エストロゲンなど |
| 黄体ホルモン | 基本的に配合 | 子宮の有無などで決まる |
| 経皮製剤 | 基本的に使わない | 貼付剤・ゲル剤あり |
| 避妊 | OCは避妊目的 | 避妊目的ではない |
| 血栓症 | 注意が必要 | 年齢、投与経路なども含め評価 |
| 子宮内膜保護 | 配合薬として使用 | 子宮があれば黄体ホルモン併用が重要 |
したがってHRTを、
「更年期になった人が飲む低用量ピル」
と考えるのは適切ではない。
両者は同じエストロゲン・黄体ホルモンという道具を使っていても、
OC・LEPは主に卵巣機能を抑制・調節する治療、HRTは低下した卵巣機能を補う治療
という大きな違いがある。
さらにHRTでは、年齢、閉経からの期間、乳癌・子宮内膜癌、血栓症、子宮の有無などを考えながら、
「誰に、どのエストロゲンを、どの経路で、どの程度投与し、黄体ホルモンをどう組み合わせるか」
を考えることが重要になる。
「女性ホルモン剤」という一括りでは見えてこない部分である。
参考資料
・日本女性医学学会「ホルモン補充療法ガイドライン2025年度版」
・日本産科婦人科学会・日本女性医学学会「OC・LEPガイドライン2020年度版」
・日本女性医学学会「HRTガイドブック」




3 件のコメント
医師と相談のうえ、先月からHRTを始めたのですが、内膜症の腺筋症があるため、調べると、慎重投与と書かれているものが多く、不安でしたが、
内膜症の治療にピルを使う事を知り、HRTとの違いを知りたいと思っていたので、HRTが内膜を抑えるホルモンを使用しているとわかり、とても
安心しました。
少しエストロゲンを補充するだけで元気いっぱいになったので、安心して続けたいと思います。コンビパッチが合わなかったので、周期的療法に切り替えたところですが、上手くいくと思います。知りたい事が知れて嬉しく思います。
47才の私だけど、閉経までピルエストラジオールを飲み続けてみようと思っているですが、先生と相談した方が良いですよねぇ✨✨✨✨✨✨✨✨更年期にも、ピルは効くと聞きました自分らしく生きて行こうと思っています✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨
管理人さん❗❗❗❗❗❗47才だけど、閉経まで低用量ピルのマーベロン21を連続3シート飲み続けて人生を謳歌しようと思うのよ閉経が近くなったら、ベリーダンサー&専門の画家&マン&女優としてデビューしようと思うのよピルは重要なeventと重ならない様にしてくれるそうだし&女性らしい身体&バストアップになるそうなのねぇ✨✨✨✨✨✨✨とってもわ✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨